オセロ 第19話(スザルル)

※R18シーンを含むので畳みます。
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19


「本当の、理由……?」
 それを聞かされた所で一体何になるというのか。
 呆然としながら問い返したルルーシュに、スザクは無言で頷いた。
「ああ、そうだ」
 言いながら、スザクは揺れるルルーシュの瞳から逃れるように顔を伏せ、横たわったルルーシュの首筋へと顔を埋めてくる。
(『いつか言うよ。怖いけど』)
 ルルーシュの脳裏に、以前言われたスザクの台詞が蘇った。
(俺を拒絶していた理由だと? そんな事はもう知っている!)
 マオとの件で明らかになったスザクの父殺しも、スザクがルルーシュではなく、ユフィを選んだ理由も。
 ただ、ギアスの記憶に関わる為に、今は忘れたことにされているだけだ。
(だが、こいつは今何と言った?)
 本当の理由――?
 ルルーシュは唐突に思い出した。……解らなかった事が、一つだけある。
 父殺しを知られた後も続いていたスザクからの心理的拒絶。
 スザクが八年前に『俺』としての自分を封印し、決してルルーシュに見せようとしなかった、その理由。
(ただ解せないと思っていただけだが……。何を明かすつもりでいる? まさか、まだ何か別の方法で仕掛けてくるつもりか?)
 怪訝そうに眉を寄せながら、ルルーシュは必死で思考を巡らせていた。
 単なるブラフか、それともそうではないのか……。解らない。
「知りたいだろ? ルルーシュ」
 ルルーシュのズボンを寛げたスザクが、声音だけは優しげに尋ねてくる。
 開かれた前面からするりと手を突っ込まれ、生々しく伝わる体温にルルーシュの体がビクリと跳ね上がった。
「お前はっ……! 皇女殿下を失ったからといって、俺を身代わりにでもするつもりか!」
「―――。……身代わり?」
 ルルーシュが言い放った途端、スザクの手がぴたりと止まった。
 ユフィと実際にどの程度の関係だったのか正確に知らされていない以上、これだけは言うまいと思っていた台詞だった。
 一瞬の沈黙を挟んで呟いたスザクの顔から、するりと表情が抜けていく。
「僕の事はともかく、ユフィを侮辱するつもりなら許さないよ。例え君でも」
「侮辱してるのはお前だろ!」
「いいや、違う……。――何を言ってるんだ、ルルーシュ。君がユフィの身代わりになんかなれる訳ないだろ。君はユフィとは違う。別人だ。代わりになんかなるもんか」
「くっ……!」
 恐らくスザクの逆鱗に触れる言葉だったのだろう。
 切りつけるようなスザクの台詞に顔を歪めたルルーシュは、きつく唇を噛み締めながら顔を背けた。
「俺だって、お前にこんな事は言いたくなかったさ。だが、そこまで想っているなら尚のこと、何故俺にこんな真似をする? お前の方こそ、俺をこうして抱こうとする事が、皇女殿下に対する裏切りになるとは思わないのか。お前の想いまで汚すような事をしているのは、他ならぬお前自身なんだぞ? 彼女が亡くなってから、まだたった一年しか経っていない。それなのに、お前の方こそ一体何を考えてる!」
 ルルーシュは咎める口調で言い募った。
 その間スザクは黙って聞いていたが、射るような目つきでルルーシュを睨み付ける。
「ユフィの事を何も知らない君に語る権利があるのか? 僕とユフィとの事を邪推するなとさっきから言ってるだろ。彼女はもう居ないんだ。この世のどこにも。君が彼女の事を口にするなよ――関係ない、君が」
「…………」
「それに、僕はさっき言った筈だよ、ルルーシュ。これ以上の侮辱は、君であっても許さないと」
 剣呑な空気を漂わせたスザクの態度にルルーシュは怯んだ。
「だったら尚の事、言いたいことがあるならさっさと話せばいいだろう。お前の言い分はともかく、俺にこんな関係を求める理由には全くなっていないぞ。お前にとって終わったつもりが無かったからといって、こんな……っ!」
「もしかして、こんな事をする意味が解らない、とでも言いたいのかい? 君は」
「何っ!?」
 はっと顔を上げたルルーシュを、スザクは冷ややかな目つきで見下ろしていた。
「だとしたら、さすがとしか言いようがないよ、ルルーシュ。昔から思ってた事だけど、君は僕を怒らせる天才だ。時々、君はその為だけに存在してるんじゃないかとさえ思えてくる位だ」
 平然と皮肉を交えてくるスザクにルルーシュは激昂した。
「だとしても! こんな辱めを受ける道理など俺には無いだろ! 皇帝の騎士が一般人にこんな真似をして、只で済むとでも思ってるのか! 大体、俺に皇女殿下の身代わりなど勤まらないとまで言うくらいなら、何故そこまでして俺を抱こうとするんだ、お前は!」
 まるで意味が解らない。スザクの言い分は滅茶苦茶だった。
(どうせ嘯くつもりなら、もっとマシな方法を使えというんだ!)
