目次総合・更新履歴 (全て別窓表示)



f_new12.gif 更新履歴
・私の中のルルーシュくんが喋り始めたので喋らせてみた。【兼ゼロレク記念日における個人的ケジメ】(スザルルC)
・ネット民に(間違った形で)愛されまくる枢木卿妄想(その他)

<お知らせ / 最終更新 2019/9/28>
お久しぶりです。復活感想総括、ゼロレク記念日にけじめとしてUPしてみました。
ついつい浮かんじゃった妄想まとめもおまけに更新。日記も密かに随時更新してます。
以下、重要事項につき、このサイト及び日記を読まれる方は特にご注意下さい。

【追記】10/10、Twitter鍵開けました。icon-14.jpg・日常呟き→ 「Twitter」

当方、復活のルルーシュ及び監督全面肯定派です。
日記も感想まとめと共に更新してますが、内容は非常に激烈ですので注意。

ただ、まだどうしても二次を続けなければならない理由があります。
だからもう少しだけ、矛盾した存在でいさせてください。

日記→  コメントレス→ 




・初めましての方はこちら→ 「about」

・まったりオフライン→ 「OFFLINE」
イベント参加予定、新刊等、随時更新予定です。
現在オフライン活動は休止中です。主にオンライン・支部更新中心となっております。

・Pixiv pixiv.gif


★イラストはカラーのみココに置いてあります。一部PC推奨。

★らくがき(写メ・漫画まとめて見る方)はこちらから→ 「らくがき倉庫」
 またはブログのサイドバー「MENU」の「イラスト」から。

※らくがきは無造作に転がってますが、地雷の如く成人向スザルルばかりですのでご注意!
※漫画はまだ携帯からは閲覧できません。PCのみですスミマセン。




短編(読切・SS)

new↑↓old (特に表記が無ければスザルルです)

・ココロノヤミ(仮)(以前プライベッターに期間限定うpしていたものをサルベージ。ダークなスザク独白です。)
・大人の階段2(完結編です。R18
・大人の階段1(「5月23日の惑乱」続編。更に続きます。モブお姉さんと枢木の絡みがあるので苦手な方はご注意☆)
・5月23日の惑乱(キスの日ネタ。続きます。)
・getting over you.(ルルーシュが復活する前に上げておこうとしたネタ。R18
・夜の帳が降りる頃(2015年ルル誕)
・たとえばこんな恋の始まり(FULL CODEペーパー)
・処女厨枢木×淫乱処女ルルーシュ (スザ♂×ルル♀・R18
・やさしい口の使い方(2014/5/3スパコミペーパー)
・夜空のゆりかご【加筆修正有】(スザルルC・ルルーシュ2013年BD)
・正反対という才能 (2013年ゼロレクイエム)
・裏切りの代償 (亡国第二章ネタ)
・Where am I going?(8/18インテ無配ペーパー・兼スザク2013年BD)
・君の囁き、僕のうた(スザク2012年BD)
・甘い甘い、僕の恋人 (ほのぼの・現代パラレル)
・抱き枕SS (ルルーシュ抱き枕発売記念・R15
・空の箱に硝子玉 1  (スザルル・官能小説家スザク×担当ルルーシュ・R20・SM描写有・※未完
・Dangerous game.(イラスト付) / 携帯版 (現代パラレル・OBスザク×高校生ルルーシュ・R15
・贈る言葉 ~一分前の独白~ (シリアス・ゼロレク後・ルルーシュ2010BD)
・拝啓、黒猫さん。 (現代パラレル)
・SOSとポーカーフェイス 1  (シリアス)
・99% (シリアス・幼少)
・男前なジュリエット~君の愛はワールドワイド~ (スザク2010年BD)
・さて問題です。 (ギャグ)
・真実は白と白 (シリアス・ゼロレク後・スザク独白)
・暫くピザはお預けだ! (ギャグ・ルルC)
・これでお互い様だと判じられるなんて、心底、心外だ。 (ぬるいギャグ・残念な騎士皇帝)
・R2 23話妄想  (スザク独白)
・割れ鍋に綴じ蓋なスザルル (割とオールキャラなギャグ・SE風?)
・月光 (シリアス・ゼロレク前)
・ever green (シリアス・ゼロレク前・スザク独白)
・僕の嫌いな俺 (シリアス・スザク独白)


中編

・二.五次元の君 <完> (15禁/漫画家スザク×大学生ルルーシュ)
1 2

・夏風邪のルルーシュ <完> (スザルル/SE「決戦前夜」派生/R20シーン含/大人専用
     

・Lost Paradise. (スザルル/ルルーシュ記憶喪失IF・シリアス)
         10 11 (第一部・完)

・Lost Paradise.Ⅱ (スザルル/ルルーシュ記憶喪失IF・シリアス)
    (続) 随時更新。最終更新12/28


長編

・オセロ (スザルル/本編沿いシリアス/R18・R20シーン含/大人専用

         10
11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 23.5 24 25 26 27 28 29(続) 随時更新。最終更新9/2


イラスト

(new↑↓old) ★=R18

・2014/12/05/ルル誕
・枢木スザク生誕祭2014
・塗り方普段とちょいと変えてみました。
・ストレスフルセブン様とセブジュリ絵茶ログ★
・2012年ルルーシュ生誕祭 / 携帯版
・グラドルルルーシュ★ / 携帯版
・白騎士さんと帽子屋さん / 携帯版
・キスの日 / 携帯版
・【リク絵】飼い主スザクさんとぬこルルでエロ★ / 携帯版★
・【リク絵】ハーピースザルル / 携帯版
・【リク絵】ハーピールルーシュ / 携帯版
・モノクロイラスト四点 / 携帯版
・Never say goodbye.(スザルル) / 携帯版
・悪戯 (スザルル)★ / 携帯版★
・2012年すざるる年賀 / 携帯版 ※DLフリー
・2011年ルルーシュハピバ! / 携帯版
・ピアスルル / 携帯版
・僕の頬に君の掌 / 携帯版
・すざるる絡み絵★ / 携帯版★
・「…お姉さん、一晩だけでいいから、僕のこと慰めてよ」★ / 携帯版★ (※スザク×女体
・飼い主スザクさんとぬこルル / 携帯版
・【リク絵】わんにゃんスザルル★ / 携帯版★
・アニメ塗りリハビリ(ルルーシュ副会長)/ 携帯版
・僕がどれほど君を好きか、君は知らない。(スザルル) / 携帯版
・I keep praying.2 (騎士皇帝) / 携帯版 ※DLフリー
・I keep praying. (ルルーシュ/東北地方太平洋沖地震に寄せて) / 携帯版 ※DLフリー
・捧げ物すざるる / 携帯版
・誕生日リク絵三点★ / 携帯版★ (※ルルスザ画像混入
・ゼロルル絵 / 携帯版
・すざるる&ルルCお年賀  / 携帯版 ※DLフリー
・姫始めスザルル★ / 携帯版★
・ゼロスザ / 携帯版
・2010年ルル誕祝 / 携帯版
・皇帝ルル / 携帯版
・お泊まりすざるる /  携帯版
・窓辺のるるーしゅ / 携帯版
・おとなせんよう はいごちゅうい / 携帯版★
・猫祭り(猫ルルですw) / 携帯版
・「やりづらくなったよな……」なスザルル / 携帯版
・どういうルルーシュに一番萌えるのか考えてみた / 携帯版
・「ねえ、ちょっとこっち向いて?」なスザルル / 携帯版
・すざるるちゅー / 携帯版
・すざるるういんたー / 携帯版
・ドエス枢木様 / 携帯版
・ルルーシュ陛下二周忌追悼イラスト / 携帯版 ※DLフリー
・色鉛筆画ルルーシュ
・SAIでルルーシュ
・綺麗なお兄さんは好きですか?なルルーシュ
・そんなこと言われなくても別に取らないから。なスザルル
・ミクシニュース見て思ったこと。なルルーシュ
・SAIでらくがき。なスザク
・ブルーローズ(割とちゃんとしたCG。ルルーシュ)
・KEEP OUT(アニメ塗りスザク)
・コピックで皇帝ルルーシュ
・アニメ塗りゼロルル
・就職祝い捧げ絵ルルーシュ
・過去フォルダから発掘してきたスザクさん(怖い顔してますので注意!)
・お初CGルルーシュ

⇒ 「らくがき倉庫」(写メ・漫画含む)への入口


お題

どうしようもない10のセリフ2

01:よこせ、くれないなら捨てろ / 携帯版
02:お前は私に惚れないから嫌いだ
03:これは何コンプレックスなんだろうね
04:私は甘くない。どちらかというとショッパイぞ
05:何をどうしたらそんな奇蹟っぽいことになるんです? / 携帯版
06:目の黒いうちはとか言う奴ほど目が血走っているってことさ
07:失ってはじめて、あなたは要らないものだったと気づいたんです
08:俺のガラスのハート、割れたら凶器だって知ってた?
09:ちょっとぐったりしてるけど使えないことはないよ、コイツなら
10:さぁ、オレに同情しろ!

お題はこちらからお借りしました→ 「東から南へ三十度」


その他

(new↑↓old) ★=R18

・表紙作業なう(空の箱に硝子玉・下巻)
・合衆国スザルルお知らせ / 携帯版
・絵茶ログ(すざるる色々詰め合わせ?)
・【考察】 R2・23話:すざくさん、るるーしゅ君ヤキ入れシーンについて気付いたこと。
・一度離婚した熟年夫婦すざるる妄想 (スザルル・若干ルルCルル要素有)
・長くなりすぎたスザC妄想★ (スザルル・ルルCベースなスザC)



頂き物

・水城 侑里様より「雄臭い表情のセブン様(イラスト)」を頂きました。
Lese*Majesty 珠那(しゅな)様より「片思いルル」ネタで小説を頂きました。 → 【思いを融かして】
・たたこ様より小説を頂きました。→ 【スザク君の憂鬱】 ※R15
・茶々子様より小説「悪戯」を頂きました(挿絵付) / 携帯版 ※R18
「パノラマ幻想響」のヒナさんよりルルーシュのイラスト一枚頂きました。

らくがき倉庫(写メ・漫画含む)

らくがき、漫画を一気見したい方用です(`・ω・´)
更新履歴に載らないらくがき(写メ含む)を格納している倉庫になってます。
画像直接表示ですので、うp時の記事にはリンクしていません。
全て別窓。★マークは背後注意!


