大人の階段2

 前髪をかき上げられ、頬や後頭部、首筋やうなじ、背中へと回されていく力強い腕と掌。決して離したくないとばかりにあちこち撫で回されているうちに本能的に解る。たとえ経験がなくたって、全力で求められている、愛されていると。
 こんなスザクは知らないし、もともとのスザクはこうだったと知っているような気もする。そんな自分をスザクは普段隠すけれど、俺は知っている。だからこそ受け入れたい。そう思うのは愛情なんだろうか。
 ……いや、愛なんてまだ解らない。それでも、たぶん恋している。きっと俺は……スザクに。

 荒い息を整え、俺の髪の乱れを解きながらスザクが言う。
「所詮ただの言い訳だけど、好きな子に下手糞だと思われたくないしね」
 苦く笑うな、だから他の女で試すのかお前は? そんな憤りのままスザクの頬を思いきりつねってやった。
「い、いひゃいっ! るるーひゅ~!」
 間抜けな声で叫び、慌てて俺の手をどかそうとする所も憎らしくて、つい「馬鹿が」と吐き捨てる。よりにもよって今言う奴があるか。スザクは相変わらず空気が読めない。というのは『読む気がなく自分の好き勝手に振る舞う』という意味だ。つまり空気を読む気がないから読めないし、読んでいてもスルーするからやっぱり読めていない。いつだってそうだ。
「許してもらおうとしてるだろ、どさくさ紛れに」
「そんなことは……」
 スザクがヘラッと困った顔で笑う。憎めない笑顔が本当にズルい。結局どかされてしまった手を握られたままやり場に困っていると、スザクはさして悪びれもせず「ごめんごめん」とちゃっかり俺の手を引いて部屋に招き入れようとしているようだ。
「まあいいや、上がって?」
「…………」
 何か変な沈黙が流れる。俺が黙っているからだが。軽くスザクを睨んだものの、靴を脱ぐさまを見守られている視線が何とも言えず面映ゆい。
 スザクの期待がひしひしと伝わってくる中、これでやっと大人になれると思った。何故か今後への焦りや怯えは一切感じず、相手はこのスザクなのだからという謎の安心感を抱いているのが自分でも不思議だ。
 初めて入ったスザクの部屋は小綺麗というより単純に物が少なかった。家具は一通り揃っているものの、全体的にガランとしていて生活感が薄い。必要最低限の物しか――雑貨等の小物の類ですら何もないとは。それなら散らかりようもないだろう。
「なあ」
「何?」
「お前、趣味はないのか?」
「趣味……。趣味?」
 内心「ないんだな」と思いつつ尋ねてみれば、スザクは「うーん」と上向けた視線だけで考えている素振りをし、思わせぶりにゆっくりと振り返ってにこやかに微笑んだ。
「それは……やっぱりルルーシュが一緒じゃないと、何をしててもつまらなくて。強いて言えば……、そうだな、筋トレ?」
「ふぅん。流石だな、この体力馬鹿が」
 そういうものなんだろうか、と聞きながら納得半分。たとえば読書とか音楽鑑賞――そういえばこいつはゲームが得意な筈だったが。すると、俺の考えを読んだとしか思えないタイミングで「ゲームも君と会う為に買ってるようなものだしなぁ」とスザクが俺の手を握ったまま呟く。場所は居間だろうか。一人暮らしにしては大き目なテーブルとソファが置いてあり、物の少なさも相まって部屋は広く感じる。二人並んで白のソファに腰かけ、どちらともなく見つめ合いながら思った。背丈においてもそうだが、こうしてこいつとの目線に立ち並べるようになるまでやけに時間がかかったな、と。
 スザクが「一応僕の趣味も入ってるけど、二人でプレイしたら楽しいだろうなと思えるものを選んでるよ」と視線を重ねたまま言う。
「まあ、お前いつも俺の家に来てやろうとするもんな」
「ん、そうそう」
 引きつった笑みを浮かべ、相槌を打つさまがそらぞらしい。つい「何だその生返事は」という気分になった。心ここにあらず。スザクは何か別のことを考えながら話していて、明らかに落ち着きに欠いている。
 さすがに俺にだって解った。焦っているのは俺じゃなくスザクの方なのだと。この常ならぬ落ち着きのなさは、俺を意識しすぎているがゆえに出方を窺ってのものだ。
 何か言いたいことでもあるのか? そう尋ねようと口を開くと。
「ルルーシュ」
「え?」
