夏風邪のルルーシュ 5
※この先、大人専用です。
R20ですので折々してます。ご注意ください。
R20ですので折々してます。ご注意ください。
ベッドで二人抱き合ったまま、僕はルルーシュとの口付けを繰り返していた。
初めて重ねた時と同じく、ルルーシュの唇は眩暈がするほど気持ち良かった。……それこそ、ずっとキスし続けていられそうなくらいに。
今はまだ熱冷ましが効いてるみたいだけど、かき回してみればルルーシュの口腔内はやっぱりかなり熱くて。明日になったらきっとまた熱も上がっちゃうんだろうな、と僕は思った。
ぎゅうっと握られた襟首が閉まって僕もちょっと苦しいけど、ルルーシュは息継ぎのタイミングがよくわからないのか僕の下で苦しそうに眉を寄せている。でもそれでいて、時々開かれる眼差しはとろん、としてるっていうんだからつくづく反則だ。
漏らす声もとにかく色っぽいし、舌が絡み合うたびヒクつく白い喉を、時々ミルクを飲む子猫みたいに「んく」と鳴らしている様子も妙にいやらしい。
その上、けぶるような長い睫に縁取られた綺麗な瞳は熱を孕んで常に潤みっぱなしだし……。
男は涙目に弱いって、知っててやっているんじゃないだろうな、ルルーシュ。
「口離さないで。鼻で息して」
「ふ、くっ……ん、んぅ……」
「ほら……だから、息詰めるなって言ってるだろ」
「んん――! ぅ、く」
くぐもった声で抗議してくるルルーシュに構わず、僕は実地訓練とでも言わんばかりにまたすぐに口付ける。
こういうのは習うより慣れろだ。……とはいえ、慣れて欲しいだなんて実はあんまり思ってないけど。
暫くタイミングが解らずに息を上がらせていたルルーシュは、最初こそ硬く体を竦めて怯えていたものの、鼻や口での息継ぎにも段々慣れてきたのか気持ちが良さそうだ。ちゅ、ちゅっ、と立て続けに口付けてから深く唇を重ね合わせて貪ってやると、ほうっと感じ入った溜息を漏らしながら陶酔し切った表情で応えてくる。
絡めた舌を吸ってやると、その度にルルーシュは「ふぁ」とか「んん」とか、鼻にかかった甘い声を漏らしていた。僕に掴まる手はまだガクガク震えてるくせに――ほんと、結構、順応性高いんだな。
……と、思うと、僕はますます心配になってくる。
ルルーシュは案の定、かなり流されやすいようだ。しかも、押しにも物凄く弱い。それこそ信じられないくらいに。
今だって全然嫌がってるようには見えないし、何だかんだ言いつつ結局応えてくる。
これは、早めに手を出しておいて正解だったのかもしれない。もし他の誰かが僕と同じような強攻策にでも打って出ようものなら、ルルーシュは多分……いや、間違いなく流される。
僕はルルーシュの上へと馬乗りになって圧し掛かり、ルルーシュが着ているシャツのボタンを一つずつ外していく。すると、合わせの内側から薄く色づいたピンク色の飾りがちらついているのが目に入った。シャツの生地に擦られたからか、それともキスで感じているのか、ルルーシュの其処もつんと尖っている。
ここを嘗め回してやったら、ルルーシュはどんな風に鳴いて、どんな顔して身悶えるんだろう。
ルルーシュは絶対ここ、感じる気がする。きっとすごく甘い声を撒き散らして、さぞかしイイ顔してすすり泣くんだろうな。
上を脱がせたら寒いかな、と考えながら舌なめずりした僕は、シャツのボタンを全部飛ばしてでも毟り取ってやりたい衝動を辛うじて抑えた。
仕方ないよな。上だけは着せといてやる。風邪悪化したら可哀相だし。
僕は考えた末、ルルーシュの上着を脱がさずに下半身を覆っていたズボンだけ下着ごと引きずり下ろそうと手をかけた。
「……っぁ!」
途端、我に返ったらしいルルーシュがビクッと体を強張らせる。
小さく上がった声に気付いた僕がルルーシュを見下ろすと、ルルーシュは下ろされかけたズボンのウエスト部分を掴んでいやいやと首を振っていた。
いやいや、じゃないだろ……。この期に及んで往生際悪いぞ。
僕は不安そうなルルーシュを宥めるためににっこりと笑いかけ、顔じゅうに口付けながらズボンを掴むルルーシュの手をゆっくりと引き離し、手が離れたところを見計らって勢い良く二の足から抜き取ってやる。
「やっ、ま、待て……!」
「待たない」
「返せバカっ!」
「駄目に決まってるだろ」
ルルーシュは奪い取られたズボンを取り返そうと慌てて起き上がりかけたが、僕はすかさずルルーシュを押し倒し、閉じようとする足の間へと手を捻じ込ませた。もう片方の手に持ち替えたルルーシュのズボンは、ちゃっかりルルーシュの手が届かない位置まできちんと放り投げておく。
「あっ!」
丸めたズボンが遠くの方にパサリと落ちるのを見たルルーシュが「お前……!」と言わんばかりに睨んできたが、僕は当然の如く聞かなかった振りを決め込む。
はい。もう届かないよルルーシュ。……だから潔く諦めろ。
兎の鼻面にも似た感触に指先が行き当たるなり、僕は躊躇無くルルーシュのものを握り込んだ。――と、同時に、ルルーシュがひゅっと短く息を飲む。
「んんっ……!」
――勃ってる。
やっぱりな、と僕は思った。さわさわとした下生えの感触ですら自分のものと同じだと否応なく気付くけれど、そんな些細なことなんかもうどうだって良かった。
キスだけでこれか、と僕はつくづく感心する。ホントに感度いいんだな。
脱がしてみてから気付いたけれど、下着の中で窮屈そうに張り詰めていたものは単に勃ち上がっているだけではなく、あろうことか先端から潤みまで垂れ流している。
――嫌だなんて言ってても濡らしてるなんて、やっぱり女の子みたいだ。でなきゃ、ルルーシュだからだと思って納得するより他ないんじゃないだろうか……。
そう思うなり、口元に薄笑いが浮かぶのが自分でも解る。
揶揄するようにルルーシュを見下ろせば意図を察したルルーシュの顔は悔しげに歪むけれど、今はもうそのさまでさえ単に僕の視覚を愉しませるものでしかない。
僕は恥らうルルーシュを更に甚振るようにルルーシュのものをゆるゆると扱きながら、わざと頬をひと撫でしてやった。むずがって僕の手から逃れようと顔を背けはするものの、ルルーシュは下半身から次第に立ち上ってくる疼きに意識を侵食され、段々艶めいた表情へと変化していく。
「あ……あぁ……あ、だ、だめ、やっ……」
ひく、ひくん、と内腿を痙攣させ、ふるふると首を振りながらきつく目を瞑ったルルーシュは、押し寄せる甘苦しい快楽に必死で耐えていた。
最初こそ抗ってはいたものの、僕の手を止めようと伸ばされたルルーシュの腕は呆気なくベッドの上へと落ちる。
……ルルーシュ。それは多分、抗ってるうちには入らないと思うよ。
断続的に伝わってくる刺激に負けたルルーシュは、僕の予想を遥かに上回る速さであっさりと屈した。吐き出す呼吸は早くなり、落ちた手は今やぎゅっとシーツを握り締めているのみだ。
「んっ、んっ……! あっ、あぁっ……!」
ルルーシュが途切れ途切れに漏らす声がどんどん甘さを帯びていくのを聴きながら、僕は張り詰めた自分の下半身も辛くなってきていることに気付いた。
……まあ、これについては、もうちょっとだけ我慢するしかないけど。
反応が過敏というよりは、元々敏感なタイプなんだろう。つま先を突っ張らせながらビクンと全身を震わせているルルーシュがあまりにも愛しくて、僕の腰から下が又もずんと重みを増していく。
「ルルーシュ」
「う……な、なに……っ? っんぁ!」
呼びかけに答えるルルーシュの語尾が不自然に跳ね上がる。