らくがき
※カーソルを合わせると軽く紹介文が出ます。
←NEW OLD→

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漫画
※描きかけ含。携帯からはまだ見られませんごめんなさい。
↑NEW ↓OLD


f_new31.gif ・【捧げ物】 風紀委員×副会長漫画8P+おまけイラスト(彩色バージョン) ※R18
・【捧げ物】 風紀委員×副会長漫画8P+おまけイラスト ※R18
・閑話休題
・あの日僕が見た幻 (ルルーシュ陛下三周忌追悼漫画)
・プッチンプリンDEスザルル。 1  (続)

↓以下キャラナリしてますので三次元当てはめ系が苦手な方は全力で回避!

・ある友達との会話 1 (友人A子のドエス発言)
・A子さんネタ 2 (上の続きです)
・更に続いちゃったA子さんネタ 3

……ほんとはもっと沢山A子さんネタあるんですけど、気が向いたら上がってるかもしれませんw

ネット民に(間違った形で)愛されまくる枢木卿妄想




最近(?)でもないか。かなり前から私服のファッションセンスがファッソンからファッションに進化してクッソ可愛くおなりあそばされてる枢木、やっぱりコーデしてるのはどこかの善人であって、本人のセンス自体は全く根本的に改善してないポンコツなままだったら嬉しいな。

私服姿を激写し、有吉アカの今日の田中ばりに「今日のスザク」を上げてくれアーニャ。「私服。センス、壊滅的」って一言も添えて。Twitterアカウントで晒し上げからの公開処刑、是非やって欲しい。

ここぞとばかりにぶっ叩きにかかるアンチ達と、そんなアンチどもにキレて一斉蜂起するガチファン対決。見たい見たすぎる……。

「あなたに枢木卿の何が解るんですか?」「不愉快です」「半年ROMれ(←どうやって!)」等々クソリプ送りまくってテメーのメンション地獄にしてやる!と各個撃破にかかるガチファン、TLで暴れまくるゴリラ散見!からのリムブロ捗りまくる皆さん、組織票による壮絶なるアカウント凍結大合戦。

これ幸いにと枢木画像をクソコラ加工しようと試みるも、いかんせん元画像がクソすぎて見事敗れ去るアンチ。コレを上回るクソにはどうあがいても出来ない。そう思いつつやっぱりHDDにそっと元画像保存キメちゃう皆さん。嗚呼どれもこれも見たい。

関わりたくないのについついキャンプファイヤーしちゃうネット民、黙ってブラウザそっ閉じする者、達の中に実は一部始終見てたユキヤとかほくそ笑んでるシュナさんとか何でか知ってるマリーベルとかいたらいい。そして密かに散っていったアンチの中にはロロの姿もあって欲しい。

私服画像うpされたのが18時、収束時間は午前5時。見事大炎上!で仕掛け人こと火付け役のアーニャさん一人勝ち。残るは焼け野原。爆発四散した挙句、灰になって飛び散らかるしかないアンチとガチファンとゴリラたち。屍になり果て真っ白に燃え尽きることすら許されず。だが、悲劇はこれだけでは終わらない……。

翌日、ネットのトップニュースで「ブリタニアの白き死神、衝撃の私服センス」とすっぱ抜かれ更なる公開処刑。ここで事態を初めて知ったライトな女子ファン、一斉に掌返し。

「これは酷い」「さすがに擁護できない」「ちょっと可愛いと思ってたのに残念すぎる」「裏切られました」続々と寄せられるコメント欄も地獄と化す惨事に発展。更にアーニャ・アールストレイム卿の「私服。センス、壊滅的」の一言もトドメの一撃で処刑完了。

当然、この時点で枢木は何も知らない……。なんかみんな携帯見てるなぁ何だろう?しかもその後こっちに向けてくる視線が何故か平たい。そこで無邪気にニュース見せてくるジノ。(お約束人員チョイス)

「えっ僕こんなの知らないよ何コレ!?」その場では取り繕うも、センス全否定がボディーブローの如くじわじわと効いてきて大ダメージ、ド鬱と眉間の皺マッハ。どこに向けたらいいのか解らない罵倒ノンストップ!からのやっぱりド鬱の極みに至る無限ループ。

私服新調しようにもプライバシーなどない政庁暮らし。ネット通販に頼ろうにも買ったら否応なくバレる。しかも、センスそのものを全否定されているため選ぶに選べない。相談役候補は全員ろくでなし。どころか寧ろ戦犯!意見など参考にしようものなら間違いなく面白コーデにされてしまうことうけあい。誰にも相談できない→孤立不可避!

もういいよ仕事忙しいしいつ呼び出し来るか解んないから常に制服のままで!→R2にてシャーリーとイケブクロ待ち合わせの時も「あの私服」のままだった理由、実はソレ。だったりしないかないやしない。解ってる。

その後も枢木のあずかり知らぬところで更新され続けるアーニャさんの記録。ファン・アンチの「私服下さい!」の声は届かず。「あの画像」以降、枢木は常にラウンズ服ぴっちり着用で隙なし死角なしを取り繕い続ける。実情が真逆という事実に、この頃はまだ誰も気付かない……。

一方その頃、悪目立ちも厭わずどこにでもラウンズ服で出没する枢木卿。キャットフード業務用と大量のネコ缶を堂々たる制服姿で華麗にキャッシュレス決済キメてくサマやら、無駄に悪目立ちしまくりdisられまくるのも構わずスーパーうろつく枢木卿やら目撃情報多数。さながら山から下りてきた熊。

動揺を隠しきれないブリタニア臣民の皆さんとは裏腹に、何かを察知するネット民。
「ああこの人、センスそのものを全否定されてるから私服新調しようにもできずにいるんだ…」

圧倒的事実に気付いてしまった元アンチ、草生やしまくりdisりまくりながらも徐々に同情し始め、うっかり軽率にファンになっていってしまうという皮肉な逆転現象発生。

その間、アーニャ宛に「虐殺皇女のバカデカい肖像画、運んでいくの無理ですって言ったら枢木卿が「ああいいよ僕が運んでいく」そう言うなりガニメデでピザ生地作ってた時と同じ手さばきでヒョイッと持ち上げて軽々と運んで行きました、鬱顔で」とか、誰からのものとも解らぬどうあがいてもネアカエピソードのタレコミが相次ぐ。

当然、隠さずもれなくTwitterにてマメにネタを射出していくアーニャさん。無論、慈悲はない。

コノエナイツの誰とは言わんがお察しくださいなあの人やこの人からも後出し発言、擁護、タレコミが多数相次ぎ、やっぱり枢木本人の意図せぬところで徐々に明かされていく人となり。「ナイフキャッチ・スザキュア(画像なし)」等、突如流される枢木卿情報から、もう誰も目が離せない。

それがちょっと退屈になってきてしまったアーニャさん。スザク、ジノとのナンパ対決激写。躊躇なくうp。繰り返すが慈悲はない。またも炎上! そう思いきや目算は外れる。だが否応なく始まってしまう、第二次クソコラグランプリ!

「君のほっぺ、なんかいい匂いがするね!(仮)」な枢木渾身、満面の笑顔!激写が原因。これはネタにされるの当然すぎる。

「あの画像」以上のクソはない。もはやネット上ではそれが定説につき、今度こそ!とばかりに奮起してしまうネット民。クソコラしようがない程のクソを思い知らされ敗れ去った者達の無念な記憶と謎の屈辱感は未だ劣化の兆しすら見せず真新しいまま。

ナオト・インティライミも真っ青なサイコパス画像に仕立て上げる者、お約束だぜ!とばかりに嬉々として枢木の両目に「提供」の二文字を貼り付ける者、続発。
なのに、いつまでたっても優勝者が決まらないまま時だけが過ぎていく不思議。本当に何故なんだ。

アーニャアカウントのメンション、不本意ながらも間違った形で愛されまくる枢木卿へのリプではちきれんばかり。「おいしいネタ有難う」「枢木卿おもしろすぎる」「いいぞもっとやれ」「恒例行事化希望」「案外いい人(但し売国奴)」「ハイスペックポンコツ」「実にいい笑顔」「もっと下さい」――完璧にオモチャ扱い。

「噛み続けてるうちにどんどん味が変わっていき、いつまでたっても吐き出せないガム」のおもしろさは、もはやスルメすら凌駕する。幸か不幸かうっかりハマってしまった人々の悲劇なのか喜劇なのか解らない幸せは続く……。



終わってしまえ!( `•ω•´ )
そう思いつつ、もしかしたら最終話以降まで続いちゃうかもしれないネット民の皆さーーーん!!!!!!(ぶん投げていく)

私の中のルルーシュくんが喋り始めたので喋らせてみた。【兼ゼロレク記念日における個人的ケジメ】




なあ、聞いてるか? C.C.。
返事くらいしたらどうなんだ。相変わらず横着な女だ。

まあ、最近は三歩下がって付いてくる。お前みたいな慎みのない魔女にしては悪くない気分だ。
勘違いするなよ。あくまでも、ほんの少しだけそう思ってるだけだ。

とりあえず、お前に言っておきたいことがある。
いちいち言葉になんかするな?
馬鹿を言え。
まさかお前、俺がそこまで親切な男だとでも思ってたのか? 全部独り言に決まっている。