 不意に迫ったスザクにあっさり唇を奪われていた。
「ま、待てッ!」
 腕を突っ張り、驚いて目を瞠るスザクを押しのける。お前、客に茶の一杯も出さずに事に及ぶ気か!? そう尋ねたいのに喉に引っかかって出てこない。というのも、スザクの瞳が熱っぽく、また酷く真剣だったからだ。再び見つめ合っていると、又もどさくさ紛れに体が徐々に引き倒されていき、緩やかに馬乗りになられた所ではたと我に返った。
「おい……」
「ん、何?」
「やはり、俺が下なのか?」
「うん……駄目?」
 駄目とかいいとかそういう問題じゃない。というか今、こいつは「うん」と言ったのか!?
「だって……。じゃあルルーシュが僕に挿れる?」
「は?」
 改めて口に出されると、とてつもなくショックだ。今更と言えば今更な話だが、初めての相手が同性で、しかもスザクで、更に――。
 スザクは言った。
「僕で童貞卒業するって言うなら考えるよ? けど……」
 そうだ。どのみち、上だろうが下だろうが、どちらにせよ俺の初めてが尻になるのは決定事項……。
「だって……。じゃあ女の子とするつもり?」
 まだ俺の反抗が収まり切っていないと判じた途端、覆い被さっているスザクの目が据わった。脳内に響き渡るガーンという擬音はあながち間違いじゃない。詮無きことがぐるぐる頭を回る中黙っていれば、「相手が僕って時点で察して欲しいな。大体君だってさっきからずっと受身じゃないか」とスザクがのたまう。
「それはお前がっ……!」
「いいから大丈夫、僕に任せて」
 遮られた上に年上ぶった口調にカチンときた。こういう所で経験値の差が出てくるのがどうしたって面白くない。しかし、片肘をついて起き上がろうとしてみても、スザクは「駄目だよルルーシュ」と真顔で静止してくる。
「お前……っ!」
「じゃあ訊くよ、ルルーシュ。俺が何の為に女の子抱いてきたと思ってるんだ?」
「!」
 別に好きでもない女なんかと。まるでそう続きそうな台詞に思わず固まってしまった。一瞬、苛立ちもあらわに片目を眇めたスザクは、俺がおとなしくしていても真顔を崩さない。
 かと思えば、俺の頭の上に腕をついてふと眉尻を下げ、間近で悲しげに囁く。
「俺とするのは嫌か、ルルーシュ?」
「ちがっ……!」
「だったら任せてくれ」
 悔しいが、押しの強さに抗えない。スザクが一度言い出したらきかないのは昔からのことで、それを考えると抵抗するだけ無駄な気がした。気力が萎えたというより完全に削がれ、もう黙り込むしかない。今の俺に出来ること、それは精々「くそっ!」と吐き捨てたくなる程の屈辱ごと噛み殺すかの如く歯噛みすることだけだ。
 もうどうにでもなれ。
 さながら崖から飛び降りるような心地になりながら目を瞑り、今まで付きっぱなしだった片肘を戻して固く横たわる。そこでようよう眦を和らげたスザクがつくづく憎たらしい。
「あのさ、ルルーシュ。好きだからするんだよ?」
 と、ガチガチに固まっている俺を見てスザクが困惑したように言う。
「解っている」
「そう睨むなって。君が嫌がることはしないし痛くもしない。約束する」
「本当に、痛くしないんだな?」
「君が男だってことは重々承知してるし、何度も君とする所をシミュレーションしてきたから……。だから、大丈夫」
 シミュレーション如きで安心など出来るものか、実践は違うのだから。
 でも、緊張しているのは俺だけじゃなく、スザクだって同じ筈。だったら……。
「任せろというからには、思い切り気持ちよくしてくれるんだろうな?」
 スザクは俺の挑発に安易に乗ることはせず、黙って俺を見下ろしていた。
「どうだろう。正直言って自信はないよ、男を相手にするのは初めてだから。幾ら女の人を抱いたって君の代わりにはならない。そう解っていて抱いてきた。でも……、優しくするよ、精一杯。それは約束する」
 スザクの台詞を聞いてやっと安心した。というか、心が決まった。俺もヤキが回ったな、と他人事のように思う。
 けど、こいつと大人の階段を上るんだ、今日これから。だったら、ただ施されるばかりでは割に合わない。
 スザクの首に腕を回し、思い切ってぐいっと手前に引き寄せる。自分から積極的に口付けてみた。ほとんど慣れていなくても――別に誰かから教わった訳ではなくとも、魂に刻まれた覚書のように解るものなのだと知る。自分から好きな奴にキスするやり方なら。
