オセロ 第23話(スザルル)

※性描写含みますので畳みます。続き読まれる方のみリンククリックでどぞ!


23


 ロロでも居てくれればと思ったが、しんと静まり返ったクラブハウス周辺には全く人気が無かった。
 歓迎会のラストを飾るダンスパーティーはまだ続いている。遠くから聞こえてくる優雅なワルツの音色は、今置かれた状況を思えばいっそ場違いにすら感じられる程だ。
 期待が儚く潰えたことに落胆したルルーシュは、沈鬱な面持ちで隣を歩くスザクを見た。
「なあ、スザク。本当に良かったのか? 戻らないままで……」
「…………」
 歓迎会の締めくくりとして、スザク本人から一言話す時間も設けられているのではないかと尋ねてみたが、ルルーシュの肩を抱いて早足で歩くスザクからは何の応えも無かった。
 必要以上に密着して歩く姿は遠目から見れば愛を語り合うカップルのようにも見えただろうが、実際は無理やり連行されているに等しいものがある。
 スザクの足取りに付いていけないルルーシュが歩きにくそうに足をもたつかせていようが、スザクは歩調を緩めようともしない。躓く度に腰を抱えて立て直そうとはしてくるものの、気が急いているのか、それとも気遣う必要など特に無いと判じているのか、ほとんど引き摺るような勢いで部屋へと向かっていくだけだ。
(かけがえの無い女性、か……)
 二人の歩く道まで途切れることなく響いてくる音楽を遠く感じながら、ルルーシュは先ほど屋上でスザクが口にした一言を思い出していた。
(よく解っていた筈のことなんだがな)
 言われた時は冷静でいられても、ショックというのは後からやってくるものだ。肩を抱くスザクの手へと目をやりながら、ルルーシュはあんな台詞を口にした男のすることではないとつくづく思った。
 スザクは言った。
『僕はかけがえの無い女性と、大切な友人を失った』と。
 ――ならば、今こうしてスザクに肩を抱かれている自分は一体何だというのか。
 ルルーシュはスザクに訊けないことを自問した。
(こいつは一体何の為に、俺に八年前のことを話したんだ?)
 一応まだ形ばかりの演技を続けているとはいえ、スザクはルルーシュの記憶が回復していること前提で接してきている節がある。
 ルルーシュの嘘を暴こうとする態度自体、行き過ぎているというよりは寧ろ強迫観念に突き動かされているようにしか見受けられず、いっそ記憶が回復していればいいと期待しているようにさえ感じられるほどだ。
 だが、決定的な証拠が何も出ず、例え記憶未回復としか判断しようが無かったとしても、ゼロに戻ろうとするであろうルルーシュを踏み留まらせる為に、スザクが今までひた隠しにしてきた過去を明かしたことだけは間違いない。
 しかし、だとすれば尚のこと、先の台詞は余計言うべきではなかっただろうということになってくる。
 ルルーシュの逆鱗に触れる行為と知りながら、スザクはナナリーまでもを利用している。
 そこまで踏み切った上、既にルルーシュの存在ごと失ったものとして割り切れているかのような言い方などしてしまえば、牽制のつもりで打ち明けた過去とて効力を失ってしまうではないか。
 そんな基本的な判断も下せないスザクではない筈――と、そこまで考えたルルーシュは、やはりそうかと確信した。
(こいつは俺……『記憶回復しているルルーシュ』に言っているというより、つまりは『ゼロ』に向かって言っているのか……)
 父殺しの真相についてスザクが語った時から薄々感じていたことではあるが、スザクはおそらく『ルルーシュ』と『ゼロ』を剥離させようとすれば出来る別物のように考えている。
 ルルーシュは再びスザクの手を横目で眺めながら思った。
(……ということは、こいつにとって今の俺は、只の『ルルーシュ』でしかないということだな)
『ゼロ』ではなく。――ということならば、一見支離滅裂にしか見えない態度の変化にも頷ける。
(既に記憶回復していると疑っているこいつがあんな賭けに出たのは、単にまだ残っているだろう俺の情に訴えかけてのことだとばかり思っていたが……)
 もしゼロとしての記憶が目覚めているのなら、自分を売り払い、出世の道具にし、あまつさえたった一つの宝であるナナリーまで奪った男から今頃父殺しの真相など明かされたところで、だからどうしたと思われるのが関の山。……そう考える方が余程自然だ。