大体、口にしなくたって知っているんだよ、お前は。


***********


お前はあの時、俺に「不死」という呪いを押し付けることだって本当は出来た。なのに俺を哀れんだのか。
優しすぎるのはどっちの方だ。
俺じゃない、お前だろう。
だからこそ、どうしても「永遠の命という地獄」を俺に押し付けることが出来なかった女。

本当は、ただ「生きたかった」だけ。
俺だって、それは同じ。
親に捨てられ裏切られ、支配と服従、隷属を強いられ傀儡とされ、何もかも奪われ、憎悪に塗れ復讐を決意し、実行に移し。
もっと言えば、「生きた」ことなんか一度もなかった。
生まれた時から死んでいた。
名前も嘘、経歴も嘘。嘘ばっかりだ。
まったく変わらない世界に飽き飽きして。でも、嘘って絶望で諦める事などできなくて。
何もしない人生なんて、ただ生きてるだけの命なんて、緩やかな死と同じだ。
心臓さえ動いていれば生きている。そんな詭弁では誤魔化せない。
自らの手でしか成し得ないこと、それを成し遂げてこその人生。
だから、俺は生きているんじゃない、死んでいる。
ずっと、そう言い聞かせ続けるしかなかった。

嘘でしか偽れない苦しみ、罪悪感。
変わらない現実、変えられない無力、嘘で鎧い、本当は欺いている日常。誰も気付けない。
ぽっかりと口を開けた空虚、いずれ飲み込まれてしまう。
他者と圧倒的に違う自分。世界と己とを隔てる断崖絶壁。でも、見えているのは自分だけ。
何故なら俺は、棄てられた皇子。

守りたい唯一の存在、たった一人の愛おしい妹。
既に見えている未来、そこに希望はない。それも、見えているのは自分だけ。
日々募る焦燥、高まっていく危機感。限られた時間、許されぬ妥協。降り積もっていく憎悪。もどかしさと歯がゆさ、悔しさ。
これも、抱いているのは自分一人。

強大な敵、実の父。国家。俺たち兄妹のみならず、母の死ですら平然と切り捨てた男。
世界の三分の一を占める超大国――到底、たった一人きりでは太刀打ちどころか、爪痕を残すことすら敵わぬほどの。
死と引き換えにしてでも成し遂げたい目的。
それは平穏。とっくの昔に奪われ、完膚なきまでに破壊され尽くしてしまった、あの夏の日。
終わりを迎えた過去。取り戻すことなど出来やしない。
でも、あの束の間の幸せにも似た、ほんのささやかな幸福。
安心して暮らせる世界、自由に生きることの許される居場所――彼女が望む、優しい世界。

蔓延る差別への憤り、表向きだけ区別と嘯く自分、貴族や皇族達への嫌悪、だからこその比較。
罪悪感など遥かに凌ぐ憎悪と憤怒とを礎に。だが、他者に向けた軽蔑と侮蔑の裏に隠されていたものは、無自覚な高慢と傲慢。
掲げたのは妹と友という名の免罪符。それを糧に、己に課した殺人。
盾として誂えた虚偽の正義。創り上げた記号――ゼロという名の救世主(メシア)
どこまでも理不尽な世界。弱者を虐げる暴力。いつまでも続く戦争、負の連鎖。
あの国がある限り、あの男が生きている限り、終わらない。

無視され続けた悲鳴、響き渡る絶叫。振りかざした正義。
しかしそれは、民間人も巻き込む形で行われた暴虐、無差別な殺戮でもあった。
残された結果。そのあまりの大きさに声もなく立ち尽くす。
踏み越えているつもりだった。悪魔と契約した身であるからこそ、人としての心など封殺し、冷酷非情に徹すると。
知らぬ間に寄せられていた恋慕。忘却の強要。
心に無遠慮に押し入られ、秘めていた過去を暴き立てられ、現在持つに至った信念と矜持までもを蹂躙され、踏みにじられた友。
だが後戻りは出来ない、進むと決めた以上。
いつまでも凍り切れない心の絶叫、耐え難い魂の嘆き、全てに蓋をして。
哀悼を示してみても、立ち止まることなど決して出来ない。
たとえ、心がいつまでも凍り切れないのが、激しく燃え盛る復讐の炎のせいだと解っていても。
解っているからこそ。
抑え難い過去への哀惜、愛着、執着、しかして訪れた友との決別、犯した途方もない間違い、求められる者として背負うべき悲劇の代償、否応なく強いられる覚悟、意図せず招いてしまった決定的な溝、そして迫られる断罪。
待っていたのは徹底的な利用と搾取、背負ってしまった悲劇の責任。だが尚も剥奪される縁(えにし)、代わりに押し付けられた偽り、募る憎悪、取り戻そうと伸ばした手は届かず、海に散って消えた。
徹底的な排斥と存在否定。襲い来る自己嫌悪の嵐。
自嘲、自己卑下、自虐、自己憐憫、諦観、それらに身を委ね、浸り切り、停滞に甘んじ、怠惰に走る道へ進もうともした。

拒絶。叱咤。激励。
弱さを断ち切れたのは、俺自身の力じゃない。
再び立ち上がることが出来たのは、既に尊いものなら得ていたと気付かせてくれた人々がいたから。

それなのに、また延々と失い続ける残酷な現実。

果ては、唯一無二の、縁(よすが)の喪失。
それですら、力を欲し、手に入れ、実際に犠牲も厭わず行使してきた自分自身の因縁と、業が招いた結末。
課される超越の義務。謝罪さえ許されず、今更償い切ることすら叶わぬほどの悪を重ねてきた罪、そんな罪を犯し続けることしか出来ない自己の否定、存在全否定。
怒りの底に沈むもの。それは深い悲しみ。じっと見つめ続ける壮絶な孤独、絶望。
その裏にあったものは、諦めきれない生への渇望。
俺は確かに「生きた」。そう言い切って逝きたい。
とっくに思い知っていた筈の己の貪欲。
数多の命を屠ってなお、そんな権利や資格など疾うに失っていても、未だに求め続ける姿。

改めて突き付けられたもの。究極の醜悪。



***********


※以下、まだ小説版くらいしか資料になる書籍やムックがほとんど出ていなかった頃、サイト連載していましたが、キャラ解釈が変わったこと、また、後出しの本編による補完が行われたことにより未完になった小説「オセロ 28話」(2010年8/18)からの抜粋です。シュナさんがさすがにソレはないwとなるほどあまりのチート極めてる事情については、正確な時系列および詳細諸々、まだ把握してなかった時期から鑑みた上でお察し下さい。でも今読み直してみたら、それなりにニアリー。一応、大略は。