 スザクはきょとんとしたものの、次の瞬間ハッと目を見開き、深くなっていく口付けと共にごくりと喉を鳴らした。俺の唇も舌も食むように舐り、その間じゅう呼吸がけだもののように荒くなる。息継ぎの合間にはぁ、はぁ、と苦しげに眉根を寄せて喘ぎ、常盤色の瞳だけが俺をずっと捉えたまま口を開けっ放しにし、夢中になってキスに没頭していた。
 そんなスザクを見て、ふと上だろうが下だろうが関係ないように思えてきた。スザクも男だが俺だって男だ。ありのままの互いでいい筈。
 思考型の俺が本能で動くなんて、こんな時くらいしかないんじゃないだろうか。
「ルルーシュ。目、閉じろよ」
「断る」
「閉じてろってば」
「嫌だ」
「僕も嫌なんだ、君に顔を見られるの。恥ずかしいよ」
「俺は恥ずかしくない」
「頑固なんだから……」
「お前だってそうだろ」
 フン、と笑ってやったらスザクもつられて笑った。
「なあ、ここでヤるのか?」
「――ベッド、行こう?」
「ああ」
 スザクが興奮を逃す為か、はぁと一際深い息をつく。リードしたがるこいつの腰を抱き、口付け合いながら寝室に転び入る時、思い出し笑いのようにスザクが「ヤるとか言わないでよ」と肩を揺らしてクスクス笑っていた。
「ガサツだぞ、ルルーシュ」
「お前こそ大人しい振りしやがって、この猫かぶりめ」
「酷いな。君より大人だもん」
「何が大人だ。本当は不安なくせに」
「なんでそんなに男らしいのさルルーシュ」
 ドサリ、と二人ベッドに倒れ込んだらスプリングが悲鳴をあげた。改めて女性じゃないと思い知るのは、俺もスザクも身長が高い方だからだ。
「これ、シングルじゃなくてセミダブルだろ。何人連れ込んだんだ?」
「言いたくない」
「穢れたベッドだ。シーツ交換してあるんだろうな?」
「心配ないよ」
「俺が綺麗にしてやる」
「これからは?」
「そうだ。今この瞬間から」
「お清めセックスっていうのかなこういうのも。しかも君のロストバージン」
「殴るぞスザク。一言も二言も余計だ、もう黙れ」
 ふわふわの綿毛に似た茶色い頭を抱きかかえ、大の字になったスザクの腰に跨る。お前がマグロでいいんだよスザク。もちろん一応手ほどきはしてもらうけどな。
 着ていたシャツのボタンを外す間、スザクはもどかしそうに裾を広げ持って待っていた。本当はボタンごと引き千切りたい、そんな顔で。だからってもしそんなことしてみろ、飛んだボタン全部縫い直させてやる。
 わざと焦らすようにのろのろと外してやると、スザクは全速力で走らされた馬より息を荒げていた。熱に浮かされ、興奮し切った表情にちらちらと過ぎるものは情欲の炎。俺は当然反応していないが、スザクの前立ては既に張りつめていて窮屈そうにジーンズのフロントが膨らんでいる。さっき触らされた時は本当に驚いた。唐突な行動についても言えることだが、こいつは俺でこんなふうになるのかと。でも、常に余裕綽々のこいつを思う存分甚振って困らせてやったら俺も反応出来る気がする。さぞかし楽しいことだろう。
 これからはやろうと思えば不可能じゃない、そう思ったら興奮してきた。……無論、別の意味でだが。
 ところが、内心ほくそ笑んでいたその時、今まで大人しく横になっていたスザクが突然ガバリと上体を起こした。
「ルルーシュってS? M?」
「は……?」
 またも唐突な一言に頭がフリーズする。
「S、M、の、話か……?」
 何故。
 俺の疑問に答えるでもなく、つい漏れ出てしまった心の声にスザクが「うん」と頷く。
「ルルーシュってさ、性格はSだけど性癖はMっぽい気がするんだよな」
「なっ……!?」
 性格と性癖!? それは分けられるものなのか?
 スザクは俺の疑問をスルーしたまま勝手に続ける。
「今までのことを口にしたらルルーシュは嫌がるかもしれない。でもそんな気がするんだよ、経験上」
「だから?」
「だから、ルルーシュがウケやって。僕がリードするから。言ったろ、任せてくれって」
「…………」
 勢い余って口走った台詞なのかどうかは知らないが、いきなりな上に不穏すぎる。まさか初っ端から危険な行為に及ぶつもりじゃないだろうな、こいつ?