ルルーシュは押し寄せる快感の波を必死でやりすごそうとしているようだけれど、風邪とはまた違った意味での熱に意識をやられているのは一目瞭然だった。
その証拠に、固く屹立したものを擦り上げてやるたび先端からはどんどん先走りが滲み出し、顰められた眉は時折切なそうにピクリと震え、唇からはひっきりなしに甘ったるい吐息が零れ落ちている。
まるで、マタタビ嗅がされた猫みたいだ。
「君はもっと清楚なのかと思ってたけど、実はそう見えて案外はしたないんだな」
「……っ! う、ぁはっ、く……っ!」
答えが全く答えになっていないけど、余裕を無くして喘ぎに身を捩らせる姿すらなまめかしい。
扱く手を弛めずに顔を近付けて真上から意地悪く見下ろしてやると、息を荒げたルルーシュが泣き濡れた瞳を辛そうに眇めて僕を睨んでくる。
「み、見るな……!」
僕の視線から逃れようと、ルルーシュは腕で顔を覆った。
見るなって……? 何だよ、それ。
隠した腕の向こう側から頬を真っ赤に染めて僕を睨みつけてくる目もなんだか弱々しくて、そんな潤んだ眼差しで睨まれたところで却って煽られるだけだと僕は心底思う。
……解ってないな、ルルーシュ。
君は僕にやめさせたいのか酷くされたいのか、一体どっちなんだ?――って。また悪い癖が出そうになってるな……。駄目駄目。そういうこと考えたら駄目だって。
敏感に反応する体はとても正直なのに、まだまだ強気なその視線だけは性懲りもなく反抗的なままだ。
とはいえ、滅多に見られない極上の媚態だ、と僕は思う。
特に、中途半端に寛げられたシャツの開きからちらちらと見え隠れする色づき。――これは本当に、目に毒だ。
肌が抜けるように白いだけに、やけに目立ってしまって仕方ない。つい、思う侭に嘗め回して鳴かせてやりたくなる……。
僕は気を紛らわすように一旦強く頭を振り、ぐっしょりと濡れそぼった前面をぬるぬると擦ってやりながらルルーシュへと笑いかけた。
「僕に何されるか、想像したろ」
「! ち、ちがっ……!」
「嘘つくなよ」
「ふぁ! ああぁっ……!!」
敏感な先端部分から下に向かって強く握りこんだまま、一気にぬるん、と扱いた瞬間、ルルーシュの口から一際高くあられもない声が迸った。
自分の手でする時とは桁違いの快楽なんだろう。口を突いて出る否定とは裏腹に、ルルーシュの腰は上下に扱かれる動きに従ってヒクヒクと痙攣を繰り返してはベッドから浮き上がっている。
声を抑えようと手の甲で口元を押さえても、甘い喘ぎは全く留まることがない。絶え間なく漏れ続ける嬌声の度合いからして、理性を手放す時もそう遠くはなさそうだ。
開きっぱなしになっているルルーシュの唇。その隙間から、ちらちらと濃いピンク色の舌が顔を出す。
僕は酷く淫らなルルーシュの痴態に誘われるまま、そっと唇を寄せてその舌を甘噛みしてから強く吸ってやった。
「ん、ぅん、んぅ……っ」
鼻に抜けるような甘い声を撒き散らしながら、喉を鳴らしたルルーシュは僕の首筋へと夢中で腕を絡めてくる。
ルルーシュはどうやらキスが好きだ。ちゅる、と音を立てながら舌が絡み合い離れていくたびに、またすぐに追い縋ろうとして求めてくる。
ん、と鼻を鳴らしながら僕の唇に吸い付いてきたルルーシュは、前を扱かれるのが余程気持ちいいのか、いつの間にやら自分から僕の手に擦り付けるみたいにして腰を揺らしていた。
やらしいな、ルルーシュ。でも、可愛い。……それに、その方が凄く僕好みだ。
目の前にあるルルーシュの顔は、今やすっかり蕩け切って我を忘れている。まずいな。このままじゃこっちの自制も効かなくなりそうだ。
うっかり乱暴にしちゃったらどうしよう。……いや駄目だってば。それは……それだけはまずいよ。だってルルーシュ多分初めてなのに。
僕は扱く手を止めぬまま、そろそろ本気で邪魔くさくなりつつある自分の衣類を上下とも一気に脱ぎ捨てた。裸になって胸を寄せ合えば、ルルーシュがほわん、とした顔のまま瞼を開く。
「……ぁ」
――その時、服を脱いだ僕に気付いたルルーシュの小さな呟きが耳に入った。
ドキリとしたように大きく目を瞠って僕の上半身に釘付けになっていた視線が、僅かな間を置いてからややぎこちなく逸らされていく。
………………。
どうしよう。
僕は病気だ。明らかに。
ルルーシュのこういう時の顔が、僕に「苛めてくれ」って言ってるように見えてくる……。
ああ、もう……。だからホント、どうして君ってそうタイミング悪く……。いや、ある意味すごいタイミングの良さなのか?
駄目だって……。今、僕の目の前でそういう顔するのは。
思いっきりあどけないルルーシュの顔を見た僕は、自分の内側から急速に邪な欲望が首をもたげて来るのを意識する。
――このまま苛めてやったら、ルルーシュは一体どんな顔をするんだろう? 簡単には、イかせない方がいいよな。
ああ、ほら。もう無理……。
優しくしたいって思ってるのに、どうしてそれが解らないかな。大体、君、僕と同い年のくせしてなんでそんなに無防備なんだよ?
いっそ、もっと激しく抵抗したりしてくれないかな。押さえ付けてる僕を跳ね除けて、薄汚い言葉で罵ってみたりして欲しい。
そしたら僕は、こんな無駄なこと考えなくて済むのに。
……ルルーシュ。どうして君は、いつもいつも僕の見たくない俺ばかり見せ付けるんだ?
ああ、もういいや。
ごめんルルーシュ。でも、多分君のせいだから。
――と、思うや否や、とうとう僕の悪い癖が出た。……今のところ、対ルルーシュ限定の。
「んっ、あ……何っ?」
肌蹴たシャツの合わせを開いた僕は、おもむろにルルーシュの胸の飾りへと舌を這わせる。
ベビーピンクってこういう色のこと言うのかな、なんて思いながら、つるりとした小さな円形の中心でぷつりと立ち上がっている部分へと唇を押し当て、きゅうっと吸い上げたまま嘗め回してみた。
「ひぁっ! う、ぁ……っ!」
ぶるっと震えたルルーシュは僕の髪の中へと手を差し入れ、何とか退かそうと掴んでくる。僕はその間もしとどに濡れるルルーシュのものを握る力を強め、追い立て続けるのを止めない。
ルルーシュはうつ伏せになって逃げようとしていたけれど、僕はルルーシュの肩口を掴んで引き戻し、歯と舌で甘噛みしたり舌先で転がしたりしながら散々感触を愉しんだ。
……ふにっとしているのに舌触りが良くて、想像してたとおり。唇もいいけど、やっぱりこっちもかなりいい。
「ここも気持ちいいんだろ」
「あっ、ぁん! あぁ……ちが、ちがう……」
「嘘ばっかり」
強弱を付けた舌先で穿るように胸の尖りを嬲りつつ、握り込んだ下も休むことなく扱き続けてやると、ルルーシュは甲高い声を上げて髪を振り乱し、背筋を反らして激しく悶えていた。
やっぱりここ、感じるんだな。ホントはもっとじっくり弄りたいけど、そろそろ僕も辛いかも……。
「うぁっ……!?」
ルルーシュの胸を一頻り弄り倒した僕は、今度は片手で纏めたルルーシュの両足首を真上へと吊り上げた。
逆さにほぼ等しい格好だ。大きく足を割り開いて恥ずかしがらせるのもいいんだけど、今はなんとなくこうしたい気分だった。
急に体勢が変わり、背中が浮き上がる感覚にも驚いたルルーシュがうろたえた声を上げる。
「やぁ! バカっ! やめろ……!」
突然の荒い動作にびっくりしたのか、ルルーシュは激しく抵抗しながら起き上がろうとするけれど――残念でした。この体勢は腹筋強くないと起き上がることは出来ないよ。