************



「俺は、皇帝になる」
 既に話していたことながら、ルルーシュは敢えてもう一度宣言した。
 スザクはルルーシュをひたと見据えたまま、感情の揺らぎがない顔でそれを聞いている。
「だからスザク。今、改めてお前に問う。……お前は、俺の剣となる覚悟はあるか?」
 悪としての片棒を担ぎ、ルルーシュの騎士となる覚悟が出来ているかどうか。
 スザクは絶対に否とは言わない。それでも、この質問をすることは、二人にとって必要な通過儀礼だった。
「君を護れというのなら、それは無理だ。俺の剣は殺す剣。もう、誰かを守る剣にはなれない。それでもいいのか?」
 固い表情のまま、スザクは即答した。
 軍人として、騎士として、殺戮を拒みながらも大勢の人間を手にかけ、自分という剣を血で汚してきたスザク。
 守りたい、助けたい、救いたいと願いながらも、人を殺すことが己の業なのだと悟った者の、壮絶な辛苦に満ちた心の内側が透けて見える台詞だった。
「それでいい。だからこそ必要だ、お前が。――それに」
「…………」
「八年前に約束してくれただろう。『俺がお前を皇帝にしてやる』と」
「!」
 ルルーシュの言いたいことを察したのだろう。スザクは一瞬息を飲んでから、すぐに唇を引き結んだ。
 本当は、お互いに解っている。言葉にこそしないものの、つい先程、カフェにいた時にも確認し合ったことだからだ。
 ここに居るのは、今スザクと向き合っているのは、ルルーシュ・ランペルージでもゼロでもない。
 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという、祖国に捨てられた元皇子。
 そして、ルルーシュを見つめるスザクもまた、只の枢木スザクでしかなかった。
「俺はまだ、君を赦していない。俺の思いを踏みにじって、ゼロの仮面を被り続けてきた君を」
 スザクは静かな声で断罪する。
 三人でいる時には口に出さなかった、スザクの本音だ。
(積もる話もあるだろうからな、か……)
 C.C.も言っていた通り、このスザクという男は、決して一筋縄でいく人間ではない。
「ああ。解っている。だから、俺たち二人で創るんだ。ユフィとナナリーが望んだ、優しい世界を。それこそがお前の望み続けてきた償いの道であり、今の俺に出来る懺悔……。お前と、明日を奪った人々、そして、世界に対する唯一の――」
 その為にも、まずは世界征服から。
 ルルーシュが同意を求めるようにスザクを見れば、察したスザクもルルーシュの意思を汲んで目を合わせてくる。
 共犯者としての、これは確約だった。
 スザクの纏う空気が押し殺した怒気ではなく静寂であるのも、過去を取り戻すことなど出来ないと悟ったが故の諦観なのだろう。だからといって、足掻くことをやめた訳ではない。土を噛んででも、成し遂げたい目的がある。
 今の二人に余計な言葉は不要だった。同じ位置に立った者同士だからこそ、思いを共有出来ると知っているから。
「ルルーシュ。君のシナリオを聞かせてくれ」
「それは、同意したと受け取っていいんだな?」
「ああ。俺に拒否する理由はない」
 スザクの答えを聞いたルルーシュの瞳に、峻烈な炎が点る。
 ……これで、駒は全て出揃った。
 背凭れに背中を預けたルルーシュは、練り上げた計画についての詳細を語り始めた。
「まずは、帝位の簒奪。これは、超合衆国を抑え、実質的な世界統治に至る前に打つべき最初の一手だ。ブリタニアという国そのものを、俺たち二人で制圧する。シュナイゼルはブリタニアには戻らない。クーデターの件を一時保留にし、超合衆国との交渉を継続する傍ら、俺たちを捜索していると見せかけつつカンボジアに逃げる」
「ダモクレスか」
「そうだ。つまり、いつでもペンドラゴンを占拠出来る」
「ギアスさえあれば……」
「ああ。まずはそこからだ」
 ルルーシュは一息ついてから、宙を睨んだ。
「シュナイゼルは、俺がこの先ブリタニアの帝位を狙うだろうと気付いている。俺たちの潜伏先についてもだ。だが……」
「解った上で、泳がせている?」
 打てば響く早さで切り返してくるスザクに向かってルルーシュは頷いてみせた。
 追っ手がかからない理由についてはスザクも察していたのだろう。
「皇帝と反目し合っていたシュナイゼルは、皇帝を破れるとしたら俺しかいないと考えていた。そして、俺が勝つだろうとも。お前を皇帝暗殺に差し向けたのも、奴なんだろ?」
 既に確定している予想ではあるが、更に立証させるべく言質を取ろうと水を向ければ、スザクは俯き加減になりながらも頷いた。
「そうだ。フレイヤの……ナイトオブワンになるための功績を、ギルフォード卿に渡すと。だから、皇帝暗殺は俺から進言した」
 やはりな、と言いながら、ルルーシュが目を細める。
 スザクを煽って皇帝暗殺を進言させたのも、シュナイゼル本人。その場にいたスザクは葱を背負った鴨にさえ見えていたことだろう。
(俺とスザクが接触することでさえ、奴にとっては織り込み済み。俺たちを逃したことも、全て)
 シュナイゼルは、黒の騎士団を追われたルルーシュが神根島に向かうだろうと知った上でスザクを向かわせている。
 手段は違えど、二人が目指す世界は同じ。その二人が、皇帝の死を前に結託することでさえ読んだ上での暗殺命令――。
 言ってみれば、一緒に逃げるであろうスザクは、ルルーシュに対するプレゼントのようなものだ。クーデターを起こした時点で皇帝になる気など更々無く、上手くいけば最善の手を打つことも可能だと考えたのだろう。
 シュナイゼルはスザクの性格や行動の動機、情などについても読んでいる。
 その後も有効活用するつもりではいるが、とりあえず皇帝さえ殺せれば、ルルーシュを駒とした最大の目的は達せられたこととなり、仮に、ルルーシュと接触したスザクがルルーシュを殺すとするなら、それはそれで構わない。
 煮るなり焼くなり好きにすればいいということだ。
(奴にとっては、俺の生死など所詮はゲーム。スザクが俺を殺す確率は限りなく低いと判断し、且つ、俺たちが結託すれば尚良しとし、どちらに転ぶかは高みの見物……)
 とことん人を見下し切った発想だと歯噛みしながら、ルルーシュは忌々しげに吐き捨てた。
「俺たちが生き延びた以上、あいつは俺たちを使う気だ。やりにくいこと承知の上で自分が皇帝になるよりも、悪者に一人出てきてもらって、それを討つ立場になるのが最も望ましい。でないと、ダモクレスによる支配でさえやりづらくなるからな」
「……それは、対抗勢力が出てきてしまうということか?」
 自分もルルーシュと同じく利用されたのだと知ったスザクとて同じ思いなのだろう。スザクは表情を僅かに険しくさせながら尋ねてくる。
「それもある。ついでに、出来ればそれも俺に潰してもらいたいという腹だろう。だが、あいつの本当の目的は、俺と一対一の構図に持ち込むことだ。自分を、世界にとっての正義とするために」
 シュナイゼルは、持ち駒と判じた者を骨の髄まで利用し尽くす。その為だけに、出来るだけ生かして使う方向で物事を考える。
 というより、執着が無いので失ったら失ったで構わないけれども、生きていればその時はその時という手を用意した上で、生かすか殺すか考える。
 ――そして。
(奴は、決して『死に物狂いの手』を打たない人物でもある)
 逃げたルルーシュに帝位を簒奪させ、父殺しの罪を背負わせ、更に、世界の敵として始末する立場になる。
 交渉中と見せかけている間にルルーシュたちが出てくれば、それで全部思惑通りという訳だ。
「本来、交渉には最低数ヶ月くらいは必要になる筈だが、あいつが欲しているのは、一応やるべきことはやったという形式だけだ。正式な手段を経たという体面さえ整えばそれでいいと考えるなら、そこまで時間はかけないだろう。精々、二、三ヶ月くらいが目処といったところか」
「それで出てこなければ……」
「ああ。自分が次の皇帝になればいいというだけの話だ」
 スザクに応えながら、ルルーシュは思った。
 皇帝・騎士という関係が形だけのことならば、シュナイゼルの演じる権威もまた、仮面でしかないのだと。
(ずっと対等でありたいと思い続けてきた。俺も、スザクも)
 ……しかし、それと同時に、心密かに願い続けてきたことがある。
「なあ、スザク」
 砕けた口調で呼びかけてみれば、向けられたのは一対の深緑。
 翡翠のようなその奥にどうしようもないほどの悲しみを湛えながらも、スザクの瞳は相変わらず生真面目そうだった。年月を経て厳しさを増してはいても、意思の強さだけは変わらない。
 肘掛を支えに頬杖をついたルルーシュは、微苦笑を浮かべながら言葉を紡いだ。
「皮肉なものだと思わないか?」
「?」
 意図を量りかねたスザクは怪訝そうにしていたが、すぐに気付いた。
「君が皇帝になるということが?」
「ああ。ブリタニアをずっと否定し続けてきたこの俺が……それに、巡りめぐって俺とお前が皇帝と騎士かと思うと、運命の悪戯にしては少々演出過剰だと思ってな」
 スザクは真顔のまま、
「気が早いよ、ルルーシュ。まだ本当になれた訳じゃない。これからだろ?」
 感慨に浸っている場合か、とでも言いたげなスザクの真面目さが、ルルーシュには妙におかしく思えた。
「いいや、なれる。それにこれは、なれるかなれないかという問題でもないだろう?」
 不可能を可能にする。いや、今までもずっと可能にしてきた。それが、この二人なのだから。
 所詮、形だけのことではあるが、と前置きしてから、ルルーシュが小さく息をつく。
「舵取りは俺がやる。お前は俺の騎士となり、剣となって、一度徹底的に世界を破壊しろ。それが出来るのはお前だけだ」
 ルルーシュはこの時、スザクに対して抱き続けてきた思いについて反芻していた。
 寧ろ、不満と言い換えてもいいかもしれない。再会してからというより、学園内で監視を受けていた頃は特に――。
 そうやって、お前は俺から全てを奪っていくのか。まるで、一本、また一本と、手足をもいでいくように。
 意思など持たぬ人形のように、家畜のように、お前の作り上げた鳥篭の中に居ろというのか。
 守りたい者を守る自由すら認めずに。
 そう思ったことも、あったけれど。
 まだ眉を寄せているスザクの顔を眺めながら、ルルーシュはふと表情を真剣なものへと改めた。
「スザク。お前は英雄になれ」
「―――!」
 ルルーシュが言い渡した瞬間、目を見開いたスザクの顔色がはっきりと変わった。
「……英雄?」
 意味を解しかねたスザクが尋ね返してくるのを横目で捉えながら、ルルーシュが「そうだ」と簡素に答える。
 自分一人が悪となって、平和をもたらす。そう考えていたスザクが望む、『贖罪』とは遥かにかけ離れた言葉。
『英雄』の示す、真の意味とは――。
「俺とお前がこれから演じる皇帝と騎士という役ですら、権威という名の一つの仮面であり、只の通過点に過ぎない。……問題はその後だ」
 硬直したスザクは身を竦ませ、身じろぎもせず台詞の続きを待っている。
 ルルーシュはスザクから目を逸らして先を続けた。
「シュナイゼルも同じように仮面を被り、権威を演じている。だが、奴には自分というものが無い。個としての顔――つまり、自分を持たない者は、仮面を被ることが出来ない。自分を持たざる者、持つことをやめたがる者。それは既に、人ではない」
 ギアスをかけられてしまった者や、ギアスを使う者自身も同様だ。卑劣な力を振るう者は悪魔となり、意思を捻じ曲げられた者たちも例外なく奴隷化し、人間ではなくなってしまう。
「人は死ぬまで『無』にはなれない。その一歩手前にいるのがシュナイゼル……。奴の本質は『空虚』であり、実体の無い『虚無』であるに過ぎない。力を持っただけの、只の幻想。でも、今のお前は『スザク』だろ?」
 本来の自分である『俺』に戻ったスザクにルルーシュが尋ねると、スザクもこくりと頷く。
「今の君は『ルルーシュ』だな」
「ああ」
 共に仮面を脱ぎ捨て、素顔になって向き合う二人がそこに居た。
「だから、世界を統一したのち、お前は『枢木スザク』ではない『ゼロ』となり、この俺を討て」
「――――」
 スザクは一時言葉を失ったものの、『ゼロ・レクイエム』の詳細について端的に言い切ったルルーシュをしんとした眼差しで見つめている。
 やがて瞼を伏せ、重苦しい声で呟いた。
「ゼロ……。『無』という意味か」
「そうだ。元々、ゼロという名前の意味は『無』。存在そのものが只の記号。お前も知っての通り、ゼロの真贋は中身ではなく、行動によってのみ測られる。だからこそ、中にいるのは個人であってはならず、世界にとっての革命の象徴でなければならない」
 少なくとも、新しいゼロは。
「ルルーシュ、俺は――」
 縋るように向けられたスザクの眼差しを振り切り、駄目押しのようにルルーシュは続けた。
「俺を討つと同時に、枢木スザクも死ぬ。この世から消えてなくなる。新たなゼロになるというのは、そういう意味だ」
「…………」
 傲然と告げられたスザクが沈黙する。
 ルルーシュの表情には迷いが無い。スザクが何を訴えたいのかは解っていたが、これはスザクにとっても罰なのだ。
 解放よりも、重い罰を。
 心の奥底で贖罪のための死を求めていたスザクだからこそ、この計画に賛同させ、納得してもらわねばならない。
「世界が『対話』という一つのテーブルに着く為にも、俺を殺す役が必要だ。俺の命を、最大限有効活用する。それしか方法はない」
 死は償いではない。本当の意味での罰にはならないと知っている。
(俺に明日を迎える理由は、もう無い。この俺の命ひとつ程度で全てを贖えるとも思わない。しかし、全てを失い、自身の価値を獲得する術ですら失ったこの命だからこそ、世界の礎になることが俺の罰。唯一の、償いとなる)
 ルルーシュは心の中で呟いた。今だけは悟られぬように、ひっそりと。
(解るか? スザク。ゼロとなって俺を討てば、お前はまた、俺を殺した罪を背負ったつもりになるかもしれない。でも、これは決してそういう意味ではないんだよ)
 ――新たなるゼロは『人殺し』であってはならない。
(ゼロ……あれは、仮面によってしか被れない仮面だ。生きて償う『僕』としてのお前にしか……)
『俺』としてのスザクが死に、『僕』という仮面だけを『ゼロ』として残す。
 その意味に、スザクは多分、すぐに気付くだろう。
 ルルーシュは沈黙し続けるスザクを平然と見返しながら、落ち着き払った声音で話した。
「俺のギアスによって意思を捻じ曲げられたお前だからこそ、担える役割だ。ゼロとなったお前は、世界を救った英雄として、その後も世界平和に貢献するべく仮面を被り続ける。それが、お前の償いだ」
 ルルーシュ自身が「生きろ」と願った、唯一の存在であるからこそ。
 そんな心の声が伝わったのだろうか。ルルーシュから目を逸らして沈鬱そうに黙り込んでいたスザクが、その時おもむろに口を開いた。
「『一度抜いた刃は、血を見るまで鞘には納まらない』――これは八年前、父を殺した俺に、桐原さんが言った言葉だ」
 スザクはぽつり、ぽつりと、一言づつ区切りながら語り出した。
 父殺しの件について話す度に震えていたスザクは、もう、そこには居ない。
 しかし、抑揚に欠け、感情そのものでさえ欠落している虚ろな声は、八年ぶりの再会を果たした頃からルルーシュが聞き続けてきたものと全く同じだった。
 今のスザクは、C.C.と会話していた時のルルーシュ同様、憔悴し、酷く乾き切っている。
 決定的に異なる部分を一箇所だけ挙げるとすれば、スザクが感じているのはルルーシュが抱く悲壮の果ての受容などではなく、今も冷めやらぬまま抑圧され続けている激しい怒りである点だ。
 理性と感情が鬩ぎ合い、プラスマイナスゼロの平行線を描く時、スザクの表情はいつも凪になる。
 今も、怒りは全て自身の内側へと向けられているのだろう。強烈な自身への憎悪ですら押さえ込むほどの精神力とは如何ほどのものなのかとルルーシュは思った。
「俺自身が、どこで自分の刃を納めるか。何を選ぶか。今流した血に、そして、これからも流し続ける血に対して、いかにして責を贖うか。……それが出来ないというのなら、この場で己の命を断て、と」
 凍て付いた無表情になったスザクを、ルルーシュは無言で見つめていた。
 当時、弱冠十歳の子供でしかなかったスザクに叩き付けるには、あまりにも苛烈で残酷な言葉だ。
 自らの死を償いと考えるようになった、スザクの原点。まだ形成途中にあった人格の根幹でさえも揺るがすほどの、凄まじい衝撃。
『八年前に、引き離されたりしなければ良かったんだ』
 そう言っていたC.C.の言葉が、ルルーシュの脳裏を過ぎっていった。
(お前のその苦しみも、これで終わらせることが出来る。お前自身が望み続けていた償いの道。真の救済でもある『ゼロ・レクイエム』によって)
 果てぬ悲劇と後悔の連鎖。それら全てを断ち切り、赦し合う為に。
 血に汚れた剣でさえ、正義を行う者が使えば生かされたのだろう。
(その存在ですら、スザクから奪ったのは俺だ)
 スザクが抜いた刃の、行き着く先。
 自身さえもが『刃』となった、『俺』としてのスザクが殺す、最後の――。
「抜き身の剣には鞘が必要だ。スザク」
「――!」
 その言葉を聞くと同時に、スザクはぱっと見では解らない程度にピクリと肩を震わせ、そのまま低く項垂れた。
(撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ)
 だから――。
「悪の皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが、お前の行き着くべき鞘になる。この俺が、『枢木スザク』としてのお前が流す最後の血となるんだ」
「…………」
「この意味は、解るな?」
 スザクは顔を伏せたまま動かない。
 くせのある柔らかそうな前髪の下から、強張った口元が覗いている。表情こそ窺い知れないものの、僅かに見え隠れするスザクの顔色は紙のように白かった。
 スザクはゼロにならねばならない。ルルーシュが悪を為し、討たれねばならぬのと同じように。
 ゼロは、平和の象徴。英雄。
 ……ならば、スザクが新たなるゼロとなる前に、為すべきことは――。
 二人の思考が重なった。
 俯いていたスザクが顔を上げ、決然とした口調で呟く。
「君を殺すと同時に『俺』も死ぬ。君と共に、世界の礎に」
「そうだ」
「そして『無』となり、『ゼロ』になる」
「ああ……。人々が明日を迎えるために」
 そして何より、進み続ける時の針を、止めないために。
 通奏低音のように、今、二人の間でレクイエムが鳴り響き始める。
 ルルーシュという名の鞘に、自身が刃となったスザク――『俺』を納める。
 終わらせる。
 それこそが、『俺』としての『枢木スザク』を殺すということ……。
 ルルーシュが決意を促すようにスザクを見遣れば、真摯な視線が返された。
 スザクが被り続けてきた『僕』という仮面の、本当の名前。――それは『贖罪』であり、『優しさ』だ。
 正に、世界を救済する、新たなゼロとしては相応しい。
「出来るか、スザク」
 語り終えたルルーシュが尋ねると、スザクは少しだけルルーシュを見つめてから、頷いた。