 すると再びスザクが俺の思考を読んだかのようなタイミングで「大丈夫、痛くはしないから」と言いつつ、さりげなく俺の唇を奪う。
「んっ……」
 思わず漏れ出た吐息ともつかない声が鼻をつき、焦って押し返そうとしたスザクの胸板は厚く、またびくともしなかった。着痩せするタイプなのだ。腹筋もだが、胸板にも無駄のない筋肉が張り巡らされている。
「ス、スザク、ちょっと、待て……!」
「待ったって言ったろ。俺はもう充分すぎるほど待ったんだ、ルルーシュ」
 言いながらスザクが俺のズボンのジッパーをグイと引き下げ、下着に手を掛けた。そのまま悪戯な手は下着の内側に潜り込んでくる。
「ま、待て! や、ちょっ!?」
「待たない」
 べろりと唇全体を舐められ、大きく開けた口でそのままがぶりと口付けられ、舌を引き抜かれそうなほど強く舐られた。
「ぅ――、んっ。んん……っ!」
 そのままスザクの舌は俺の顎、喉、首筋を手慣れた風に辿り、中途半端に開いたままのシャツの中に潜り込む。余った片手を差し入れられ、弄られているのは乳首だった。こそばゆい感触に皮膚が粟立つ。もう片方の手は下着の中、まだ萎えている俺のものを上手に掬い上げて扱き始めた。
「あ……っ!」
「可愛い、ルルーシュ」
「ばっ、馬鹿言うな!」
「可愛いんだってば。たまらなく可愛いよ。ちょっと苛めたくなるくらい可愛い」
「はあっ!?」
「遊びで抱くんじゃないから出来るんだよ、こういうことも」
 勢いよく俺の下着ごとズボンを引き降ろし、スザクはなんと俺の陰茎をパクリと咥えて上目遣いで俺を見上げた。
「おいし」
「ばっ!!?」
 馬鹿! という叫びは声にならなかった。下半身を駆け巡る甘美な刺激に膝から崩れ落ちてしまいそうになる。感じる、とはこういうことなんだろう。スザクの舌使いは絶妙で、自分の手でこっそりと自慰する時とは比べ物にならない快感が俺を襲った。
「気持ちいい?」
 横笛を吹くように俺のものに舌を這わせ、また亀頭からパクリと咥えてヌメヌメとしゃぶる。それも、時々玉袋を握りながら。どこで覚えてきたテクニックなのかはわからない。ぼやけた思考の中で、スザクもこうされると気持ちいいのだろうかと考えたが、その思考はあまりの快感にとって代わられ脳内で霧散してしまった。
 ちゅぷ、ちゅぷと響く淫靡な水音。スザクの頭を無意識にかき抱きながら、気付けば自然と腰を前へ前へと突き出している自分がいた。
「あぅ。ばか……そこ、ばっかりっ!」
「美味しいよ、ルルーシュ」
 先走りがタラタラと流れ出ていると自分でも解る。スザクはそれを吸い上げながら言うのだった。「この変態!」と言ってやりたいのに、相反する感情がよく解らないまま迸る。きっと変な味に決まっているのに「美味しい」と言われ、何故か嬉しさと共に愛しさが湧いてくるからだ。
「変な味だろ……」
「ううん、美味しい。ルルーシュの味がする。ほんのり甘くて、なんか透明な味」
 クソッ、言うな! 実況するんじゃない! 甘いってどういうことだ! 様々な台詞が頭を回ってはどこかに飛んでいく。徐々にこみ上げてくる射精感。駆け抜けていく脳髄を蕩かすような甘い快感。意識が遠のきそうなその最中、スザクは裏筋から玉袋、玉袋からその裏へと更に舌を這わせてきた。
「足開いて」
 俺の股座に上体をくぐらせながらスザクが内腿を押し広げる。ちょうどスザクの顔面に座るような恰好になり、羞恥が助長されたものの、これも長くは続かなかった。スザクは唾液で濡れた俺のものを手で扱く傍ら、尻の間の穴に舌を這わせ始めたのだ。
「舐めるだけじゃ駄目だと思うから、ルルーシュ先に出して」
「ダメだっ!」
「駄目じゃない。俺の口の中に出していいから」
「えっ……?」
 ひょこっと股座から顔を出し、スザクは俺を見上げながら「お尻の穴舐められるより、まだこっち舐められる方が気持ちいいだろ?」と人差し指の先で亀頭をひと撫でして淡く微笑んだ。
「だって、お前……」
「いいからやってみて」
 そしてまた、べろりと舌全体で愛おしそうに俺の尻穴を舐め、元の路線を辿ってペニスにしゃぶりつく。スザクの下唇と舌が裏筋にダイレクトに当たり、頬張られる角度も相まって腰から下が言うことをきかない。ガクガクと膝が笑う。内腿が震える。スザクの髪先が震える内腿にさわさわと触れ、根本から亀頭にかけてじっくりとねぶられているうちにとうとう我慢がきかなくなった。