横に転がって逃げられるのを防ぐために、僕は吊ったままだったルルーシュの両足を勢い良く前へと倒し、閉じたまま膝を曲げさせた。両足と腹の間に腕を回し、すかさず手前にぐいっと引き寄せる。
……こうすると、よく見えるんだよな。
「ス、ザク……たのむ、からっ、も、やめっ……! 馬鹿、や、やめろぉっ!」
尻を浮かせて僕の眼前に露出という恥ずかしい体勢に、ルルーシュは羞恥も極まったのか懇願とも罵詈雑言ともつかない滅茶苦茶な罵声を浴びせてくる。
でもごめん、ルルーシュ。僕、やめる気は無いから。
背中の半ばどころか胸元辺りまで浮き上がった不安定な体勢のルルーシュは、真横に付いた両肘でひっくり返らないよう辛うじて体を支えていた。
「ちょっとそのままでいろよ、ルルーシュ」
僕は浮いたルルーシュの背中の下へと深く膝を割り入れてから、眼前で顕になったルルーシュの後孔へと舌を這わせていく。
「ス、スザク? 何して……うゎ!――っあ? あぁっ!?」
ヒクヒクと収縮しているルルーシュの中心を指先でやわやわと刺激しながら、僕は舌先で襞を柔らかくなぞってやる。
濡れた感触に気付いたルルーシュが慌てて逃げを打とうと体を捩るのを、腹に回した手を下腹の更に下方へと伸ばして僕は制した。
先走りでぬるつく鈴口を握り込み、親指の腹で円を描くようにして擦ってやると、顎の上がったルルーシュが耐え切れずに甘い声を上げ始める。
「んっ! んぁっ!」
与えられる快感に翻弄されているのか、片手で纏め上げたままだったルルーシュの足がビクン、ビクン、と跳ね上がった。
元気いいな、ルルーシュ。多分君なら、ここもすぐに良くなるだろうから安心しろ。
心の中で呟いた僕は、舌先をルルーシュの後孔へと捻じ込んでやる。
「――――っ!!」
狼狽したようなルルーシュの声が響いたけれど、僕は無視した。満遍なく唾液を垂らして充分に濡らし終えたところで、今まで掴んでいた両足首を纏めたまま今度は一気に真横へと引き倒す。
「うわっ――!?」
僕の膝に乗っていた背中ごと、ころん、と真横に転がったルルーシュは、ちょうど僕に尻を向ける体勢で横たわっている。
僕は纏めた両足首を軸に膝を曲げさせてからも手放さず、上から押さえ付けて動けないよう固定した。シーツの上に足首を貼り付ける僕の手を退かそうと、ルルーシュがじたばたと暴れている。
僕は寝転がったルルーシュに「力抜いて?」と一応警告してから、たっぷりと濡れそぼった後孔へつぷりと指を差し込んだ。
「―――!? や、やめっ……! スザク、や、嫌……!」
「黙ってろ」
「……っ!」
悲鳴を上げたルルーシュを、僕は短く凄んで黙らせる。
第一関節辺りまで差し入れていた指を一気にぬるんと奥まで押し込むと、ひっ、と息を飲んだルルーシュは暴れれば自分が痛い思いをするのではないかと思ったのか急に抵抗をやめて大人しくなった。
さすがルルーシュ、賢いな。でも、君に痛い思いさせるつもりは全く無いから心配しなくていい。
「そのままゆっくり息吐いて」
「――っふ」
ルルーシュは僕が促した通り、詰めていた息をそろそろと吐き出す。ぎゅっと目を閉じたまま違和感に耐えている様子は何だか少し健気にも見えて、僕の口元も思わず綻んだ。
固定したルルーシュの両足首から手を退けた僕は、代わりに自分の膝裏を押し付けてルルーシュの足を押さえた。片手が自由になったので早速ルルーシュの前面へと手を這わせ、まだ緩く立ち上がったままのものをきゅっと握り込む。
「っあ……!」
「こっちにも欲しい?」
「んんっ……!」
ルルーシュはこくこくと頷いた。案外素直に頷いたなと思ったけれど、そういえば中途半端に煽ってしまったから結構辛かったのかもしれない。
再び扱き出すなり腰が前に戻っていくのを、僕は肩の辺りをぐっと押して元の体勢へと戻した。後ろの締め付けがほんの少しだけ緩んだ隙を見て即座に指を増やし、腹の内側目掛けて強めに突き上げてやる。
「ふぁっ……!?」
「これだろ」
中でぷくん、と膨れている箇所をぬるぬるとしつこく擦ってやると、縋るようにシーツへと爪を立てたルルーシュが全身をガクガクと震わせ始めた。
「……っ! あっ、く……んぁっ! やっ、ん! あぁっ……!」
ルルーシュは言葉にならない嬌声を放ってはビクビクと痙攣を繰り返す。横向きに寝かせたまま後ろから前からと同時に苛んでいると、やがて悲痛な声を上げながら過ぎる快感を訴えてきた。
「やめっ……す、すざく……ぅ」
「うん、何?」
「こ、これ、やっ……やぁっ!」
二本の指を突き立てられてガクガクと全身を戦慄かせているルルーシュは、もどかしげに腰をくゆらしながらも涙目だ。
ちょっと可哀相な気もするけど、この「嫌」は気持ち良すぎるから嫌って意味だよな……。
「これ?」
言いながら、僕はルルーシュの前立腺目掛けて三本に増やした指を勢い良く突き立てた。
「―――っ、あァ!!」
ズン、と突き入れられた衝撃で背中を大きく反らせたルルーシュの目尻から、涙の粒がぽろぽろと零れ落ちる。……全く。本当はイイくせに嫌だとか言うからそういうことになるんだよ。
立て続けに一番感じるポイントばかり狙って、僕は指を突き立て続けた。
ぴん、と張り詰めたルルーシュのつま先が、抽挿を繰り返すたびにシーツの表面を掠っていく。全身に電流でも流されているかのように、びくん、びくんと痙攣しながらも、その表情は見るからに甘く蕩け切っていて酷く気持ちが良さそうだ。
「前も後ろも責められている気分はどうだ、ルルーシュ」
勃ち上がった先端から裏筋にかけてぬるぬると擦ってやりながら尋ねると、ルルーシュは快楽に犯されて思考の方が覚束なくなっているのか、もう達することしか考えられなくなっているように腰をヒクヒクと前後に動かしながら、とろんとした眼差しを僕へと向けてくるだけだった。
……とてもじゃないけど、ついさっきまで「嫌だ」とか言ってた奴と同一人物とは思えない。
「何だよ、そのやらしい顔……」
「んん……っ、あっ、ぁ、うぁ!」
後ろに埋め込んだ指で奥を突いてやると、ルルーシュは詰られているにも関わらず、あろうことか嬉しそうにさえ見える恍惚とした表情で自分から腰を擦り付けてくる。
与えられる快楽を拾うのに必死というより、寧ろ没頭しているようだ。
「ルルーシュ、気持ちいい?」
「……んっ、んん……ぅん」
シーツに懐いたルルーシュは恥ずかしそうに、こくん、と頷き、それでも止められないというようにずっと腰を揺らし続けていた。
切なげに眉を寄せていながらも喘ぎ混じりの熱っぽい吐息を撒き散らし、半開きの唇にはとろとろした淫蕩な笑みまで浮かんでいる。
キシキシと鳴り響くベッドのスプリング。先走りごと陰茎を擦られる粘着質な水音。
二種類の音が重なり合う中、後孔に指を突き立てられながら、さながら快楽の虜になったように尻を突き出すルルーシュの姿態は、何とも言えずその場に淫靡な雰囲気を醸し出していた。
――最早ルルーシュの理性は、完全に飛んでいる。
う、わ……と心の中で呟いた僕は、無意識のうちにゴクリと喉を鳴らしていた。詰られて尚、悦楽に身を委ねる媚態といい、誘惑するような眼差しといい……ルルーシュ。君、とんでもない淫乱だよ。
そういう顔されると、尚のことオモチャにしたくなってくるんだけど。
マタタビ嗅がされたどころの話じゃない。正しく発情期の雌猫だ。快楽に弱いにしても、まさかそういう飛び方するとは意外だよ。全くもって初めてとは思えないけど、寧ろ初めてだからこうなのか? いずれにせよ、末恐ろしいほど扇情的ってことだけは確かだ……。