 心の伴わない性行為を強要されて、黙っていられる訳が無い。――これでは只の強姦だ。
「辱めって……酷いな。まさか本気で言ってるとは思いたくないけど……。だって、君と僕は、只の友達以上の関係だろ?」
「だから! 今はもう違う筈だと言っているんだ!」
 叫ぶルルーシュを見て目を据わらせたスザクが、お話にならないとでも言いたげに首を振る。
「どうしてそうなるんだ……。解らない奴だな、君も。さっきからそういうニブい所が、僕を怒らせてるって言ってるんだよ」
 言うや否や、スザクはルルーシュの足を乱暴に開いた。
「! 何すっ……!」
 改めて下着の中へと掌が滑り込んでくる。
 焦ったルルーシュが慌てて閉じかけた足を膝でしっかり固定したスザクは、下着の中で萎縮していたルルーシュのものを掴み、ゆるゆると上下に擦りだした。
「や――っ!」
 腕を押さえてダイレクトに刺激を伝えてくる手を止めようと試みるものの、スザクにとってルルーシュの抵抗など赤子の手を捻るようなものなのだろう。執拗に煽り、追い上げる動きをやめようともしない。
「何するのかって……それくらい訊かなくても分かるだろ。愚問だよ、ルルーシュ」
「……なせ、スザクっ! やめろ!」
 スザクの袖を掴むルルーシュの手が早くも震えていた。急所をしっかりと握りこまれている所為か、どうしても力が入らない。
 拒否しようとする心とは裏腹に快感は否応無くせり上がり、固く立ち上がった先端からしとどに蜜が溢れ始める。
「クソッ! 離せと……言ってるだろうが!」
 肩にかけた手でスザクを引き離そうと、ルルーシュは毒吐きながら体を突っ張らせてもがいた。しかし、どう足掻いてみたところで強靭なスザクの腕はびくともしない。
 歯噛みしたい思いを堪えながら、ルルーシュは残る全理性をもって鋭くスザクを睨み付けた。
「ルルーシュ……。君、何か勘違いしてるだろ」
 今にも噛み付きそうな勢いのルルーシュを見て呆れたように笑ったスザクは、「どうも齟齬があるみたいだな」と呟きながら顔を寄せてくる。
「!? どういう、意味だっ……!」
 スザクの胸を押しのけようと突き出した腕を撥ね退けられ、苛立ったルルーシュが舌を打つ。
「君がユフィの代わりになれないのと同じように、ユフィだって君の代わりにはなれない。言っただろ? ユフィとこういう事をしたいと思った事なんか無かったって」
「だったら、何だっ……!」
 熱を帯びた息を荒く吐き出しながら、ルルーシュは途切れ途切れに叫び返した。
 まだ解ってないな、と呟いたスザクが、溜息を吐きながら肩を竦めている。
「だから、要するに対象が違うんだよ、ルルーシュ。君を見る目と同じ目でユフィを見た事なんか無い。それがどういう意味なのか、まだ解らないのか?」
 思い出したように丸みを帯びた先端をぬるりと擦られ、ルルーシュの口から隠しようの無い甘さを含んだ声が迸った。
「や、やめっ……! あぁっ!」
 のたうつルルーシュの姿を冷然と見下ろしながら、スザクがぼそりと呟く。
「そういえば、君は昔から、こういう事にはてんで疎かったな……。よく解ったよ」
「……っ!?」
 顔つきを改めたスザクを前に、ふとルルーシュの抵抗が止まった。
 混乱しながらも弾けるように顔を上げ、目を瞬かせながらスザクの台詞を待っている。
「よく聞けよ、ルルーシュ」
 鋭い口調で告げてきたスザクは、一息ついてから話し始めた。
「騎士である僕が、主君であるユフィを、性愛も含めた好意の対象として見るなんて事は有り得ない。第一そんなの不敬だよ。……それに、主君と騎士が、そういう意味で結ばれない関係というのも常識だ」