************



前へ進み続けなければならぬ。反逆し続ける。
背負った数多の命、覚悟のために、時の針を止めないために、何より守りたい、全ての人々の願いのために。
帰る場所がある者は帰るべきだ。だから、誰にも言い訳はしない。説明も弁解もするつもりはない。
全ては贖罪と、絶望の底から出ずる真の希望、明日のため、救済のため。

悪を成して、巨悪を討つ。
そのために成し遂げた、世界征服。

皮肉なものだ、笑ってしまう。
……どう思う?


実はな。
それでさえ、本当は嘘なんだよ。


何より、世界のノイズ、邪魔者でしかない、自分自身の存在価値を証明するため。


誰にも言えず、誰も知らない。
この世でただ、一人きり。


こんなにも我儘なんだ。

だから、解るだろう?



初めてCの世界に触れた時、俺は皇帝に『ゼロという仮面で何を得た』と訊かれた。
その時に、目を逸らし続けていた自身の本音も知ってしまった。
思わず『違う』と叫んだ。けれど知っていた。……本当は、ずっとずっと前から。
本当の自分を解って欲しい。理解されたい。それなのに、さらけ出せずに仮面を被る。

――本当の自分を知られるのが怖いから。


人には、この世に生まれた理由や意味がある筈。そう訴えた俺に、お前は言った。
「知っているくせに。そんなものは只の幻想だと」


そう。無いのだ。最初から。
誰かに存在を否定される前から、誰しもが生きる理由や意味などを持って生まれてくる訳ではない。
人生とは、最初から只の白紙。だから、人一人生まれてくるのに、理由や意味など最初から無いのだと。
何故なら、生きる理由を獲得するため、生きる意味を見つけるために、人には『明日』があるのだから。


「死なない積み重ねを人生とはいわない。それは、只の経験だ」
「さようなら、ルルーシュ。お前は優しすぎる」

そう告げ、シャルルを選ぼうとした。

その結論に至るまでの間に、お前がどれだけ俺を庇い、盾になり、身代わりとなって戦い、身を粉にして犠牲となり。
たとえそこにどんな理由があったとて、冷酷な共犯者として傍に居続けた女の心。
俺の反逆でさえ最初から全て茶番と知りながら、俺を利用したことだって事実であったとしても……。
誰よりも苦しんでいたのは、お前だ。
俺の近くに居続け、沈黙を貫かなければならなかった。
その苦しみだってどれほどのものか、想像がつく。


何より、俺に生きる意味と理由、本当の願いに気付くまで抗い続ける力。
それを俺に与えてくれたのはお前なのに、俺は、そんなお前のたった一つの望みでさえ叶えてやることが出来なかった。


「感謝されたのは、初めてだよ」


心を隠して泣く気持ち、全て知っている。
俺が経験してきたありとあらゆる苦しみ、既に人間でさえなくなった者。
それでも「生きたい」気持ちが無くならない。死に切ることが出来ない。


だってお前は、「人として生き、人として死ぬ」ことさえ出来ないのだから。


自分なんか人ではない、魔女なのだ。そう自身を偽り、仮面を被り、名前さえ捨て。
心なんてなくなったのだ、だって、人であることなど自分はとっくにやめたのだから。
幾らそう言い聞かせ続けても、生き続けなければならず経験を積み重ね続けることしか出来ず。
それでも、「死」を迎える限り終わらない、決してなくならない。
心の嘆きが消えない、消せない、殺しきれない絶望。
俺でさえ、たった一度の人生で思い知ったそれら全てを知り尽くした女に、俺はなんて残酷な選択を強いたのか。


「一人じゃないだろう。お前が魔女なら、俺が魔王になればいい」

「答えろC.C.! なぜ俺と代替わりして、死のうとしなかった!」
「俺に永遠の命という地獄を押し付けることだってできたはずだ!」
「俺を哀れんだのか、C.C.!」
「そんな顔で死ぬな! 最期ぐらい笑って死ね! 必ず俺が笑わせてやる!」


確かに、そう約束した。
不死という呪いを断ち切ろうとしたお前に、押し付けたのも俺だ。
嘘を吐いた。嘘にしてしまった。
そしてとうとう、一人きりでこの世に残し、見殺しにするしかなかった女……。



ナナリーは巣立った。立派に生きていける。
無二の朋友――スザクとは、別れを済ませた。託した。
「有難う、ごめんなさい、さようなら」
後は、任せた。

どれも既に、決着のついた過去。



だから、お前を置き去りにしたこと。
ただそれだけが、唯一の心残りだった。


不死とさえ言いきれなくなった俺とお前。
世界の傍観者でしかいられなくなった、泡沫の存在。
……ならば、その余生をお前のために使う。そうしてやって、何が悪い?