それにしても、すっごいギャップ。エッチだな。
僕自身、自分でも信じられないことだけど。――君は僕にとって、今までしてきたどんな人よりタイプだよ。
少なくとも、僕は君ほど清楚で、君ほど妖艶な女性には出会ったことが無い。
……初々しい反面すっごくやらしいとか。本当に君は、反則だ。
僕はなかなか達することが出来ないよう、力加減を調節していた手で限界寸前までルルーシュを煽り立てた。
「あっ、あ、んぁん、ふぁ……ぅあ!」
歯の根も合わない淫らな喘ぎが耳につく。後ろを突かれる動きに合わせて、ルルーシュは解放だけを求めてひたすら小刻みに鳴き続けていた。
僕は達する前兆にルルーシュが大きく背筋を震わせたタイミングを見定め、今度は根元を強く押さえて塞き止める。
「やっ! ああっ……! あァだめ……っ!」
瞬間、切羽詰ったルルーシュが悲鳴を上げた。
後ろにも指を突っ込まれ、前も塞き止められて混乱したらしいルルーシュは、よっぽど辛かったのか腕で顔面を覆いながらぽろぽろと泣き出した。
しゃくり上げる声を時々引き攣らせて、身も世も無い風情で善がっている姿が、また異常なほど可愛い。
「す、スザク……」
「まだ駄目だ。我慢しろ」
言いながら、僕はルルーシュの根元を塞き止めたまま後ろに埋め込んでいた指を引き抜き、うつ伏せに転がしたルルーシュの腰を抱え上げた。
――そろそろ、本当に限界だ。
背後からルルーシュへと圧し掛かり、抱きかかえる体勢になった僕は、つい先程まで指を埋めていた箇所へとガチガチに屹立した自身の先端を宛がう。
そして、根元まで一気に奥へと貫いた。
「ふぁっ……! あァ! んあぁん……!」
ルルーシュは挿入の衝撃で肩から前のめりになって倒れ込んだ。
崩れた体勢を立て直そうとベッドに手を付きかけたところで、伸び上がった僕はルルーシュの両腕を取り背中側へと回させる。
「スザ……っ!?」
「そのままだ、ルルーシュ」
ハッとしたルルーシュが振り返ってこようとしていたけれど、僕は起き上がりかけていた背中を圧迫して押し潰した。
「……っく!」
ルルーシュの上半身が再びベッドに沈んだところで、背中に回させた腕を一纏めにして掴み、片手で拘束する。
「あ……。な、んで……っ!? んん……っ、あっ、ぁ、うぁ!」
掴んだままのルルーシュの腕と、ルルーシュ自身をまだ塞き止めている手を力点にして、僕は背後から激しく腰を打ち付けた。
奥まで押し込んでやるたびに、ルルーシュの上体がガクガクと上下する。
体位のせいもあるのかもしれない。尻だけを高々と突き出した格好に、後ろ手で拘束された腕。好き放題揺さぶられているルルーシュの姿は想像以上になまめかしくていやらしい。
僕はまるで蹂躙しているような錯覚に陥り酷く興奮してしまっていた。男は視覚で感じるっていうけど、これは相当クる。
「んぁんっ!……うぁ! やっ……も、もぉ、やあぁっ……!」
幾度も貫かれ、突き上げられているうちに、ルルーシュはどうやら一番感じる箇所に当たる角度になっていたらしい。僕がわざと狙ってそこばかり突いてやると、解放されることも許されぬまま揺さぶられ続けていたルルーシュは切なげにすすり泣いていた。
ベッドに突っ伏したまま身悶えるルルーシュの耳元へと顔を寄せ、背後から抱きすくめるようにしながら僕は囁く。
「ルルーシュ。君、凄いな……止まんない。僕こんなの初めてだよ」
「っあ! やぁっ……も、もう、これ……はなっ!」
「うん?」
「手、離して……! はなして、くれっ……っ!」
「いいよ」
必死で訴えてくるルルーシュに絆されたと見せかけて、僕は背中で拘束している手の方だけを離してやった。
「ちがっ! そっちじゃなっ……!」
「――知ってるよ?」
「うぁっ! こ、この……ばかぁっ……!」
僕は内心、ちょっと可哀相だなと思いながらも容赦なく突き上げ続けた。
あまりの気持ち良さに瞼の裏が白く霞む。
神経が焼き切れ、意識が全て持っていかれそうなほど凄まじい快感を覚えたのはこれが初めてだった。
根元を塞き止めたままずっと握り込まれていたルルーシュのものは、先端からたらたらと蜜を垂らし続けていて既にびしょ濡れだ。
僕は根元だけは変わらず押さえたまま抽挿を繰り返しつつ、拘束を解いて片手が開いていたのを良いことに、シーツに向かって糸を引くほど濡れそぼったルルーシュの先端を余った片手で撫で回してやる。
「やめ……っ! それ、やぁっ……!」
感じすぎて辛いというより、ほとんど拷問にも等しい刺激なのだろう。ルルーシュはビクビクと腰を跳ね上がらせながらベッドの上で声も無くのたうっている。
自分のものを握る僕の手を何とかして退かそうと爪を立ててきたけれど、僕はその手を逆に取り、ぐっしょり濡れた自分のものをルルーシュに触らせてやった。
「何、するっ……!?」
「沢山濡れてるだろ。お漏らしでもしたのか? ルルーシュ」
「……っ! んぁ! も、ほんとに、やめっ……!」
「苦しい?」
埋め込んだ屹立を抜かぬまま、僕は奥だけを踏み荒らすように腰を動かしてやる。
「――――っ!!」
一番イイところにきちんと当たるよう打ち込んでやれば、余程強烈な刺激だったのか、ルルーシュは一度だけ大きく背を反らしたきりベッドへと突っ伏した。
シーツを握り締めたままはらはらと涙を流すさまはあまりにも可愛くて、心の底から愛おしさが込み上げてくる。
ああ、本当に可哀相だな、ルルーシュ。泣いてる顔もやっぱりすごく可愛いよ。
――勿論、だからって今更やめてやる気は全く無いけど。
僕に腹の奥まで串刺しにされながら、ルルーシュは細い姿態をただ突っ張らせることしか出来ずにふるふると首を振っていた。
しどけなく開かれた唇からは途切れることなく苦痛交じりの喘ぎと甘ったるい吐息が漏れ出し、唇の端からは唾液が銀糸を作って顎へと滴っている。
僕は再び塞き止めたままの先端へと手を伸ばし、鈴口の丸みと手触りを愉しんだ。すると、力尽きる寸前といった風情のルルーシュが、か細い声で泣きながら訴えてくる。
「ス、スザク……ぁ、それ、やめ……たの、むからっ……っう!」
「どうして? 気持ち良いんだろ? 腰揺れてるぞ」
「お、ねがっ……」
ルルーシュの泣き濡れた瞳が本気で限界を訴えているのを見て、僕は「これからはもうちょっと鍛えてあげないと駄目かな」と内心ひとりごちる。
特別根性が無いかというとそうじゃないんだけど(寧ろ根性自体はどちらかというと凄くある方なんだけど)、こと、こういう方面に関してはルルーシュは全く免疫ないから仕方がないか。
そろそろこの辺にしておこうかな、と判断しつつも……やっぱり、あとちょっと。もう少し、あと少しだけ……。
――だって、しょうがないよ。僕を煽ったのはルルーシュなんだし、責任くらい取ってもらわないと……って、そういや、ルルーシュ風邪だっけ。
ごめんルルーシュ。それ、たった今まで忘れてたよ……。
僕はルルーシュの根元を塞き止めていた手を少しだけ弛めてから、射精を促すように優しく扱き始める。
「あァ! い、いやぁ……!」
「ここ、突かれながら吐き出したら気持ちいいんじゃないのかな。やってみようか」
「で、できなっ……離せ!」
「出来るだろ」
寧ろ出来ない訳ないだろ。ただ出すだけなのに……と思いつつ、今突き立てているルルーシュの内壁がきゅうっと収縮していくのに僕は気付く。
――ああ、そういうこと?
