真実は白と白(スザク・ゼロレク後)
「愛は与えるものだ」と君は言う。
そしてそれは、きっと間違いでは無いんだろう。
だって、真実は最初から一つきりなんじゃなくて、本当はいつだって二つあるものだから。
二つあるうちの片方を自分で選んだ時に、初めて真実は一つきりに変わるんだ。
君を知っていればよく解る事だよ。
君は大地に降り注ぐ恵みの雨のように、惜しげもなく与える事だけを選ぶ人だったから。
当時の僕は、そんな君の姿を見る度に「それこそ偽善だ」と憤っていた時もあったけど……でも、今なら解る。
目には見えない慈しみに溢れ、どこまでも与える喜びだけに包まれていた君の姿は、罪の意識に黒く歪んだ僕にとって、いっそ痛いくらいに眩しく映っていただけだったんだと。
けれど、世界を愛し、明日を欲した君は、全てを愛するが故に全てを壊し、そして奪った。
僕もそうだよ。
何一つ思い通りにならない世界であっても、僕もまた、君と同じ様にこの世界を愛していた。
そして、愛したものが何かを酷く間違えているのなら、僕はその間違いだけを奪ってしまいたい。
いっその事、奪う事で取り除いてしまいたい。そう思ってた。
だって、それが僕の愛なんだ。
勝手だと思うかい?
でも、君だって充分勝手だ。解っていると思うけど。
ああ、けれど、君はそれでも与えたがる。
それが例え、酷く勝手で一方的な想いなのだと気付いていても。
だからこそ、愛ゆえに人々から奪った明日を、君は命と引き換えに与えて去った。
君は「ただ返しただけだ」と言うかもしれないけど、でも知ってるよ。
君は本当に、最後の最期まで、ただ与えるだけの愛にこだわり続けていたって事。
そんな君が僕から奪っていったもの、そして与えてくれたものを、僕は絶対に忘れない。
僕は君の願いを叶える為に、君から君の命を奪う。
それが君との約束で……それが僕の愛し方だからだ。
ねえ、ルルーシュ。
君が与えたがりながら奪った事もあったように、僕も多くのものを君から奪ってしまったけれど、僕は君が奪ったものと同じだけの何かを、君に与える事は出来ていただろうか?
君がまだ僕の隣に居た頃、君と僕は正反対で、全く似てなんかいないと思ってた。
でも今は……そうだな。
きっとそっくりなんだろうと、思ってるよ。
ほらルルーシュ、見てごらん?真実って二つだろ?どちらを選ぼうとするか自分で決めてしまうまでは。
それに、すごく不思議だ。
例え選んでみたとしても、選ばれなかったもう片方が、こうして真実に変わってしまう事だってあるんだから。
だけどね。今の僕はもう、そんな事実に抗ったりはしないよ。
どちらかを選択するまでは白と黒のようにしか見えない真実も、本当は、白と白で出来てるんだって気付いたから。
だから今はもう、何一つ否定する事なく生きられるようになったと思う。
……そんな今、ここに。
僕の隣に、君が居てくれたなら。
君は幸福の皇子。ピンクの髪のユニコーン。
人々に愛と幸せを与える度に、自分自身が不幸になっていく。
けれど、僕の思い出の中にいる君は、何故か微笑んでいない時が無い。
でもね。
そんな君の最期の笑顔が、今にも泣き出しそうな子供の顔と同じだった事なんて、きっと僕しか知らない事なんだ。
ルルーシュ。
与えてくれて、ありがとう。
愛しているよ。
君がくれた最期の抱擁も、仮面越しの掌も、僕は、一生忘れない。
そしてそれは、きっと間違いでは無いんだろう。
だって、真実は最初から一つきりなんじゃなくて、本当はいつだって二つあるものだから。
二つあるうちの片方を自分で選んだ時に、初めて真実は一つきりに変わるんだ。
君を知っていればよく解る事だよ。
君は大地に降り注ぐ恵みの雨のように、惜しげもなく与える事だけを選ぶ人だったから。
当時の僕は、そんな君の姿を見る度に「それこそ偽善だ」と憤っていた時もあったけど……でも、今なら解る。
目には見えない慈しみに溢れ、どこまでも与える喜びだけに包まれていた君の姿は、罪の意識に黒く歪んだ僕にとって、いっそ痛いくらいに眩しく映っていただけだったんだと。
けれど、世界を愛し、明日を欲した君は、全てを愛するが故に全てを壊し、そして奪った。
僕もそうだよ。
何一つ思い通りにならない世界であっても、僕もまた、君と同じ様にこの世界を愛していた。
そして、愛したものが何かを酷く間違えているのなら、僕はその間違いだけを奪ってしまいたい。
いっその事、奪う事で取り除いてしまいたい。そう思ってた。
だって、それが僕の愛なんだ。
勝手だと思うかい?
でも、君だって充分勝手だ。解っていると思うけど。
ああ、けれど、君はそれでも与えたがる。
それが例え、酷く勝手で一方的な想いなのだと気付いていても。
だからこそ、愛ゆえに人々から奪った明日を、君は命と引き換えに与えて去った。
君は「ただ返しただけだ」と言うかもしれないけど、でも知ってるよ。
君は本当に、最後の最期まで、ただ与えるだけの愛にこだわり続けていたって事。
そんな君が僕から奪っていったもの、そして与えてくれたものを、僕は絶対に忘れない。
僕は君の願いを叶える為に、君から君の命を奪う。
それが君との約束で……それが僕の愛し方だからだ。
ねえ、ルルーシュ。
君が与えたがりながら奪った事もあったように、僕も多くのものを君から奪ってしまったけれど、僕は君が奪ったものと同じだけの何かを、君に与える事は出来ていただろうか?
君がまだ僕の隣に居た頃、君と僕は正反対で、全く似てなんかいないと思ってた。
でも今は……そうだな。
きっとそっくりなんだろうと、思ってるよ。
ほらルルーシュ、見てごらん?真実って二つだろ?どちらを選ぼうとするか自分で決めてしまうまでは。
それに、すごく不思議だ。
例え選んでみたとしても、選ばれなかったもう片方が、こうして真実に変わってしまう事だってあるんだから。
だけどね。今の僕はもう、そんな事実に抗ったりはしないよ。
どちらかを選択するまでは白と黒のようにしか見えない真実も、本当は、白と白で出来てるんだって気付いたから。
だから今はもう、何一つ否定する事なく生きられるようになったと思う。
……そんな今、ここに。
僕の隣に、君が居てくれたなら。
君は幸福の皇子。ピンクの髪のユニコーン。
人々に愛と幸せを与える度に、自分自身が不幸になっていく。
けれど、僕の思い出の中にいる君は、何故か微笑んでいない時が無い。
でもね。
そんな君の最期の笑顔が、今にも泣き出しそうな子供の顔と同じだった事なんて、きっと僕しか知らない事なんだ。
ルルーシュ。
与えてくれて、ありがとう。
愛しているよ。
君がくれた最期の抱擁も、仮面越しの掌も、僕は、一生忘れない。