お前に謝らなければならないのも、感謝したいのも、俺の方だ。


「ナリタを思い出すな、C.C.」
「ただいま」


全て、壮絶な地獄と絶望の中に置き去りにした俺を、諦めなかったお前のお陰だ。



本当は、我儘だなんて思っていないよ。
それでもお前は言うんだな。「これは私の我儘だ」と。
朋友となってからでさえ裏切ってしまったスザクの怒りを受け止めるべきなのも、一緒に暮らしたいと希い、追いすがるナナリーとの別離を受け入れるべきなのも、何ひとつ、お前のせいじゃない。

全部、誰あろう俺自身の我儘でしかないじゃないか。

受け入れる責任。償うべき罪と負うべき罰。
断じて、お前のせいじゃない。
本当に我儘なのは、この俺だ。


最後まで、俺を諦めないでいてくれて、有難う。


――だから。


一緒に行こう。一緒にいよう。
お前が笑顔で最期を迎えられる、その日まで。

大人の階段2

 前髪をかき上げられ、頬や後頭部、首筋やうなじ、背中へと回されていく力強い腕と掌。決して離したくないとばかりにあちこち撫で回されているうちに本能的に解る。たとえ経験がなくたって、全力で求められている、愛されていると。
 こんなスザクは知らないし、もともとのスザクはこうだったと知っているような気もする。そんな自分をスザクは普段隠すけれど、俺は知っている。だからこそ受け入れたい。そう思うのは愛情なんだろうか。
 ……いや、愛なんてまだ解らない。それでも、たぶん恋している。きっと俺は……スザクに。