「す、すざくっ! も、もう……っ」
 スザクが無言で頷いたのが解り、早いと思われるとか、恥ずかしいとか、頭の中は空っぽじゃないのに真っ白になっていく。やがて強烈な快楽と共に欲望のまま自身を解放するしかなくなった。スザクはドクドクと脈打つ俺のものを咥えたまま何度も舌で扱き続け、解放の瞬間でさえ快楽に拍車がかかった。刺激が強すぎて気持ちいいのも通り越し、完全に馬鹿になりそうだ。「イっているのに!」と思いながら強く唇を噛み締めた。
「んんっ……! んっ! ん! だめ、もぉ。駄目だッ!」
 荒い呼気を吐き出しながら、まだ舌でペニスを扱き続けるスザクに訴える。スザクは少し意地悪そうな表情でわざと俺のものをきゅうっと吸い上げた。
「……ッ!」
 ガクリとうつぶせになった俺の真正面で、スザクが二コリと笑いながら口を開ける。その口の中には俺の吐き出した精液がたっぷり溜まっていて、唖然とした瞬間を狙いすましたようにスザクがすかさず起き上がって俺の上体を押し倒した。萎えた俺のものを最後にひと吸いし、口を閉じたまますっかり抵抗を削がれた俺の両足を押し広げる。そのまま器用に屈み、玉袋の裏側をつうっと舌でなぞりながら辿り着いた先は尻の穴だった。スザクは固く窄まった其処を舌で穿り、舌先をめり込ませてくる。とろみを帯びた体液――俺の精液が、スザクの口を伝って中に注ぎ込まれてきたのが解った。
「あぁ……っ」
「熱い?」
「わ、わからな――」
「だよね。これから熱くなるよ」
 スザクは自分の中指を俺に咥えさせ、ずるりと引き抜いておもむろに俺の後孔にあてがい、ぬめりを使ってつるりと中に指を押し込む。
「……っ!」
「痛くはないよね」
「ん……」
 思ったより簡単に入るものだ。でも、違和感の方が大きい。怖れや恐怖感よりも、スザクの指の節くれだった感触を体で味わう新鮮さの方が上回った。だから黙って頷けば、俯せに屈んだスザクが俺の反応を確かめるように顔を上げ、満足したふうに指を根本まで押し込む。
「あぅ」
「痛くない?」
「……っ、ああ」
「じゃあ、これは?」
 すうっと指が引き抜かれていくのが解る。排泄感に少し似ているものの、ぞわりとした感覚が背筋に走った。
「んぅ……」
 これが快感に変わっていくのだろうか。呻きながら少し上体を起こし、薄目を開けてスザクの表情を見てみる。愉悦を帯びた中にも真剣さの感じられる顔。俺の反応を確かめながら、慎重に事を進めていこうとしている姿勢が見て取れる。
「もう一回奥まで挿れるよ?」
 いちいち言わなくていい、とこちらが思うほどスザクは慎重だ。了解の意を視線で伝えれば、スザクの指が何かの生き物のように少し上反った状態で挿入されてきた。途端、ぞくぞくぞく、と背筋に悪寒が走る。悪寒ではなく、今のは……?
「す、すざく……」
 心細くなって呼びかければ、スザクは何か訳知り顔で、上向けた中指で俺の腹の裏をゆうるりと擦った。また背筋にぞくりとしたものが走る。
 今度ははっきりと解る。これは快感だ。腹の内側を指で撫でられると、ペニス全体が熱くなったような、まるで勃起している最中に感じるような快感が走る。
「やっぱり、ルルーシュ素質あるな」
「……?」
 素質、とは何のことだろう? 尋ねる間もなくスザクは指の注挿を繰り返す。だんだん一本では足りなくなってくるのが不思議だ。しかも、もっと奥まで入れて欲しい。自然と足が開いていく。
「ルルーシュ、やらしい」
「え……?」
「ここ、気持ちいいんだ?」
「あ? ああ……」
 半分以上まだらになった思考の中ぼんやりと答えると、スザクは軽く舌で自分の唇を湿らせてから俺の内腿に舌を這わせた。視線は俺の方を向いている。ジーンズを脱ぎながら言っていて、下着の前が大きく膨らんでいるのが解った。
「指、二本挿れていい?」