 スザクはしつこく抗っていたルルーシュを押さえつけたまま真剣な表情で告げてきたが、対するルルーシュはやはり無言のまま呆然としていた。
「ここまで言っても、まだ解らない?」
 答えないルルーシュに焦れているのか、スザクが首を傾げながら尋ねてくる。
(何も勘違いなどしていないだろう、俺は)
 だから何だというのだ。――それが、ルルーシュの正直な感想だった。
 常識がどうだのという話など聞いていない。何故なら、今まで問題にしていたのは、あくまでもスザクの気持ちについてだからだ。
 しかし、これでは余計意味が解らなくなったどころか、はっきり言って、更に傷口へと塩を擦り込まれたようなものでしかない。
 今更確認する事に意味など無いとは思うが、もしかすると自覚が無いのだろうか。
 スザクの言葉は、つまり性的な対象として見る事など出来ない程にユフィを慕い、大切に思っていたと公言しているようなものなのに。
(まさかこいつは、これでフォローしているつもりなのか? 俺の抵抗を殺ぐ為に?……だとしたら、それの一体どこがどうフォローになってるって言うんだ、スザク)
 どういうつもりで言っているのか、台詞の意図が全く読めなかった。
 しかも、その上で「ユフィはルルーシュと違う」と言い切る事がどういう意味なのか、この男の方こそ解っているのだろうか……。
「解ったら、あまり騒がないでくれないかな。今この姿を人に見られて困るのは僕じゃない。君だろ? この学園で僕に意見出来る人なんか誰も居ないって事くらい、頭のいい君なら解る筈だ」
「み、られても困らないだと!? 馬鹿かお前は!」
 我に返ったルルーシュが必死の形相で言い返すのを見て、スザクは皮肉っぽく唇を歪めた。
「そうだ。僕は困らない。一応、君の為に言ってるんだけど?」
「俺の、為……?」
「ああ。僕は誰にこの姿を見られようが構わないんだ。例えそれが会長たちだろうが、君の弟だろうが、もう関係ないんだよ。それに、お互い合意の下でしている事なら、何も問題なんか無い筈だろ?」
「お、俺は合意などしていない!」
 誰がいつ合意したというのか。
(あんな言い分で納得などする訳ないだろ!)
 ぎょっとした顔で言い返すルルーシュを見下ろしていたスザクの目が、再び冷たいものへと変化する。
「相変わらず意地っ張りなんだな、君は……。変わらないね、そういう所だけは」
 未だ屈しようとしないルルーシュを見て何を思ったのか、スザクはおもむろに体を起こしてごそごそとポケットを探っている。
「やっぱりちょっと邪魔だな」
 ぼそりと呟きながら空いた片手で小さな袋を取り出したスザクは、その袋の口を歯で噛み千切るなり、ルルーシュのズボンを下着諸共引き下ろしてきた。
「―――っ!!」
 露になった下半身が外気に晒され、ルルーシュが引きつったような声を上げる。
 小さくパッケージされた袋を下から搾り出したスザクは、とろりと流れ出した透明な液体を掌で受け、ルルーシュの奥まった部分へと擦り付けた。
「うぁっ!」
 ひやりと冷たい感触に首を竦ませたルルーシュを見て、スザクがゆるく笑みを浮かべる。
「久しぶりだからね。慣らすのに時間かかるだろうと思ったから、今日は良いもの持ってきたんだ。きっと君も気に入ると思うよ?」
 何を、と尋ねる間も無く、ルルーシュはぬめりを帯びたその液体が何なのか身をもって知らされる事になった。
(こ、れは……。まさかっ!)