 荒い息を整え、俺の髪の乱れを解きながらスザクが言う。
「所詮ただの言い訳だけど、好きな子に下手糞だと思われたくないしね」
 苦く笑うな、だから他の女で試すのかお前は? そんな憤りのままスザクの頬を思いきりつねってやった。
「い、いひゃいっ! るるーひゅ~!」
 間抜けな声で叫び、慌てて俺の手をどかそうとする所も憎らしくて、つい「馬鹿が」と吐き捨てる。よりにもよって今言う奴があるか。スザクは相変わらず空気が読めない。というのは『読む気がなく自分の好き勝手に振る舞う』という意味だ。つまり空気を読む気がないから読めないし、読んでいてもスルーするからやっぱり読めていない。いつだってそうだ。
「許してもらおうとしてるだろ、どさくさ紛れに」
「そんなことは……」
 スザクがヘラッと困った顔で笑う。憎めない笑顔が本当にズルい。結局どかされてしまった手を握られたままやり場に困っていると、スザクはさして悪びれもせず「ごめんごめん」とちゃっかり俺の手を引いて部屋に招き入れようとしているようだ。
「まあいいや、上がって?」
「…………」
 何か変な沈黙が流れる。俺が黙っているからだが。軽くスザクを睨んだものの、靴を脱ぐさまを見守られている視線が何とも言えず面映ゆい。
 スザクの期待がひしひしと伝わってくる中、これでやっと大人になれると思った。何故か今後への焦りや怯えは一切感じず、相手はこのスザクなのだからという謎の安心感を抱いているのが自分でも不思議だ。
 初めて入ったスザクの部屋は小綺麗というより単純に物が少なかった。家具は一通り揃っているものの、全体的にガランとしていて生活感が薄い。必要最低限の物しか――雑貨等の小物の類ですら何もないとは。それなら散らかりようもないだろう。
「なあ」
「何?」
「お前、趣味はないのか?」
「趣味……。趣味?」
 内心「ないんだな」と思いつつ尋ねてみれば、スザクは「うーん」と上向けた視線だけで考えている素振りをし、思わせぶりにゆっくりと振り返ってにこやかに微笑んだ。
「それは……やっぱりルルーシュが一緒じゃないと、何をしててもつまらなくて。強いて言えば……、そうだな、筋トレ?」
「ふぅん。流石だな、この体力馬鹿が」
 そういうものなんだろうか、と聞きながら納得半分。たとえば読書とか音楽鑑賞――そういえばこいつはゲームが得意な筈だったが。すると、俺の考えを読んだとしか思えないタイミングで「ゲームも君と会う為に買ってるようなものだしなぁ」とスザクが俺の手を握ったまま呟く。場所は居間だろうか。一人暮らしにしては大き目なテーブルとソファが置いてあり、物の少なさも相まって部屋は広く感じる。二人並んで白のソファに腰かけ、どちらともなく見つめ合いながら思った。背丈においてもそうだが、こうしてこいつとの目線に立ち並べるようになるまでやけに時間がかかったな、と。
 スザクが「一応僕の趣味も入ってるけど、二人でプレイしたら楽しいだろうなと思えるものを選んでるよ」と視線を重ねたまま言う。
「まあ、お前いつも俺の家に来てやろうとするもんな」
「ん、そうそう」
 引きつった笑みを浮かべ、相槌を打つさまがそらぞらしい。つい「何だその生返事は」という気分になった。心ここにあらず。スザクは何か別のことを考えながら話していて、明らかに落ち着きに欠いている。
 さすがに俺にだって解った。焦っているのは俺じゃなくスザクの方なのだと。この常ならぬ落ち着きのなさは、俺を意識しすぎているがゆえに出方を窺ってのものだ。
 何か言いたいことでもあるのか? そう尋ねようと口を開くと。
「ルルーシュ」
「え?」
 不意に迫ったスザクにあっさり唇を奪われていた。
「ま、待てッ!」
 腕を突っ張り、驚いて目を瞠るスザクを押しのける。お前、客に茶の一杯も出さずに事に及ぶ気か!? そう尋ねたいのに喉に引っかかって出てこない。というのも、スザクの瞳が熱っぽく、また酷く真剣だったからだ。再び見つめ合っていると、又もどさくさ紛れに体が徐々に引き倒されていき、緩やかに馬乗りになられた所ではたと我に返った。
「おい……」
「ん、何?」
「やはり、俺が下なのか?」
「うん……駄目?」
 駄目とかいいとかそういう問題じゃない。というか今、こいつは「うん」と言ったのか!?
「だって……。じゃあルルーシュが僕に挿れる?」
「は?」
 改めて口に出されると、とてつもなくショックだ。今更と言えば今更な話だが、初めての相手が同性で、しかもスザクで、更に――。
 スザクは言った。
「僕で童貞卒業するって言うなら考えるよ? けど……」
 そうだ。どのみち、上だろうが下だろうが、どちらにせよ俺の初めてが尻になるのは決定事項……。
「だって……。じゃあ女の子とするつもり?」
 まだ俺の反抗が収まり切っていないと判じた途端、覆い被さっているスザクの目が据わった。脳内に響き渡るガーンという擬音はあながち間違いじゃない。詮無きことがぐるぐる頭を回る中黙っていれば、「相手が僕って時点で察して欲しいな。大体君だってさっきからずっと受身じゃないか」とスザクがのたまう。
「それはお前がっ……!」
「いいから大丈夫、僕に任せて」
 遮られた上に年上ぶった口調にカチンときた。こういう所で経験値の差が出てくるのがどうしたって面白くない。しかし、片肘をついて起き上がろうとしてみても、スザクは「駄目だよルルーシュ」と真顔で静止してくる。
「お前……っ!」
「じゃあ訊くよ、ルルーシュ。俺が何の為に女の子抱いてきたと思ってるんだ?」
「!」
 別に好きでもない女なんかと。まるでそう続きそうな台詞に思わず固まってしまった。一瞬、苛立ちもあらわに片目を眇めたスザクは、俺がおとなしくしていても真顔を崩さない。
 かと思えば、俺の頭の上に腕をついてふと眉尻を下げ、間近で悲しげに囁く。
「俺とするのは嫌か、ルルーシュ?」
「ちがっ……!」
「だったら任せてくれ」
 悔しいが、押しの強さに抗えない。スザクが一度言い出したらきかないのは昔からのことで、それを考えると抵抗するだけ無駄な気がした。気力が萎えたというより完全に削がれ、もう黙り込むしかない。今の俺に出来ること、それは精々「くそっ!」と吐き捨てたくなる程の屈辱ごと噛み殺すかの如く歯噛みすることだけだ。
 もうどうにでもなれ。
 さながら崖から飛び降りるような心地になりながら目を瞑り、今まで付きっぱなしだった片肘を戻して固く横たわる。そこでようよう眦を和らげたスザクがつくづく憎たらしい。
「あのさ、ルルーシュ。好きだからするんだよ?」
 と、ガチガチに固まっている俺を見てスザクが困惑したように言う。
「解っている」
「そう睨むなって。君が嫌がることはしないし痛くもしない。約束する」
「本当に、痛くしないんだな?」
「君が男だってことは重々承知してるし、何度も君とする所をシミュレーションしてきたから……。だから、大丈夫」
 シミュレーション如きで安心など出来るものか、実践は違うのだから。
 でも、緊張しているのは俺だけじゃなく、スザクだって同じ筈。だったら……。
「任せろというからには、思い切り気持ちよくしてくれるんだろうな?」
 スザクは俺の挑発に安易に乗ることはせず、黙って俺を見下ろしていた。
「どうだろう。正直言って自信はないよ、男を相手にするのは初めてだから。幾ら女の人を抱いたって君の代わりにはならない。そう解っていて抱いてきた。でも……、優しくするよ、精一杯。それは約束する」
 スザクの台詞を聞いてやっと安心した。というか、心が決まった。俺もヤキが回ったな、と他人事のように思う。
 けど、こいつと大人の階段を上るんだ、今日これから。だったら、ただ施されるばかりでは割に合わない。
 スザクの首に腕を回し、思い切ってぐいっと手前に引き寄せる。自分から積極的に口付けてみた。ほとんど慣れていなくても――別に誰かから教わった訳ではなくとも、魂に刻まれた覚書のように解るものなのだと知る。自分から好きな奴にキスするやり方なら。
 スザクはきょとんとしたものの、次の瞬間ハッと目を見開き、深くなっていく口付けと共にごくりと喉を鳴らした。俺の唇も舌も食むように舐り、その間じゅう呼吸がけだもののように荒くなる。息継ぎの合間にはぁ、はぁ、と苦しげに眉根を寄せて喘ぎ、常盤色の瞳だけが俺をずっと捉えたまま口を開けっ放しにし、夢中になってキスに没頭していた。
 そんなスザクを見て、ふと上だろうが下だろうが関係ないように思えてきた。スザクも男だが俺だって男だ。ありのままの互いでいい筈。
 思考型の俺が本能で動くなんて、こんな時くらいしかないんじゃないだろうか。
「ルルーシュ。目、閉じろよ」
「断る」
「閉じてろってば」
「嫌だ」
「僕も嫌なんだ、君に顔を見られるの。恥ずかしいよ」
「俺は恥ずかしくない」
「頑固なんだから……」
「お前だってそうだろ」
 フン、と笑ってやったらスザクもつられて笑った。
「なあ、ここでヤるのか?」
「――ベッド、行こう?」
「ああ」
 スザクが興奮を逃す為か、はぁと一際深い息をつく。リードしたがるこいつの腰を抱き、口付け合いながら寝室に転び入る時、思い出し笑いのようにスザクが「ヤるとか言わないでよ」と肩を揺らしてクスクス笑っていた。
「ガサツだぞ、ルルーシュ」
「お前こそ大人しい振りしやがって、この猫かぶりめ」
「酷いな。君より大人だもん」
「何が大人だ。本当は不安なくせに」
「なんでそんなに男らしいのさルルーシュ」
 ドサリ、と二人ベッドに倒れ込んだらスプリングが悲鳴をあげた。改めて女性じゃないと思い知るのは、俺もスザクも身長が高い方だからだ。
「これ、シングルじゃなくてセミダブルだろ。何人連れ込んだんだ?」
「言いたくない」
「穢れたベッドだ。シーツ交換してあるんだろうな?」
「心配ないよ」
「俺が綺麗にしてやる」
「これからは?」
「そうだ。今この瞬間から」
「お清めセックスっていうのかなこういうのも。しかも君のロストバージン」
「殴るぞスザク。一言も二言も余計だ、もう黙れ」
 ふわふわの綿毛に似た茶色い頭を抱きかかえ、大の字になったスザクの腰に跨る。お前がマグロでいいんだよスザク。もちろん一応手ほどきはしてもらうけどな。
 着ていたシャツのボタンを外す間、スザクはもどかしそうに裾を広げ持って待っていた。本当はボタンごと引き千切りたい、そんな顔で。だからってもしそんなことしてみろ、飛んだボタン全部縫い直させてやる。
 わざと焦らすようにのろのろと外してやると、スザクは全速力で走らされた馬より息を荒げていた。熱に浮かされ、興奮し切った表情にちらちらと過ぎるものは情欲の炎。俺は当然反応していないが、スザクの前立ては既に張りつめていて窮屈そうにジーンズのフロントが膨らんでいる。さっき触らされた時は本当に驚いた。唐突な行動についても言えることだが、こいつは俺でこんなふうになるのかと。でも、常に余裕綽々のこいつを思う存分甚振って困らせてやったら俺も反応出来る気がする。さぞかし楽しいことだろう。
 これからはやろうと思えば不可能じゃない、そう思ったら興奮してきた。……無論、別の意味でだが。
 ところが、内心ほくそ笑んでいたその時、今まで大人しく横になっていたスザクが突然ガバリと上体を起こした。
「ルルーシュってS? M?」
「は……?」
 またも唐突な一言に頭がフリーズする。
「S、M、の、話か……?」
 何故。
 俺の疑問に答えるでもなく、つい漏れ出てしまった心の声にスザクが「うん」と頷く。
「ルルーシュってさ、性格はSだけど性癖はMっぽい気がするんだよな」
「なっ……!?」
 性格と性癖!? それは分けられるものなのか?
 スザクは俺の疑問をスルーしたまま勝手に続ける。
「今までのことを口にしたらルルーシュは嫌がるかもしれない。でもそんな気がするんだよ、経験上」
「だから?」
「だから、ルルーシュがウケやって。僕がリードするから。言ったろ、任せてくれって」
「…………」
 勢い余って口走った台詞なのかどうかは知らないが、いきなりな上に不穏すぎる。まさか初っ端から危険な行為に及ぶつもりじゃないだろうな、こいつ?
 すると再びスザクが俺の思考を読んだかのようなタイミングで「大丈夫、痛くはしないから」と言いつつ、さりげなく俺の唇を奪う。
「んっ……」
 思わず漏れ出た吐息ともつかない声が鼻をつき、焦って押し返そうとしたスザクの胸板は厚く、またびくともしなかった。着痩せするタイプなのだ。腹筋もだが、胸板にも無駄のない筋肉が張り巡らされている。
「ス、スザク、ちょっと、待て……!」