 たぶん大丈夫だ。というか、二本も入るのだろうか? 不安に思っているのを見透かしたように、スザクが「まだヌルヌルしてるから大丈夫」と緩和してくれる。さっきスザクが言っていた通り、だんだん中が熱くなってきたように思えるのは気のせいだろうか。指が行きつく先なんてない筈なのに、節くれだったスザクの指は思ったより長く、腹の奥をトン、と小突かれるとペニスがプルンと跳ね上がる。自分でも酷く恥ずかしい。また、スザクがその反応を見て満足気にしているのが解るから尚のこと……。そして、トン、と小突かれるのが何だか好きな気がする。
「おいしそうだなぁ。シャツ、脱いで?」
 言われるがまま俺がシャツから腕を抜き取ると、覆い被さってきたスザクが首筋に顔を埋め、すりすりと鼻先をこすりつけ、探るように俺の唇を求めてキスを仕掛けてきた。さっきまで俺の精液を含んでいた口だ。それなのに不思議と嫌だとは思わない。むしろ愛しさが湧いてきて俺からも夢中で唇を求め、互いに貪り合った。
 ひとしきり互いの唇と舌を堪能し合っている間、トクトクと心臓の動く音が重なり合う。スザクの心音。鼓動が速い。いつの間にか脱いでいたスザクの裸の胸は熱く、俺も燃え上がるようにどこもかしこも熱かった。
 そのうちに指が二本挿入され、腹の内側を撫でられる快感は倍増した。トン、と奥を小突かれるたびに先走りが漏れる。恥ずかしい雫がペニスを伝って流れ落ち、スザクの掌を汚し始めた頃、スザクが堰を切ったように「ルルーシュ」と喘いだ。
「もう少し我慢がきくかと思ったんだけど。――いい?」
「ああ……」
 とうとう一つになるんだな、と思った。今も後ろの孔を塞ぐ二本の指が酷く心地いい。二人で繋がったらどんな感じがするんだろう。まだ満たされていないどこかが完全に満たされるんだろうか?
「来いスザク。挿れてくれ」
「うん」
 ちゅうっと口付け合いながらお互いに頷く。スザクは焦らすように指をぬくぬくと動かしながら、俺の乳首をしつこく舐め続けていた。
「全部可愛がりたい。足りないよルルーシュ。……挿れるよ?」
「ああ。早く……」
「待って。ゆっくり入れないと」
 抜き去られていく二本の指。代わりに押し当てられたものは焼き鏝のごとく熱く脈打っている。俺のものと同じだ。なのに嫌悪感がないどころか、ふと触ってみたくなって俺は手を伸ばした。
「ルルーシュ……」
「これ、俺も舐めなくていいのか?」
「いいんだよ。ルルーシュがいいって言うなら、また今度ね」
 何だか俺ばかり良い思いをさせてもらっているようで気が引ける。やがて、ぴたりと押し当てられた先端が俺の中にじりじりと割り入ってきた。
「んぅ……っ! っあ!」
 先端が入ってしまえば、あとはつるりと中に収まるもののようだ。息を詰めたのは一瞬で、あとはスムーズに納まった。指とは全く違う感触。スザクのものは組み合わさった凹凸のごとく自然と俺の中に収まり、ぴたりと重なり合った体と体が遂に一つに繋がった気がした。
「入ってるの、解る?」
「解るよ」
 繋がっている。ただそれだけのことがとてつもなく愛おしい。「お前は?」と尋ねる前にスザクも同じことを考えているのが伝わってきて、言葉もなく視線が引き合った。
「死ぬほど気持ちいいよ、ルルーシュ」
「……俺もだ」
「ほんと?」
 ぐ、と奥まで押し入ってきたスザクの怒張が俺の中で一段と張りつめる。受け止めている腹の中と、引き攣れそうなほど広げられた後孔ががきゅんと締まり、その時完全に繋がった満足感と充足感で心の中がいっぱいに満たされた。
「身も心も、というヤツだな」
「――俺もだ、ルルーシュ」
「愛なんてまだ解らないと思ってた。でも、愛してなかったら出来ないよな、こんなこと」
「俺も、いとおしいって心の底から思いながら出来たのは生まれて初めてだ」
「そうか」
「ああ……。愛してる、ルルーシュ」
「俺もだ、スザク」
「言葉で言われなくても解る。ルルーシュ、君は俺を愛してる」
「勿論」
 だって、初めてなのにこんなにも気持ちがいい。繋がり合った下肢だけでなく、全身が気持ちいいと叫んでいる。
 愛のあるセックスは照れくさくても、ちっとも恥ずかしいものなんかじゃない。
「今までの俺は大人じゃなかった。だから、二人で上がったような気がする」
 スザクがぽつりと漏らすのを、俺は聞き逃さなかった。「何が?」とわざととぼけてやると、スザクが「ん?」と苦笑する。
 そして、解り合っていることを二人同時に口に出して噴き出した。