 奥まった部分を割り開いたスザクの指が、液体のぬめりを借りて易々と入り込んでくる。
「ああぁ……っ!」
 甘い声を撒き散らしながら、ルルーシュは背を撓らせた。
 よく慣らしもせずいきなり二本も入れられたというのに、全く痛みを感じない。
 実際に使われるどころか今まで実物を見た事すら無かったが、これは恐らくそういった行為専用の潤滑剤なのだろう。
「ス、ザク、お前っ……! っあ!」
 この変態が、と罵る声にさえ喘ぎが混じる。こんなものを一体どこで仕入れてきたのか知らないが、一年ぶりに開かれた箇所だというのに、きつく思えるどころか簡単に解されていく事すら恐ろしい。
 まだ滑りの残る手で前も擦られ、ルルーシュはガクガクと体を震わせていた。
 スザクの腕を掴んでいた手も力無く地面に落ち、最早抵抗らしい抵抗さえ出来ていない。
「ここ突かれるの好きだったよね、ルルーシュ」
「やめっ……! あ、あぁっ!」
 一際深く貫かれたのは、今まで何度も泣かされてきた部分だった。
 そこを強く擦られてしまうと手も足も出ない。巧みなスザクの手管に翻弄され、ルルーシュは呆気ない程簡単にあえかな声を響かせ始めた。
「声、結構響くね。これでも噛んでなよ」
「ぁ、ぐっ……!」
 スザクは脱いだ自分の制服をルルーシュの口内へと突っ込んだ。
 ルルーシュは首を振って逃れようとしたが、スザクは顎を掴んで強引に押し込んでくる。
「君の声がきちんと聞こえないのはちょっと残念だけど……。でも、人に聞かれたくないんだろ?」
「うぅっ……」
 諦めたように制服の裾を噛むルルーシュを見て、スザクは自分の着ているズボンの前を寛げた。
「……!」
 反射的に目を逸らした瞬間体をひっくり返され、成す術も無く四つん這いにさせられる。
 高々と持ち上げたルルーシュの腰を両側から掴みながら、スザクは引き抜いた指の代わりに自身の昂りを入り口へと押し当ててきた。
「挿れるよ?」
「ん、ぐっ……!」
 ぬるりと入り込んでくるスザクの屹立。
 良く知る感覚に眉を顰めながら、ルルーシュは苦しげに息を飲んだ。
「―――っ!!」
 ズン、と一気に根元まで押し込まれた昂りが腹の奥へと達した瞬間、衝撃に大きく目を見開いたルルーシュはくぐもった悲鳴を上げていた。
 たった一年前の事とはいえ、スザクはルルーシュの体を知り尽くしている。行為に持ち込まれる度、こうしてイニシアチブを取られてしまうのも常の事だった。
「ちょっときついな」
 久しぶりだからかな、と呟いたスザクは腰を掴んだまま抽送を開始するなり、ルルーシュが一番感じる敏感な部分ばかり狙ってしつこく責め立ててくる。
 獣のような体勢で背後から貫かれ、閉じたルルーシュの眦からボロボロと涙が零れ落ちた。
「泣いてるの? ルルーシュ」
 反らしたルルーシュの背を抱きかかえてぴったりとくっついて来たスザクが、耳元に唇を落としながら甘い声で囁いてくる。
 ……聞くだけで腰が砕けてしまいそうな囁きだけは、一年前と何ら変わっていない。
 ルルーシュの感じる部分を知っているからだろう。聴覚を通して良く効く毒を流し込まれているようだ。
 顔を横に向けたまま這い蹲っていたルルーシュは、熱を帯びながら鼓膜にこびり付くスザクの声を振り払おうと必死で首を振った。
 幾ら嘗ての友人とはいえ、スザクは皇帝に自分を売った男だ。既に記憶を取り戻しているルルーシュにとって、これ以上の屈辱は無い。
「んっ、んっ! ……んんっ!」
 答えないルルーシュを責め立てるように、スザクは後ろから大きく突き上げた。その途端、途方もなく甘い快楽が断続的にルルーシュの背筋を走り抜けていく。
 ぞくぞくと湧き上がる疼きに体の芯まで冒され、今にも蕩けてしまいそうだ。
 ルルーシュはよれた制服の上でじっと爪を立てながら、迫り来る快感の波にひたすら耐えていた。……自分を売った敵に犯されているだけだというのに、気持ち良く感じてしまう自分の体が信じられない。
 重なり合った体ははしたなく揺らめき、潤滑剤の滑りも手伝ってか、接合部から響く破擦音でさえ淫らな水音に塗れていた。
「ふ、ぅっ! んくっ……!」
 貪欲に疼く腰を上下に揺さぶられた瞬間、抗う事も出来ずに背を撓らせたルルーシュの体がビクビクと痙攣する。
 普段自分で慰める事など滅多にしない体だ。殊に記憶が戻ってからのルルーシュは、いっそ禁欲的ともいえる程その行為自体を敬遠する傾向にあった。
 嫌でもスザクとの行為を思い出してしまう。――だが、元々淡白な方とはいえ、過剰なほど自重していた事が、今回の展開においては却って仇となった。
 しどけなく開かされた足の間で、スザクに嬲られていたルルーシュのものが、更なる刺激を欲するようにだらしなく涎を垂らし続けている。
