僕の嫌いな俺(スザク)
軸のぶれた僕に、僕だけが気付かないと、実は君は嘆いていた。
「従っている方が楽だからだろう。おまえはどうなんだ?」
仮面越しに放たれた言葉は、僕の歪な核を真っ向から貫いた。
僕はあの時、君がゼロだとは知らずにいたけれど、その瞬間、何故か思い出したのは、君の顔。
「おまえは変わったな」と。
どこか憂いを含んだ声で、寂しそうに笑った君の顔。
僕の中には、真っ赤な過去を無理矢理詰め込んだ真っ黒な箱がある。
「君の為に鍵を掛けた」だなんて、獰猛な「俺」の存在を知ってしまった「僕」にはもう言えない。
それなのに、中途半端に掛けられた箱の鍵を緩ませるのは、いつだって君の言葉で。
だから、本当は再会したその時から、君はいつだって僕の憎むべき敵だった。
いつも、ただ直視しろと、僕に迫るのは何故なんだい?
いっそ言ってしまいたい。
「君の善しとする正しさは、決して僕を救いはしないのだ」と。
「僕」は「俺」に追われながら、息さえ乱しながら、ただ必死で階段を昇っているのに、君はそんな「僕」の姿に気付かない。
見ようともしない。認めない。
いつだって君は、そんな風に、僕を酷く傷付ける。
まるで水気を含んだ真綿のように、柔らかくて重い君の愛に包まれたが最後、「僕」は優しく殺されていくのに。
本当は、気付いていない訳じゃない。
だから、突きつけられても、もう震える事しか出来ないと認めて?
君は残酷。
「僕」の大嫌いな「俺」ごと、「僕」を愛しているから。
「従っている方が楽だからだろう。おまえはどうなんだ?」
仮面越しに放たれた言葉は、僕の歪な核を真っ向から貫いた。
僕はあの時、君がゼロだとは知らずにいたけれど、その瞬間、何故か思い出したのは、君の顔。
「おまえは変わったな」と。
どこか憂いを含んだ声で、寂しそうに笑った君の顔。
僕の中には、真っ赤な過去を無理矢理詰め込んだ真っ黒な箱がある。
「君の為に鍵を掛けた」だなんて、獰猛な「俺」の存在を知ってしまった「僕」にはもう言えない。
それなのに、中途半端に掛けられた箱の鍵を緩ませるのは、いつだって君の言葉で。
だから、本当は再会したその時から、君はいつだって僕の憎むべき敵だった。
いつも、ただ直視しろと、僕に迫るのは何故なんだい?
いっそ言ってしまいたい。
「君の善しとする正しさは、決して僕を救いはしないのだ」と。
「僕」は「俺」に追われながら、息さえ乱しながら、ただ必死で階段を昇っているのに、君はそんな「僕」の姿に気付かない。
見ようともしない。認めない。
いつだって君は、そんな風に、僕を酷く傷付ける。
まるで水気を含んだ真綿のように、柔らかくて重い君の愛に包まれたが最後、「僕」は優しく殺されていくのに。
本当は、気付いていない訳じゃない。
だから、突きつけられても、もう震える事しか出来ないと認めて?
君は残酷。
「僕」の大嫌いな「俺」ごと、「僕」を愛しているから。