あとちょっとだけ待って、と心の中で言い置いた僕は背後からルルーシュに覆い被さり、段々と抜き差しするスピードを速めていく。
「や、スザ……スザク……まって、まって、くれ……」
「何?……後ろ、おかしくなりそう?」
「――――っう」
「なっていいよ」
ルルーシュはあられもなく乱れながら、涙声で悲鳴混じりの嬌声を発していた。緩く握っていたルルーシュのものを優しく擦り上げながら、僕はルルーシュを夢中になって突き上げる。
僕は泣き濡れるルルーシュの頬を捕らえて顔を覗き込み、ルルーシュに思い切り口付けた。
やがて、目も眩むような快感の波がやってきて、僕とルルーシュは二人でその波に飲まれていった。
初めて重ねた時と同じく、ルルーシュの唇は眩暈がするほど気持ち良かった。……それこそ、ずっとキスし続けていられそうなくらいに。
今はまだ熱冷ましが効いてるみたいだけど、かき回してみればルルーシュの口腔内はやっぱりかなり熱くて。明日になったらきっとまた熱も上がっちゃうんだろうな、と僕は思った。
ぎゅうっと握られた襟首が閉まって僕もちょっと苦しいけど、ルルーシュは息継ぎのタイミングがよくわからないのか僕の下で苦しそうに眉を寄せている。でもそれでいて、時々開かれる眼差しはとろん、としてるっていうんだからつくづく反則だ。
漏らす声もとにかく色っぽいし、舌が絡み合うたびヒクつく白い喉を、時々ミルクを飲む子猫みたいに「んく」と鳴らしている様子も妙にいやらしい。
その上、けぶるような長い睫に縁取られた綺麗な瞳は熱を孕んで常に潤みっぱなしだし……。
男は涙目に弱いって、知っててやっているんじゃないだろうな、ルルーシュ。
「口離さないで。鼻で息して」
「ふ、くっ……ん、んぅ……」
「ほら……だから、息詰めるなって言ってるだろ」
「んん――! ぅ、く」
くぐもった声で抗議してくるルルーシュに構わず、僕は実地訓練とでも言わんばかりにまたすぐに口付ける。
こういうのは習うより慣れろだ。……とはいえ、慣れて欲しいだなんて実はあんまり思ってないけど。
暫くタイミングが解らずに息を上がらせていたルルーシュは、最初こそ硬く体を竦めて怯えていたものの、鼻や口での息継ぎにも段々慣れてきたのか気持ちが良さそうだ。ちゅ、ちゅっ、と立て続けに口付けてから深く唇を重ね合わせて貪ってやると、ほうっと感じ入った溜息を漏らしながら陶酔し切った表情で応えてくる。
絡めた舌を吸ってやると、その度にルルーシュは「ふぁ」とか「んん」とか、鼻にかかった甘い声を漏らしていた。僕に掴まる手はまだガクガク震えてるくせに――ほんと、結構、順応性高いんだな。
……と、思うと、僕はますます心配になってくる。
ルルーシュは案の定、かなり流されやすいようだ。しかも、押しにも物凄く弱い。それこそ信じられないくらいに。
今だって全然嫌がってるようには見えないし、何だかんだ言いつつ結局応えてくる。
これは、早めに手を出しておいて正解だったのかもしれない。もし他の誰かが僕と同じような強攻策にでも打って出ようものなら、ルルーシュは多分……いや、間違いなく流される。
僕はルルーシュの上へと馬乗りになって圧し掛かり、ルルーシュが着ているシャツのボタンを一つずつ外していく。すると、合わせの内側から薄く色づいたピンク色の飾りがちらついているのが目に入った。シャツの生地に擦られたからか、それともキスで感じているのか、ルルーシュの其処もつんと尖っている。
ここを嘗め回してやったら、ルルーシュはどんな風に鳴いて、どんな顔して身悶えるんだろう。
ルルーシュは絶対ここ、感じる気がする。きっとすごく甘い声を撒き散らして、さぞかしイイ顔してすすり泣くんだろうな。
上を脱がせたら寒いかな、と考えながら舌なめずりした僕は、シャツのボタンを全部飛ばしてでも毟り取ってやりたい衝動を辛うじて抑えた。
仕方ないよな。上だけは着せといてやる。風邪悪化したら可哀相だし。
僕は考えた末、ルルーシュの上着を脱がさずに下半身を覆っていたズボンだけ下着ごと引きずり下ろそうと手をかけた。
「……っぁ!」
途端、我に返ったらしいルルーシュがビクッと体を強張らせる。
小さく上がった声に気付いた僕がルルーシュを見下ろすと、ルルーシュは下ろされかけたズボンのウエスト部分を掴んでいやいやと首を振っていた。
いやいや、じゃないだろ……。この期に及んで往生際悪いぞ。
僕は不安そうなルルーシュを宥めるためににっこりと笑いかけ、顔じゅうに口付けながらズボンを掴むルルーシュの手をゆっくりと引き離し、手が離れたところを見計らって勢い良く二の足から抜き取ってやる。
「やっ、ま、待て……!」
「待たない」
「返せバカっ!」
「駄目に決まってるだろ」
ルルーシュは奪い取られたズボンを取り返そうと慌てて起き上がりかけたが、僕はすかさずルルーシュを押し倒し、閉じようとする足の間へと手を捻じ込ませた。もう片方の手に持ち替えたルルーシュのズボンは、ちゃっかりルルーシュの手が届かない位置まできちんと放り投げておく。
「あっ!」
丸めたズボンが遠くの方にパサリと落ちるのを見たルルーシュが「お前……!」と言わんばかりに睨んできたが、僕は当然の如く聞かなかった振りを決め込む。
はい。もう届かないよルルーシュ。……だから潔く諦めろ。
兎の鼻面にも似た感触に指先が行き当たるなり、僕は躊躇無くルルーシュのものを握り込んだ。――と、同時に、ルルーシュがひゅっと短く息を飲む。
「んんっ……!」
――勃ってる。
やっぱりな、と僕は思った。さわさわとした下生えの感触ですら自分のものと同じだと否応なく気付くけれど、そんな些細なことなんかもうどうだって良かった。
キスだけでこれか、と僕はつくづく感心する。ホントに感度いいんだな。
脱がしてみてから気付いたけれど、下着の中で窮屈そうに張り詰めていたものは単に勃ち上がっているだけではなく、あろうことか先端から潤みまで垂れ流している。
――嫌だなんて言ってても濡らしてるなんて、やっぱり女の子みたいだ。でなきゃ、ルルーシュだからだと思って納得するより他ないんじゃないだろうか……。
そう思うなり、口元に薄笑いが浮かぶのが自分でも解る。
揶揄するようにルルーシュを見下ろせば意図を察したルルーシュの顔は悔しげに歪むけれど、今はもうそのさまでさえ単に僕の視覚を愉しませるものでしかない。
僕は恥らうルルーシュを更に甚振るようにルルーシュのものをゆるゆると扱きながら、わざと頬をひと撫でしてやった。むずがって僕の手から逃れようと顔を背けはするものの、ルルーシュは下半身から次第に立ち上ってくる疼きに意識を侵食され、段々艶めいた表情へと変化していく。
「あ……あぁ……あ、だ、だめ、やっ……」
ひく、ひくん、と内腿を痙攣させ、ふるふると首を振りながらきつく目を瞑ったルルーシュは、押し寄せる甘苦しい快楽に必死で耐えていた。
最初こそ抗ってはいたものの、僕の手を止めようと伸ばされたルルーシュの腕は呆気なくベッドの上へと落ちる。
……ルルーシュ。それは多分、抗ってるうちには入らないと思うよ。
断続的に伝わってくる刺激に負けたルルーシュは、僕の予想を遥かに上回る速さであっさりと屈した。吐き出す呼吸は早くなり、落ちた手は今やぎゅっとシーツを握り締めているのみだ。
「んっ、んっ……! あっ、あぁっ……!」
ルルーシュが途切れ途切れに漏らす声がどんどん甘さを帯びていくのを聴きながら、僕は張り詰めた自分の下半身も辛くなってきていることに気付いた。
……まあ、これについては、もうちょっとだけ我慢するしかないけど。
反応が過敏というよりは、元々敏感なタイプなんだろう。つま先を突っ張らせながらビクンと全身を震わせているルルーシュがあまりにも愛しくて、僕の腰から下が又もずんと重みを増していく。