「待ったって言ったろ。俺はもう充分すぎるほど待ったんだ、ルルーシュ」
 言いながらスザクが俺のズボンのジッパーをグイと引き下げ、下着に手を掛けた。そのまま悪戯な手は下着の内側に潜り込んでくる。
「ま、待て! や、ちょっ!?」
「待たない」
 べろりと唇全体を舐められ、大きく開けた口でそのままがぶりと口付けられ、舌を引き抜かれそうなほど強く舐られた。
「ぅ――、んっ。んん……っ!」
 そのままスザクの舌は俺の顎、喉、首筋を手慣れた風に辿り、中途半端に開いたままのシャツの中に潜り込む。余った片手を差し入れられ、弄られているのは乳首だった。こそばゆい感触に皮膚が粟立つ。もう片方の手は下着の中、まだ萎えている俺のものを上手に掬い上げて扱き始めた。
「あ……っ!」
「可愛い、ルルーシュ」
「ばっ、馬鹿言うな!」
「可愛いんだってば。たまらなく可愛いよ。ちょっと苛めたくなるくらい可愛い」
「はあっ!?」
「遊びで抱くんじゃないから出来るんだよ、こういうことも」
 勢いよく俺の下着ごとズボンを引き降ろし、スザクはなんと俺の陰茎をパクリと咥えて上目遣いで俺を見上げた。
「おいし」
「ばっ!!?」
 馬鹿! という叫びは声にならなかった。下半身を駆け巡る甘美な刺激に膝から崩れ落ちてしまいそうになる。感じる、とはこういうことなんだろう。スザクの舌使いは絶妙で、自分の手でこっそりと自慰する時とは比べ物にならない快感が俺を襲った。
「気持ちいい?」
 横笛を吹くように俺のものに舌を這わせ、また亀頭からパクリと咥えてヌメヌメとしゃぶる。それも、時々玉袋を握りながら。どこで覚えてきたテクニックなのかはわからない。ぼやけた思考の中で、スザクもこうされると気持ちいいのだろうかと考えたが、その思考はあまりの快感にとって代わられ脳内で霧散してしまった。
 ちゅぷ、ちゅぷと響く淫靡な水音。スザクの頭を無意識にかき抱きながら、気付けば自然と腰を前へ前へと突き出している自分がいた。
「あぅ。ばか……そこ、ばっかりっ!」
「美味しいよ、ルルーシュ」
 先走りがタラタラと流れ出ていると自分でも解る。スザクはそれを吸い上げながら言うのだった。「この変態!」と言ってやりたいのに、相反する感情がよく解らないまま迸る。きっと変な味に決まっているのに「美味しい」と言われ、何故か嬉しさと共に愛しさが湧いてくるからだ。
「変な味だろ……」
「ううん、美味しい。ルルーシュの味がする。ほんのり甘くて、なんか透明な味」
 クソッ、言うな! 実況するんじゃない! 甘いってどういうことだ! 様々な台詞が頭を回ってはどこかに飛んでいく。徐々にこみ上げてくる射精感。駆け抜けていく脳髄を蕩かすような甘い快感。意識が遠のきそうなその最中、スザクは裏筋から玉袋、玉袋からその裏へと更に舌を這わせてきた。
「足開いて」
 俺の股座に上体をくぐらせながらスザクが内腿を押し広げる。ちょうどスザクの顔面に座るような恰好になり、羞恥が助長されたものの、これも長くは続かなかった。スザクは唾液で濡れた俺のものを手で扱く傍ら、尻の間の穴に舌を這わせ始めたのだ。
「舐めるだけじゃ駄目だと思うから、ルルーシュ先に出して」
「ダメだっ!」
「駄目じゃない。俺の口の中に出していいから」
「えっ……?」
 ひょこっと股座から顔を出し、スザクは俺を見上げながら「お尻の穴舐められるより、まだこっち舐められる方が気持ちいいだろ?」と人差し指の先で亀頭をひと撫でして淡く微笑んだ。
「だって、お前……」
「いいからやってみて」
 そしてまた、べろりと舌全体で愛おしそうに俺の尻穴を舐め、元の路線を辿ってペニスにしゃぶりつく。スザクの下唇と舌が裏筋にダイレクトに当たり、頬張られる角度も相まって腰から下が言うことをきかない。ガクガクと膝が笑う。内腿が震える。スザクの髪先が震える内腿にさわさわと触れ、根本から亀頭にかけてじっくりとねぶられているうちにとうとう我慢がきかなくなった。
「す、すざくっ! も、もう……っ」
 スザクが無言で頷いたのが解り、早いと思われるとか、恥ずかしいとか、頭の中は空っぽじゃないのに真っ白になっていく。やがて強烈な快楽と共に欲望のまま自身を解放するしかなくなった。スザクはドクドクと脈打つ俺のものを咥えたまま何度も舌で扱き続け、解放の瞬間でさえ快楽に拍車がかかった。刺激が強すぎて気持ちいいのも通り越し、完全に馬鹿になりそうだ。「イっているのに!」と思いながら強く唇を噛み締めた。
「んんっ……! んっ! ん! だめ、もぉ。駄目だッ!」
 荒い呼気を吐き出しながら、まだ舌でペニスを扱き続けるスザクに訴える。スザクは少し意地悪そうな表情でわざと俺のものをきゅうっと吸い上げた。
「……ッ!」
 ガクリとうつぶせになった俺の真正面で、スザクが二コリと笑いながら口を開ける。その口の中には俺の吐き出した精液がたっぷり溜まっていて、唖然とした瞬間を狙いすましたようにスザクがすかさず起き上がって俺の上体を押し倒した。萎えた俺のものを最後にひと吸いし、口を閉じたまますっかり抵抗を削がれた俺の両足を押し広げる。そのまま器用に屈み、玉袋の裏側をつうっと舌でなぞりながら辿り着いた先は尻の穴だった。スザクは固く窄まった其処を舌で穿り、舌先をめり込ませてくる。とろみを帯びた体液――俺の精液が、スザクの口を伝って中に注ぎ込まれてきたのが解った。
「あぁ……っ」
「熱い?」
「わ、わからな――」
「だよね。これから熱くなるよ」
 スザクは自分の中指を俺に咥えさせ、ずるりと引き抜いておもむろに俺の後孔にあてがい、ぬめりを使ってつるりと中に指を押し込む。
「……っ!」
「痛くはないよね」
「ん……」
 思ったより簡単に入るものだ。でも、違和感の方が大きい。怖れや恐怖感よりも、スザクの指の節くれだった感触を体で味わう新鮮さの方が上回った。だから黙って頷けば、俯せに屈んだスザクが俺の反応を確かめるように顔を上げ、満足したふうに指を根本まで押し込む。
「あぅ」
「痛くない?」
「……っ、ああ」
「じゃあ、これは?」
 すうっと指が引き抜かれていくのが解る。排泄感に少し似ているものの、ぞわりとした感覚が背筋に走った。
「んぅ……」
 これが快感に変わっていくのだろうか。呻きながら少し上体を起こし、薄目を開けてスザクの表情を見てみる。愉悦を帯びた中にも真剣さの感じられる顔。俺の反応を確かめながら、慎重に事を進めていこうとしている姿勢が見て取れる。
「もう一回奥まで挿れるよ?」
 いちいち言わなくていい、とこちらが思うほどスザクは慎重だ。了解の意を視線で伝えれば、スザクの指が何かの生き物のように少し上反った状態で挿入されてきた。途端、ぞくぞくぞく、と背筋に悪寒が走る。悪寒ではなく、今のは……?
「す、すざく……」
 心細くなって呼びかければ、スザクは何か訳知り顔で、上向けた中指で俺の腹の裏をゆうるりと擦った。また背筋にぞくりとしたものが走る。
 今度ははっきりと解る。これは快感だ。腹の内側を指で撫でられると、ペニス全体が熱くなったような、まるで勃起している最中に感じるような快感が走る。
「やっぱり、ルルーシュ素質あるな」
「……?」
 素質、とは何のことだろう? 尋ねる間もなくスザクは指の注挿を繰り返す。だんだん一本では足りなくなってくるのが不思議だ。しかも、もっと奥まで入れて欲しい。自然と足が開いていく。
「ルルーシュ、やらしい」
「え……?」
「ここ、気持ちいいんだ?」
「あ? ああ……」
 半分以上まだらになった思考の中ぼんやりと答えると、スザクは軽く舌で自分の唇を湿らせてから俺の内腿に舌を這わせた。視線は俺の方を向いている。ジーンズを脱ぎながら言っていて、下着の前が大きく膨らんでいるのが解った。
「指、二本挿れていい?」
 たぶん大丈夫だ。というか、二本も入るのだろうか? 不安に思っているのを見透かしたように、スザクが「まだヌルヌルしてるから大丈夫」と緩和してくれる。さっきスザクが言っていた通り、だんだん中が熱くなってきたように思えるのは気のせいだろうか。指が行きつく先なんてない筈なのに、節くれだったスザクの指は思ったより長く、腹の奥をトン、と小突かれるとペニスがプルンと跳ね上がる。自分でも酷く恥ずかしい。また、スザクがその反応を見て満足気にしているのが解るから尚のこと……。そして、トン、と小突かれるのが何だか好きな気がする。
「おいしそうだなぁ。シャツ、脱いで?」
 言われるがまま俺がシャツから腕を抜き取ると、覆い被さってきたスザクが首筋に顔を埋め、すりすりと鼻先をこすりつけ、探るように俺の唇を求めてキスを仕掛けてきた。さっきまで俺の精液を含んでいた口だ。それなのに不思議と嫌だとは思わない。むしろ愛しさが湧いてきて俺からも夢中で唇を求め、互いに貪り合った。
 ひとしきり互いの唇と舌を堪能し合っている間、トクトクと心臓の動く音が重なり合う。スザクの心音。鼓動が速い。いつの間にか脱いでいたスザクの裸の胸は熱く、俺も燃え上がるようにどこもかしこも熱かった。
 そのうちに指が二本挿入され、腹の内側を撫でられる快感は倍増した。トン、と奥を小突かれるたびに先走りが漏れる。恥ずかしい雫がペニスを伝って流れ落ち、スザクの掌を汚し始めた頃、スザクが堰を切ったように「ルルーシュ」と喘いだ。
「もう少し我慢がきくかと思ったんだけど。――いい?」
「ああ……」
 とうとう一つになるんだな、と思った。今も後ろの孔を塞ぐ二本の指が酷く心地いい。二人で繋がったらどんな感じがするんだろう。まだ満たされていないどこかが完全に満たされるんだろうか?
「来いスザク。挿れてくれ」
「うん」
 ちゅうっと口付け合いながらお互いに頷く。スザクは焦らすように指をぬくぬくと動かしながら、俺の乳首をしつこく舐め続けていた。
「全部可愛がりたい。足りないよルルーシュ。……挿れるよ?」
「ああ。早く……」
「待って。ゆっくり入れないと」
 抜き去られていく二本の指。代わりに押し当てられたものは焼き鏝のごとく熱く脈打っている。俺のものと同じだ。なのに嫌悪感がないどころか、ふと触ってみたくなって俺は手を伸ばした。
「ルルーシュ……」
「これ、俺も舐めなくていいのか?」
「いいんだよ。ルルーシュがいいって言うなら、また今度ね」
 何だか俺ばかり良い思いをさせてもらっているようで気が引ける。やがて、ぴたりと押し当てられた先端が俺の中にじりじりと割り入ってきた。
「んぅ……っ! っあ!」
 先端が入ってしまえば、あとはつるりと中に収まるもののようだ。息を詰めたのは一瞬で、あとはスムーズに納まった。指とは全く違う感触。スザクのものは組み合わさった凹凸のごとく自然と俺の中に収まり、ぴたりと重なり合った体と体が遂に一つに繋がった気がした。
「入ってるの、解る?」
「解るよ」
 繋がっている。ただそれだけのことがとてつもなく愛おしい。「お前は?」と尋ねる前にスザクも同じことを考えているのが伝わってきて、言葉もなく視線が引き合った。
「死ぬほど気持ちいいよ、ルルーシュ」
「……俺もだ」
「ほんと?」
 ぐ、と奥まで押し入ってきたスザクの怒張が俺の中で一段と張りつめる。受け止めている腹の中と、引き攣れそうなほど広げられた後孔ががきゅんと締まり、その時完全に繋がった満足感と充足感で心の中がいっぱいに満たされた。
「身も心も、というヤツだな」
「――俺もだ、ルルーシュ」
「愛なんてまだ解らないと思ってた。でも、愛してなかったら出来ないよな、こんなこと」
「俺も、いとおしいって心の底から思いながら出来たのは生まれて初めてだ」
「そうか」
「ああ……。愛してる、ルルーシュ」
「俺もだ、スザク」
「言葉で言われなくても解る。ルルーシュ、君は俺を愛してる」
「勿論」
 だって、初めてなのにこんなにも気持ちがいい。繋がり合った下肢だけでなく、全身が気持ちいいと叫んでいる。
 愛のあるセックスは照れくさくても、ちっとも恥ずかしいものなんかじゃない。
「今までの俺は大人じゃなかった。だから、二人で上がったような気がする」
 スザクがぽつりと漏らすのを、俺は聞き逃さなかった。「何が?」とわざととぼけてやると、スザクが「ん?」と苦笑する。
 そして、解り合っていることを二人同時に口に出して噴き出した。

「「大人の階段」」


~Fin~

プロフ

夕希(ユキ)

Author:夕希(ユキ)
取扱:小説・イラスト・漫画

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