「「大人の階段」」


~Fin~

ココロノヤミ(仮)




 ああ、調子が悪いな。そう思いながら目覚めるのは久しぶりのことだった。
 僕は寝起きが悪い方じゃない。起きてすぐ体を動かすのだって別に平気だ。走り込みに行って竹刀を振り、軽く汗を流して学園へと向かう。いつも通りの朝ならそうする筈だった。
 でも、今朝はたて続けにこう思った。――今日はルルーシュに会いたくないな。
 どうしてそう思うのかは解らない。ただ、具合が悪い時の僕はたまにこうなる。理由は謎だ。軍に入った頃からだろうか……きっと気のせいだろう。
 具合が悪い。そう思う場合にも二種類あって、単純に体調が良くない場合、そして人に会うのが億劫な場合。今日は後者だ。
 そういう日は起きた瞬間に解る。心も体も鉛のように重くて、特に理由も無いのに苛々するからだ。手足を動かす神経が脳から切り離されたように、思い通りに動けなくなる。
 とりたてて何かあった訳じゃない。面白くない出来事に遭遇したとか、不快な目にあったとか。それなのにそういう日は人に優しくするのがとても難しい。普段なら呼吸するのと同じくらい自然に出来ることが、何も手につかなくなる……出来なくなる。
 いや、出来ないんじゃない、したくないんだ。暴君のように我侭な衝動。誰も彼もを傷付けたくてたまらない気持ち。人目も憚らず怒鳴って暴れて殴りつけて、気に入らない相手がいれば片っ端から喧嘩を吹っかけたくなる。目一杯好き勝手に振舞っては困らせてやりたい、特に大事な人を。
 ――彼が。ルルーシュが俺の一挙一動に振り回される姿が見たくなる。きっと豹変したように見えるだろう、それとも昔のままだと思うだろうか。
 試してみたくなる。俺に酷い台詞を吐きつけられ、追い詰められ、俺と同じように心を揺らして泣いてくれるかどうか。俺の言動に傷付き、それでも離れたがったり実際に離れていったりしないかどうかを。
 そんなの嫌だ、僕は嫌なのに……だから誰にも会いたくない。
 多分、僕はどこかおかしいんだろう。頭か、でなければ心か。その両方か。好きな人であればあるほど、大切な相手であればあるほど、全て遠ざけて一人きりになりたくなる。
 租界とゲットーの境。時折一人きりで其処に佇んで、僕が壊したも同然な瓦礫の山を見渡しながら思う。「ああ、これが俺の本性だ」と。
 忘れてはいけない、そう思いながらルルーシュのことを考える。生き別れたあの日に言えなかった言葉を何度も繰り返し、何故言わなかったのだと自分を責める。どうやって伝えれば良かったんだろう、どう伝えるのが正しかったんだろう? 省みているんじゃない、顧みているだけ。ただ悔やんでいるだけでどうにも出来ない自分を嫌になりながら、力が欲しいと。そのために歩んでいるのだと。
 でも本当は、「もし懼れている日が来たら、その時は――」。覚悟を決めたつもりになっていつまでも迷い続けている。
 考えているのに動かないなら考えていないのと同じだ。誰かに「考えている」と言いたくなる時は大抵、本音ではやりたくないと思っている、という意味だから。
 軍に居さえすれば死ぬ日は確実に来る。それだけが免罪符。避けていたいんだろう、逃げていたいんだろう。相変わらず俺はどこまでも醜いままだ。
 指針が欲しい、進む道ならとうに決めた筈なのに。そうして迷う時、僕はルルーシュが自分の懼れの象徴だからこそ執着していて、実はルルーシュ個人にはもう然程の興味も関心も持っていないのではないかと疑っている。……特に、再会した後のルルーシュには。
 そのたびにほんの少しだけ安心して、こう思うんだ。「ルルーシュは僕がいなくてもやっていけるだろう」と。
 だって、再会を果たすまでのルルーシュだってそうやって生きてきた。離ればなれになり、いつしか互いにとってそれが当たり前になった。七年は長い。僕にとっては短かった。でもルルーシュにとってはそうじゃないだろう。たとえ僕がそこにいなくても、命を失ったとしても――大丈夫だ、ルルーシュはきっと生きていける。 なのに、昏い気持ちが湧いてくる。
 別にいいじゃないかそれで、何がいけない? 大好きな筈のルルーシュを不安にさせて、傷つけて。向けられた信頼を粉みじんに打ち砕いてしまいたい。
 どうしてなんだろう。凶暴で獰猛な感情。昔のまま変わらない、変われもしない俺がいいというなら何が何でも見せたくない。突き放したいし遠ざけたい。
 でも……。

 『なあスザク、お前はいつだって俺達兄妹の味方だろ? お前だけは』
 『本当は違うのか? もうブリタニアに染まってしまったのか? 俺達兄妹を捨てたあんな国に』
 『そうだよな、ブリタニアの軍人だもんな。だったらもう、お前に心は開かない』
 うるさいうるさい、うるさいうるさいうるさい。
 やめてくれルルーシュ、そんな目で俺を見るな。もう死んだと思ってくれていて良かったんだ、君の幼馴染は死んだ。

 君を遠ざけたいんじゃない、俺が遠ざかりたい。理解して欲しいなんて思わない、君に対してだけは。
 矛盾している……僕だって君には幸せになってもらいたいと思っている。笑うルルーシュの姿を見るのは楽しいし嬉しいし、何より喜ばしい。ルルーシュの幸せこそが僕の幸せなのかもしれない。
 ところで幸せの形って何だろう。昔ルルーシュやナナリーと話したことがあったっけ……? でも今はどうでもいい。後からそう思ったことを死ぬほど後悔すると解っていても、今この瞬間だけはその記憶を遠ざけていたかった。
 こうやって、何度も何度も自分を裏切る。これではいけないと立て直しては、また他ならぬ俺自身が全てを壊そうとする。まるでいたちごっこ。自分の中に自分が二人いるみたいだ。
 何か我慢していることでもあるんだろうか。ストレスでも感じてるっていうのか? 確かに僕はイレブンで、ここはブリタニアで。名誉ブリタニア人といっても差別され迫害される立場であることに変わりはない――実際、嫌がらせを受けたことだって。
 いい人の振り、優しい振り。意図しなければ理想通りの自分になれない自分。そんな自分を俯瞰している自分と目を背けていたいもう一人の自分。いつもならば無視出来る。知らない振りや気付かない振りをしていられる。蓋を被せて無かったことに。
 無い訳じゃない、そこにある。過去だって消えてなくなる訳じゃない。それでも見るなと言い聞かせて、誰よりも醜い俺自身を必死で隠している。