「ルルーシュ」
「う……な、なに……っ? っんぁ!」
呼びかけに答えるルルーシュの語尾が不自然に跳ね上がる。
ルルーシュは押し寄せる快感の波を必死でやりすごそうとしているようだけれど、風邪とはまた違った意味での熱に意識をやられているのは一目瞭然だった。
その証拠に、固く屹立したものを擦り上げてやるたび先端からはどんどん先走りが滲み出し、顰められた眉は時折切なそうにピクリと震え、唇からはひっきりなしに甘ったるい吐息が零れ落ちている。
まるで、マタタビ嗅がされた猫みたいだ。
「君はもっと清楚なのかと思ってたけど、実はそう見えて案外はしたないんだな」
「……っ! う、ぁはっ、く……っ!」
答えが全く答えになっていないけど、余裕を無くして喘ぎに身を捩らせる姿すらなまめかしい。
扱く手を弛めずに顔を近付けて真上から意地悪く見下ろしてやると、息を荒げたルルーシュが泣き濡れた瞳を辛そうに眇めて僕を睨んでくる。
「み、見るな……!」
僕の視線から逃れようと、ルルーシュは腕で顔を覆った。
見るなって……? 何だよ、それ。
隠した腕の向こう側から頬を真っ赤に染めて僕を睨みつけてくる目もなんだか弱々しくて、そんな潤んだ眼差しで睨まれたところで却って煽られるだけだと僕は心底思う。
……解ってないな、ルルーシュ。
君は僕にやめさせたいのか酷くされたいのか、一体どっちなんだ?――って。また悪い癖が出そうになってるな……。駄目駄目。そういうこと考えたら駄目だって。
敏感に反応する体はとても正直なのに、まだまだ強気なその視線だけは性懲りもなく反抗的なままだ。
とはいえ、滅多に見られない極上の媚態だ、と僕は思う。
特に、中途半端に寛げられたシャツの開きからちらちらと見え隠れする色づき。――これは本当に、目に毒だ。
肌が抜けるように白いだけに、やけに目立ってしまって仕方ない。つい、思う侭に嘗め回して鳴かせてやりたくなる……。
僕は気を紛らわすように一旦強く頭を振り、ぐっしょりと濡れそぼった前面をぬるぬると擦ってやりながらルルーシュへと笑いかけた。
「僕に何されるか、想像したろ」
「! ち、ちがっ……!」
「嘘つくなよ」
「ふぁ! ああぁっ……!!」
敏感な先端部分から下に向かって強く握りこんだまま、一気にぬるん、と扱いた瞬間、ルルーシュの口から一際高くあられもない声が迸った。
自分の手でする時とは桁違いの快楽なんだろう。口を突いて出る否定とは裏腹に、ルルーシュの腰は上下に扱かれる動きに従ってヒクヒクと痙攣を繰り返してはベッドから浮き上がっている。
声を抑えようと手の甲で口元を押さえても、甘い喘ぎは全く留まることがない。絶え間なく漏れ続ける嬌声の度合いからして、理性を手放す時もそう遠くはなさそうだ。
開きっぱなしになっているルルーシュの唇。その隙間から、ちらちらと濃いピンク色の舌が顔を出す。
僕は酷く淫らなルルーシュの痴態に誘われるまま、そっと唇を寄せてその舌を甘噛みしてから強く吸ってやった。
「ん、ぅん、んぅ……っ」
鼻に抜けるような甘い声を撒き散らしながら、喉を鳴らしたルルーシュは僕の首筋へと夢中で腕を絡めてくる。
ルルーシュはどうやらキスが好きだ。ちゅる、と音を立てながら舌が絡み合い離れていくたびに、またすぐに追い縋ろうとして求めてくる。
ん、と鼻を鳴らしながら僕の唇に吸い付いてきたルルーシュは、前を扱かれるのが余程気持ちいいのか、いつの間にやら自分から僕の手に擦り付けるみたいにして腰を揺らしていた。
やらしいな、ルルーシュ。でも、可愛い。……それに、その方が凄く僕好みだ。
目の前にあるルルーシュの顔は、今やすっかり蕩け切って我を忘れている。まずいな。このままじゃこっちの自制も効かなくなりそうだ。
うっかり乱暴にしちゃったらどうしよう。……いや駄目だってば。それは……それだけはまずいよ。だってルルーシュ多分初めてなのに。
僕は扱く手を止めぬまま、そろそろ本気で邪魔くさくなりつつある自分の衣類を上下とも一気に脱ぎ捨てた。裸になって胸を寄せ合えば、ルルーシュがほわん、とした顔のまま瞼を開く。
「……ぁ」
――その時、服を脱いだ僕に気付いたルルーシュの小さな呟きが耳に入った。
ドキリとしたように大きく目を瞠って僕の上半身に釘付けになっていた視線が、僅かな間を置いてからややぎこちなく逸らされていく。
………………。
どうしよう。
僕は病気だ。明らかに。
ルルーシュのこういう時の顔が、僕に「苛めてくれ」って言ってるように見えてくる……。
ああ、もう……。だからホント、どうして君ってそうタイミング悪く……。いや、ある意味すごいタイミングの良さなのか?
駄目だって……。今、僕の目の前でそういう顔するのは。
思いっきりあどけないルルーシュの顔を見た僕は、自分の内側から急速に邪な欲望が首をもたげて来るのを意識する。
――このまま苛めてやったら、ルルーシュは一体どんな顔をするんだろう? 簡単には、イかせない方がいいよな。
ああ、ほら。もう無理……。
優しくしたいって思ってるのに、どうしてそれが解らないかな。大体、君、僕と同い年のくせしてなんでそんなに無防備なんだよ?
いっそ、もっと激しく抵抗したりしてくれないかな。押さえ付けてる僕を跳ね除けて、薄汚い言葉で罵ってみたりして欲しい。
そしたら僕は、こんな無駄なこと考えなくて済むのに。
……ルルーシュ。どうして君は、いつもいつも僕の見たくない俺ばかり見せ付けるんだ?
ああ、もういいや。
ごめんルルーシュ。でも、多分君のせいだから。
――と、思うや否や、とうとう僕の悪い癖が出た。……今のところ、対ルルーシュ限定の。
「んっ、あ……何っ?」
肌蹴たシャツの合わせを開いた僕は、おもむろにルルーシュの胸の飾りへと舌を這わせる。
ベビーピンクってこういう色のこと言うのかな、なんて思いながら、つるりとした小さな円形の中心でぷつりと立ち上がっている部分へと唇を押し当て、きゅうっと吸い上げたまま嘗め回してみた。
「ひぁっ! う、ぁ……っ!」
ぶるっと震えたルルーシュは僕の髪の中へと手を差し入れ、何とか退かそうと掴んでくる。僕はその間もしとどに濡れるルルーシュのものを握る力を強め、追い立て続けるのを止めない。
ルルーシュはうつ伏せになって逃げようとしていたけれど、僕はルルーシュの肩口を掴んで引き戻し、歯と舌で甘噛みしたり舌先で転がしたりしながら散々感触を愉しんだ。
……ふにっとしているのに舌触りが良くて、想像してたとおり。唇もいいけど、やっぱりこっちもかなりいい。
「ここも気持ちいいんだろ」
「あっ、ぁん! あぁ……ちが、ちがう……」
「嘘ばっかり」
強弱を付けた舌先で穿るように胸の尖りを嬲りつつ、握り込んだ下も休むことなく扱き続けてやると、ルルーシュは甲高い声を上げて髪を振り乱し、背筋を反らして激しく悶えていた。
やっぱりここ、感じるんだな。ホントはもっとじっくり弄りたいけど、そろそろ僕も辛いかも……。
「うぁっ……!?」
ルルーシュの胸を一頻り弄り倒した僕は、今度は片手で纏めたルルーシュの両足首を真上へと吊り上げた。
逆さにほぼ等しい格好だ。大きく足を割り開いて恥ずかしがらせるのもいいんだけど、今はなんとなくこうしたい気分だった。
急に体勢が変わり、背中が浮き上がる感覚にも驚いたルルーシュがうろたえた声を上げる。
「やぁ! バカっ! やめろ……!」
突然の荒い動作にびっくりしたのか、ルルーシュは激しく抵抗しながら起き上がろうとするけれど――残念でした。この体勢は腹筋強くないと起き上がることは出来ないよ。
横に転がって逃げられるのを防ぐために、僕は吊ったままだったルルーシュの両足を勢い良く前へと倒し、閉じたまま膝を曲げさせた。両足と腹の間に腕を回し、すかさず手前にぐいっと引き寄せる。