「凄いな……。びしょ濡れだよ、ルルーシュ」
 いやらしい体を笑っているのか、ルルーシュのものを弄んでいたスザクが、小刻みに腰を揺らしながら耳元で感嘆の声を伝えてきた。
「……っふ、んんっ!」
 くちゅん、と音を立てながら、物欲しげにヒクつく後孔。抜き差しされる度に、ルルーシュの通路はスザクのものへと取り縋るように蠕動を繰り返している。
 スザクもそれに気付いているのだろう。自身を受け入れているルルーシュのそこを愛しげに指先で撫で回し、掻き混ぜるように角度を変えながら奥まで突き立ててくる。
「っく! はっ……」
 体が跳ねた所為で噛み締めていた制服から一瞬唇が離れ、浅ましい吐息が漏れ出した。
 否応無く高められていく欲望の渦に巻き込まれ、ルルーシュは既に気も狂わんばかりの快楽に身を震わせている。
「気持ちいい?」
「……っ、う!」
 それでも快感に屈したとは思われたくなくて、頬を紅潮させたルルーシュは唇を噛み締めながら無言でふるふると首を振り、派手に感じてしまっている事を否定した。
「強情だな。それから、相変わらず嘘吐きだ」
 全身を戦慄かせ、涙を零しながら息を切らすルルーシュを不遜だと思ったのか、鼻を鳴らしたスザクが再び激しく突き上げてくる。
「んぅ! んっ! んんんっ……!」
 スザクの責めに耐え切れず、とうとう鼻にかかって艶を含んだ声が絶え間なく漏れ出した。甘く尾を引くその声には、幾分か媚も混じり始めている。
 あからさまに感じているような声だけは上げまいと噛み締めていた筈だったスザクの制服は、いつの間にかルルーシュの流す涙と唾液に塗れてしわくちゃになっていた。
 心の中では拒んでいるにも関わらず、身の奥深くまで埋め込まれたものが引き抜かれるごとに、ルルーシュの粘膜はもっと、もっとと強請るようにスザクのものへと絡みつく。
 ぎゅっと目を瞑ったまま全身を突っ張らせるルルーシュを見て限界が近い事を察したのか、追い上げるスザクの動きが突然激しくなった。
「ふぁっ……! んく、んんぅっ、ああぁっ!」
 奥深くまで突き上げられる度に、ビリビリと駆け抜けていく熱と疼き。
 本当は嫌なのに、体が言うことを聞かない――おかしくなりそうなほど気持ちが良い。……たまらない。
 制服を手繰り寄せて噛み締めてみても間に合わず、ルルーシュは壊れたように痙攣を繰り返しながら甘い喘ぎを撒き散らした。
「もうイきそう? イっていいよ」
 脱ぎかけのズボンを片膝だけに絡ませたまま、無意識に腰を揺らし続けるルルーシュの媚態。
 ぴんと張りつめた爪先から浮いた靴が踵から外れ、地面へと転げ落ちる。
 酷く淫らなルルーシュの様子を横目で眺めていたスザクは、送り出す腰の動きに合わせてルルーシュの腰を強く手前へと引き寄せた。
「う、ぁ……! あっ、ああっ、ぁ―――っ!」
 スザクのものを根元まで咥え込んだまま、欠伸をする猫のように腰を突き出し、大きく背を撓らせたルルーシュがか細い嬌声を上げながら精を吐き出す。
 続けて達したスザクも高まりを開放させ、ルルーシュの中へたっぷりと注ぎ込んだ。
「……っは、はぁっ、はっ……」
 体の奥に埋まっていた昂りがずるりと引き抜かれる感触。ぶるりと身を震わせたルルーシュは、ぐっしょりと濡れた下半身もそのままにガクリとその場へ崩れ落ちた。
 激しい倦怠感に苛まれ、指一本たりとて満足に動かせない。未だ尾を引く余韻にヒクヒクと唇を震わせながら、時折引きつったようにしゃくり上げる呼吸を必死で整えるだけだ。
「ルルーシュ……」
 うつ伏せに横たわったルルーシュの方へと身を寄せてきたスザクは、激しい行為の片鱗さえ表さぬ冷えた声音で名を呼びながら、きつくルルーシュの体を抱きしめてくる。
 霞がかかった様な頭はまともに働かず、呼びかけにも碌に答えられない。
 引き起こされたルルーシュは、スザクにされるがまま、ただ肩に顎を乗せて静かに瞼を閉じていた。
「聞いて、ルルーシュ……。僕はね……。――父を、殺したんだ」
 目の合わない角度で、スザクが何か喋っている。
 汗に塗れてぐったりしながら、果てた後も息を荒げていたルルーシュは、まるで遠いどこかから聞こえてくるようなスザクの声を無言で聞いていた。
(スザク、俺はもう知っている。それは……)
 ぼんやりと霞む思考の中で、何だ今更、と思いかけた時――躊躇いがちに続けられたスザクの台詞に、ルルーシュの思考は今度こそ完全に停止した。

「そう。僕は父を殺した。……八年前、僕が俺を封じる事になった、あの雨の日に」


プロフ

夕希(ユキ)

Author:夕希(ユキ)
取扱:小説・イラスト・漫画

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