 さっきから自分自分ってうるさいな、馬鹿じゃないのか俺は。さっさと起きろよ。

 そこまで考えてから唐突に気付いた。僕は無かったことになんかしていない、いつだってもう一人の自分を直視していたじゃないか。見たくなくても見えてしまう俺自身を――醜いと。
 だからそう思っていたのは過去の俺であって、僕じゃない。
 じゃあ僕は、一体いつの話をしているんだ……?
 確かに、何もかもが汚くて何もかもが嫌だ。世界は僕の思い通りにはならない。そんな当たり前のことに腹を立て続けていることも……。
 ルルーシュはこんな時どうするんだろう。俺のように考えることがあるのか? 人知れず悩んだり苦しんだりすることが。
 ある。きっとある。ルルーシュは誰にも自分の本心を打ち明けないし悟らせようとしないけれど、きっとルルーシュだけが俺の本心を理解する。
 でも知られたくない、気付かれたくないんだ。気付かせたくない気付かせてはならない近付けたくない近付けてはならない……。
 でも――傍にいて欲しい。困った奴だと笑って慰めて、あの細長い綺麗な指で僕の頭を撫でてくれ。毎日毎日毎日毎日無性に寂しくて苦しくてたまらない、空虚なんだ。真っ暗でがらんどうだよ、それでいいって決めたのに。
 もう一生このままだ。そう受け入れてる筈なのに、まだ縋りたがっている。生きる意味を探してる、求めてしまう。
 ごめん、ルルーシュ。何も言わずに君を抱きしめて、抱きしめ返されたい。何があっても、どんなことがあっても、俺だけはお前を全て受け止めてやると。あの困ったような美しくも優しい笑顔を僕一人の為だけに向け続けていて欲しい。

 自分の甘さに絶望する。僕の中の、僕も俺も。

 違う……ルルーシュに綺麗なままでいて欲しい。だからそんなことは願っていない、望んでしまってはいけないんだ。君は俺みたいな醜い人間から一刻も早く離れて、幸せにならなければいけない。そのために遠ざけてきた、本心だろう……?
 俺だって思ったじゃないか。ルルーシュを失った十歳の時、もう大切な人を失わなくても済む世界が欲しいと。
 そのためにここまで来たんだ。力が欲しかった。いつ死ぬか解らない場所でならそれが許される気がした。
 だから――――だから。


 ああ、頭の中が煩い。うるさいんだよルルーシュ。
 憎みそうになってしまう。愛しているのに。


 気付けば僕は勃起していた。
 夢想のルルーシュ。秘密も隠し事もせず、もちろん危ないことには手を出さない。僕の説得に反発しても、最終的には「解ったよ」と必ず素直に応じる。プライドが高いくせに淋しがりやで、でもその本性は僕の前だけでしか露わにしない。
 『生きるんだ』。僕を熱い矢で撃ち抜いたあの日の気高さを損なうことなく、どこまでも純粋で綺麗なままのルルーシュが好きだ。
 布団に包まったまま下着の中へと手を突っ込んで、硬く立ち上がった性器を掴みかけてから思った。
 最低だ、理想の押し付けでしかない。いったい何度彼を裏切れば気が済むんだろう?
 そう思った瞬間、僕の中で僕を誘っていたルルーシュの目が一転して軽蔑の眼差しへと切り変わる。冷たい、そこらに転がる石ころを見るよりもまだ無機質な、見下し切った眼差し。

 許されたい。
 許して、許して、許して欲しい。
 愛して、助けて、愛して欲しい、僕のルルーシュ。
 ゴミみたいな理性をかき集めながら、やっとの思いで下着の中から手を引っこ抜き、ふらふらしながら起き上がった。
 何だか眩暈がする。足元が覚束ない。歪んだ視界が陽炎のように揺れる。
 もしかして熱でもあるんだろうか?
 あればいいのに。
 そうしたら僕は………………俺は……。


 時代遅れにも程がある水銀温度計。腋から抜いたそれを目の前に掲げてみた。
 目盛りは三十八度を超えている。蟻の行列にも似た数字に焦点が合った瞬間、訪れたのは異常ともいえるほどの安堵と静寂だった。
 二度ほど意識が落ちて、泥の中。まどろみともつかないヘドロの中でチャイムの音が鳴り響く。


 誰か来た。
 ――ルルーシュだ。


 僕は確信していた。これからきっと悪いことが起こる。
 とてもとても酷い、夢の始まり。



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逃げて! ルルーシュ!(笑)
スザクって時々こうなるんじゃないかな~なんて考えながら書いたものでありました(・ω・)
一時期限定でプライベッターに上げていたものをサルベージ。
「大人の階段2」までの閑話休題にしては結構厳しい内容のものですね……_(:3 」∠)_

プロフ

夕希(ユキ)

Author:夕希(ユキ)
取扱:小説・イラスト・漫画

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