……こうすると、よく見えるんだよな。
「ス、ザク……たのむ、からっ、も、やめっ……! 馬鹿、や、やめろぉっ!」
尻を浮かせて僕の眼前に露出という恥ずかしい体勢に、ルルーシュは羞恥も極まったのか懇願とも罵詈雑言ともつかない滅茶苦茶な罵声を浴びせてくる。
でもごめん、ルルーシュ。僕、やめる気は無いから。
背中の半ばどころか胸元辺りまで浮き上がった不安定な体勢のルルーシュは、真横に付いた両肘でひっくり返らないよう辛うじて体を支えていた。
「ちょっとそのままでいろよ、ルルーシュ」
僕は浮いたルルーシュの背中の下へと深く膝を割り入れてから、眼前で顕になったルルーシュの後孔へと舌を這わせていく。
「ス、スザク? 何して……うゎ!――っあ? あぁっ!?」
ヒクヒクと収縮しているルルーシュの中心を指先でやわやわと刺激しながら、僕は舌先で襞を柔らかくなぞってやる。
濡れた感触に気付いたルルーシュが慌てて逃げを打とうと体を捩るのを、腹に回した手を下腹の更に下方へと伸ばして僕は制した。
先走りでぬるつく鈴口を握り込み、親指の腹で円を描くようにして擦ってやると、顎の上がったルルーシュが耐え切れずに甘い声を上げ始める。
「んっ! んぁっ!」
与えられる快感に翻弄されているのか、片手で纏め上げたままだったルルーシュの足がビクン、ビクン、と跳ね上がった。
元気いいな、ルルーシュ。多分君なら、ここもすぐに良くなるだろうから安心しろ。
心の中で呟いた僕は、舌先をルルーシュの後孔へと捻じ込んでやる。
「――――っ!!」
狼狽したようなルルーシュの声が響いたけれど、僕は無視した。満遍なく唾液を垂らして充分に濡らし終えたところで、今まで掴んでいた両足首を纏めたまま今度は一気に真横へと引き倒す。
「うわっ――!?」
僕の膝に乗っていた背中ごと、ころん、と真横に転がったルルーシュは、ちょうど僕に尻を向ける体勢で横たわっている。
僕は纏めた両足首を軸に膝を曲げさせてからも手放さず、上から押さえ付けて動けないよう固定した。シーツの上に足首を貼り付ける僕の手を退かそうと、ルルーシュがじたばたと暴れている。
僕は寝転がったルルーシュに「力抜いて?」と一応警告してから、たっぷりと濡れそぼった後孔へつぷりと指を差し込んだ。
「―――!? や、やめっ……! スザク、や、嫌……!」
「黙ってろ」
「……っ!」
悲鳴を上げたルルーシュを、僕は短く凄んで黙らせる。
第一関節辺りまで差し入れていた指を一気にぬるんと奥まで押し込むと、ひっ、と息を飲んだルルーシュは暴れれば自分が痛い思いをするのではないかと思ったのか急に抵抗をやめて大人しくなった。
さすがルルーシュ、賢いな。でも、君に痛い思いさせるつもりは全く無いから心配しなくていい。
「そのままゆっくり息吐いて」
「――っふ」
ルルーシュは僕が促した通り、詰めていた息をそろそろと吐き出す。ぎゅっと目を閉じたまま違和感に耐えている様子は何だか少し健気にも見えて、僕の口元も思わず綻んだ。
固定したルルーシュの両足首から手を退けた僕は、代わりに自分の膝裏を押し付けてルルーシュの足を押さえた。片手が自由になったので早速ルルーシュの前面へと手を這わせ、まだ緩く立ち上がったままのものをきゅっと握り込む。
「っあ……!」
「こっちにも欲しい?」
「んんっ……!」
ルルーシュはこくこくと頷いた。案外素直に頷いたなと思ったけれど、そういえば中途半端に煽ってしまったから結構辛かったのかもしれない。
再び扱き出すなり腰が前に戻っていくのを、僕は肩の辺りをぐっと押して元の体勢へと戻した。後ろの締め付けがほんの少しだけ緩んだ隙を見て即座に指を増やし、腹の内側目掛けて強めに突き上げてやる。
「ふぁっ……!?」
「これだろ」
中でぷくん、と膨れている箇所をぬるぬるとしつこく擦ってやると、縋るようにシーツへと爪を立てたルルーシュが全身をガクガクと震わせ始めた。
「……っ! あっ、く……んぁっ! やっ、ん! あぁっ……!」
ルルーシュは言葉にならない嬌声を放ってはビクビクと痙攣を繰り返す。横向きに寝かせたまま後ろから前からと同時に苛んでいると、やがて悲痛な声を上げながら過ぎる快感を訴えてきた。
「やめっ……す、すざく……ぅ」
「うん、何?」
「こ、これ、やっ……やぁっ!」
二本の指を突き立てられてガクガクと全身を戦慄かせているルルーシュは、もどかしげに腰をくゆらしながらも涙目だ。
ちょっと可哀相な気もするけど、この「嫌」は気持ち良すぎるから嫌って意味だよな……。
「これ?」
言いながら、僕はルルーシュの前立腺目掛けて三本に増やした指を勢い良く突き立てた。
「―――っ、あァ!!」
ズン、と突き入れられた衝撃で背中を大きく反らせたルルーシュの目尻から、涙の粒がぽろぽろと零れ落ちる。……全く。本当はイイくせに嫌だとか言うからそういうことになるんだよ。
立て続けに一番感じるポイントばかり狙って、僕は指を突き立て続けた。
ぴん、と張り詰めたルルーシュのつま先が、抽挿を繰り返すたびにシーツの表面を掠っていく。全身に電流でも流されているかのように、びくん、びくんと痙攣しながらも、その表情は見るからに甘く蕩け切っていて酷く気持ちが良さそうだ。
「前も後ろも責められている気分はどうだ、ルルーシュ」
勃ち上がった先端から裏筋にかけてぬるぬると擦ってやりながら尋ねると、ルルーシュは快楽に犯されて思考の方が覚束なくなっているのか、もう達することしか考えられなくなっているように腰をヒクヒクと前後に動かしながら、とろんとした眼差しを僕へと向けてくるだけだった。
……とてもじゃないけど、ついさっきまで「嫌だ」とか言ってた奴と同一人物とは思えない。
「何だよ、そのやらしい顔……」
「んん……っ、あっ、ぁ、うぁ!」
後ろに埋め込んだ指で奥を突いてやると、ルルーシュは詰られているにも関わらず、あろうことか嬉しそうにさえ見える恍惚とした表情で自分から腰を擦り付けてくる。
与えられる快楽を拾うのに必死というより、寧ろ没頭しているようだ。
「ルルーシュ、気持ちいい?」
「……んっ、んん……ぅん」
シーツに懐いたルルーシュは恥ずかしそうに、こくん、と頷き、それでも止められないというようにずっと腰を揺らし続けていた。
切なげに眉を寄せていながらも喘ぎ混じりの熱っぽい吐息を撒き散らし、半開きの唇にはとろとろした淫蕩な笑みまで浮かんでいる。
キシキシと鳴り響くベッドのスプリング。先走りごと陰茎を擦られる粘着質な水音。
二種類の音が重なり合う中、後孔に指を突き立てられながら、さながら快楽の虜になったように尻を突き出すルルーシュの姿態は、何とも言えずその場に淫靡な雰囲気を醸し出していた。
――最早ルルーシュの理性は、完全に飛んでいる。
う、わ……と心の中で呟いた僕は、無意識のうちにゴクリと喉を鳴らしていた。詰られて尚、悦楽に身を委ねる媚態といい、誘惑するような眼差しといい……ルルーシュ。君、とんでもない淫乱だよ。
そういう顔されると、尚のことオモチャにしたくなってくるんだけど。
マタタビ嗅がされたどころの話じゃない。正しく発情期の雌猫だ。快楽に弱いにしても、まさかそういう飛び方するとは意外だよ。全くもって初めてとは思えないけど、寧ろ初めてだからこうなのか? いずれにせよ、末恐ろしいほど扇情的ってことだけは確かだ……。
それにしても、すっごいギャップ。エッチだな。
僕自身、自分でも信じられないことだけど。――君は僕にとって、今までしてきたどんな人よりタイプだよ。
少なくとも、僕は君ほど清楚で、君ほど妖艶な女性には出会ったことが無い。
……初々しい反面すっごくやらしいとか。本当に君は、反則だ。
僕はなかなか達することが出来ないよう、力加減を調節していた手で限界寸前までルルーシュを煽り立てた。
「あっ、あ、んぁん、ふぁ……ぅあ!」
歯の根も合わない淫らな喘ぎが耳につく。後ろを突かれる動きに合わせて、ルルーシュは解放だけを求めてひたすら小刻みに鳴き続けていた。
僕は達する前兆にルルーシュが大きく背筋を震わせたタイミングを見定め、今度は根元を強く押さえて塞き止める。
「やっ! ああっ……! あァだめ……っ!」
瞬間、切羽詰ったルルーシュが悲鳴を上げた。
後ろにも指を突っ込まれ、前も塞き止められて混乱したらしいルルーシュは、よっぽど辛かったのか腕で顔面を覆いながらぽろぽろと泣き出した。
しゃくり上げる声を時々引き攣らせて、身も世も無い風情で善がっている姿が、また異常なほど可愛い。
「す、スザク……」
「まだ駄目だ。我慢しろ」
言いながら、僕はルルーシュの根元を塞き止めたまま後ろに埋め込んでいた指を引き抜き、うつ伏せに転がしたルルーシュの腰を抱え上げた。
――そろそろ、本当に限界だ。
背後からルルーシュへと圧し掛かり、抱きかかえる体勢になった僕は、つい先程まで指を埋めていた箇所へとガチガチに屹立した自身の先端を宛がう。
そして、根元まで一気に奥へと貫いた。
「ふぁっ……! あァ! んあぁん……!」
ルルーシュは挿入の衝撃で肩から前のめりになって倒れ込んだ。
崩れた体勢を立て直そうとベッドに手を付きかけたところで、伸び上がった僕はルルーシュの両腕を取り背中側へと回させる。
「スザ……っ!?」
「そのままだ、ルルーシュ」
ハッとしたルルーシュが振り返ってこようとしていたけれど、僕は起き上がりかけていた背中を圧迫して押し潰した。
「……っく!」
ルルーシュの上半身が再びベッドに沈んだところで、背中に回させた腕を一纏めにして掴み、片手で拘束する。
「あ……。な、んで……っ!? んん……っ、あっ、ぁ、うぁ!」
掴んだままのルルーシュの腕と、ルルーシュ自身をまだ塞き止めている手を力点にして、僕は背後から激しく腰を打ち付けた。
奥まで押し込んでやるたびに、ルルーシュの上体がガクガクと上下する。
体位のせいもあるのかもしれない。尻だけを高々と突き出した格好に、後ろ手で拘束された腕。好き放題揺さぶられているルルーシュの姿は想像以上になまめかしくていやらしい。
僕はまるで蹂躙しているような錯覚に陥り酷く興奮してしまっていた。男は視覚で感じるっていうけど、これは相当クる。
「んぁんっ!……うぁ! やっ……も、もぉ、やあぁっ……!」
幾度も貫かれ、突き上げられているうちに、ルルーシュはどうやら一番感じる箇所に当たる角度になっていたらしい。僕がわざと狙ってそこばかり突いてやると、解放されることも許されぬまま揺さぶられ続けていたルルーシュは切なげにすすり泣いていた。
ベッドに突っ伏したまま身悶えるルルーシュの耳元へと顔を寄せ、背後から抱きすくめるようにしながら僕は囁く。
「ルルーシュ。君、凄いな……止まんない。僕こんなの初めてだよ」
「っあ! やぁっ……も、もう、これ……はなっ!」
「うん?」
「手、離して……! はなして、くれっ……っ!」
「いいよ」
必死で訴えてくるルルーシュに絆されたと見せかけて、僕は背中で拘束している手の方だけを離してやった。
「ちがっ! そっちじゃなっ……!」
「――知ってるよ?」
「うぁっ! こ、この……ばかぁっ……!」
僕は内心、ちょっと可哀相だなと思いながらも容赦なく突き上げ続けた。
あまりの気持ち良さに瞼の裏が白く霞む。
神経が焼き切れ、意識が全て持っていかれそうなほど凄まじい快感を覚えたのはこれが初めてだった。
根元を塞き止めたままずっと握り込まれていたルルーシュのものは、先端からたらたらと蜜を垂らし続けていて既にびしょ濡れだ。
僕は根元だけは変わらず押さえたまま抽挿を繰り返しつつ、拘束を解いて片手が開いていたのを良いことに、シーツに向かって糸を引くほど濡れそぼったルルーシュの先端を余った片手で撫で回してやる。
「やめ……っ! それ、やぁっ……!」
感じすぎて辛いというより、ほとんど拷問にも等しい刺激なのだろう。ルルーシュはビクビクと腰を跳ね上がらせながらベッドの上で声も無くのたうっている。
自分のものを握る僕の手を何とかして退かそうと爪を立ててきたけれど、僕はその手を逆に取り、ぐっしょり濡れた自分のものをルルーシュに触らせてやった。
「何、するっ……!?」
「沢山濡れてるだろ。お漏らしでもしたのか? ルルーシュ」
「……っ! んぁ! も、ほんとに、やめっ……!」
「苦しい?」
埋め込んだ屹立を抜かぬまま、僕は奥だけを踏み荒らすように腰を動かしてやる。
「――――っ!!」
一番イイところにきちんと当たるよう打ち込んでやれば、余程強烈な刺激だったのか、ルルーシュは一度だけ大きく背を反らしたきりベッドへと突っ伏した。
シーツを握り締めたままはらはらと涙を流すさまはあまりにも可愛くて、心の底から愛おしさが込み上げてくる。
ああ、本当に可哀相だな、ルルーシュ。泣いてる顔もやっぱりすごく可愛いよ。
――勿論、だからって今更やめてやる気は全く無いけど。
僕に腹の奥まで串刺しにされながら、ルルーシュは細い姿態をただ突っ張らせることしか出来ずにふるふると首を振っていた。
しどけなく開かれた唇からは途切れることなく苦痛交じりの喘ぎと甘ったるい吐息が漏れ出し、唇の端からは唾液が銀糸を作って顎へと滴っている。
僕は再び塞き止めたままの先端へと手を伸ばし、鈴口の丸みと手触りを愉しんだ。すると、力尽きる寸前といった風情のルルーシュが、か細い声で泣きながら訴えてくる。
「ス、スザク……ぁ、それ、やめ……たの、むからっ……っう!」
「どうして? 気持ち良いんだろ? 腰揺れてるぞ」
「お、ねがっ……」
ルルーシュの泣き濡れた瞳が本気で限界を訴えているのを見て、僕は「これからはもうちょっと鍛えてあげないと駄目かな」と内心ひとりごちる。
特別根性が無いかというとそうじゃないんだけど(寧ろ根性自体はどちらかというと凄くある方なんだけど)、こと、こういう方面に関してはルルーシュは全く免疫ないから仕方がないか。
そろそろこの辺にしておこうかな、と判断しつつも……やっぱり、あとちょっと。もう少し、あと少しだけ……。
――だって、しょうがないよ。僕を煽ったのはルルーシュなんだし、責任くらい取ってもらわないと……って、そういや、ルルーシュ風邪だっけ。
ごめんルルーシュ。それ、たった今まで忘れてたよ……。
僕はルルーシュの根元を塞き止めていた手を少しだけ弛めてから、射精を促すように優しく扱き始める。
「あァ! い、いやぁ……!」
「ここ、突かれながら吐き出したら気持ちいいんじゃないのかな。やってみようか」
「で、できなっ……離せ!」
「出来るだろ」
寧ろ出来ない訳ないだろ。ただ出すだけなのに……と思いつつ、今突き立てているルルーシュの内壁がきゅうっと収縮していくのに僕は気付く。
――ああ、そういうこと?
あとちょっとだけ待って、と心の中で言い置いた僕は背後からルルーシュに覆い被さり、段々と抜き差しするスピードを速めていく。
「や、スザ……スザク……まって、まって、くれ……」
「何?……後ろ、おかしくなりそう?」
「――――っう」
「なっていいよ」
ルルーシュはあられもなく乱れながら、涙声で悲鳴混じりの嬌声を発していた。緩く握っていたルルーシュのものを優しく擦り上げながら、僕はルルーシュを夢中になって突き上げる。
僕は泣き濡れるルルーシュの頬を捕らえて顔を覗き込み、ルルーシュに思い切り口付けた。
やがて、目も眩むような快感の波がやってきて、僕とルルーシュは二人でその波に飲まれていった。