(だが、それでもこいつがあの話を打ち明けたのは、要するに記憶回復した『ゼロ』としての俺ではなく、『ルルーシュ』に訴えかければと思ったからこそだったのか)
 ルルーシュからすれば同じ意味にしか過ぎないが、意味合い的に何も変わらないように思えても、スザクにとってはかなり違うのだろう。
 今後の展望についてわざわざ改まって宣言してきたのも、演技の都合上、関係の深い友人だからこそ知っておいて欲しいと思って言ってきたように見せかけてはいるが、そもそもスザクとルルーシュの交友関係が密接なものであった以上、スザクにとってそれほど大切に思う友人がいたのであれば、ルルーシュがその人物と全く交流が無いどころか面識すら無いなどということは、本来ならば当然あり得ない。
 スザク自身、蘇ったゼロはルルーシュなのだと心のどこかで確信しているからこそ『日本人にゼロは必要ないんだ』などという台詞を言ってきたりもしたのだろう。
 とりあえず『主義者と疑っているのか』と質問を摩り替えることによって、敢えてその友人とは誰なのかとは問わなかったルルーシュだが、矛盾したスザクの発言から推察してみた結果、辿り着いた結論はそれだった。
(そういえば、ゼロだったとバレた時ですらそうだったな)
 あの時どうして殺さなかったのか、訊くことが出来るものなら訊いてみたいものだとルルーシュは思った。
(いくら皇帝の即決審判が後に控えていたとはいえ、元々ゼロに対する射殺許可などとっくに下りていた筈だ)
 ブラックリベリオンでスザクと撃ち合ったあの時、ルルーシュは躊躇いなくスザクの眉間を狙った。
 しかし、スザクはルルーシュが持っていた銃を撃ち落としただけで、決してルルーシュの体を狙おうとはしなかったのだ。
(こいつが俺を撃たなかったのも、『ルルーシュ』である俺を殺そうとは思っていなかったからだ)
 父を殺してまで守ろうとしていた友人だからという理由を考慮したとしても、ルルーシュはスザクにとって敬愛する主君であるユフィの仇であり、ルルーシュの為に罪を背負った自分自身でさえ全否定した裏切り者の友人だ。嘗て守ろうとした者とはいえ、引き金を引く理由としては充分すぎる。
(にも関わらず、スザクが俺を殺さなかったのは……)
『ゼロ、君を終わらせる』
 その言葉の通りだったという訳だ。
 つまり、スザクは『ルルーシュ』を殺さなかったのではなく、殺せない。――そう考えて間違いないだろう。
 スザクと同じく別の人格として切り分けるにしても、ルルーシュ自身は『ゼロ』である自分と『ルルーシュ』を全くの別物とは考えていない。
 ……だが、『僕』と『俺』という具合に、否定したい自分を完璧に分けて考えているスザクならどうか。
 ルルーシュも自分と同じ。――そう思い込んだとしても何ら不思議ではない。
 だからちぐはぐなのだ。言動の全てが。
 スザクはルルーシュに好きだと語る口と同じ口でルルーシュを詰り、ルルーシュが聞けば傷付くだろう台詞をも平気で繰り出してくる。
 それもその筈。かけがえの無い女性を失ったという言葉も、大切な友人を失ったという言葉も、スザクは『ルルーシュ』ではなく、あくまでも『ゼロ』に対して言っているのだから――。
(だが、俺の中のゼロさえ居なくなれば、こいつが俺を憎まなくても済むようになるのかというと決してそうではない……)
 ただ封殺されているだけでは安心など出来まい。
 現に、堂々と詰ることは許されないと解っていながら、スザクの演技は破綻していく。
(全ての罪から隔離されている俺など、こいつに受け入れられる訳がないんだ)
 何故なら、それは『僕』としてのスザクを全否定した過去から、ルルーシュが逃げていることになるからだ。
 ルルーシュに理解と贖罪を求めているスザクにとって、その事実を認めて受け入れることなど到底不可能。
 ……確かに、スザクが憎んでいるのは『ルルーシュ』の中に居る『ゼロ』なのかもしれない。
 けれど忘れてはならない。『ゼロ』としての道を選んだのもまた、『ルルーシュ』本人であることに変わりはないのだと。
 二重三重に絡み合った過去の軋轢。負の連鎖。
 解り切ったことではあるが、そう易々と解けるようなものではない。……だから。
(もしこいつが真の意味で憎む対象が居るとすれば、それは間違いなく自分を裏切った嘗ての友。そして何より『ゼロ』であり続けようとする俺自身だ)
 スザクは盲目的なまでに間違っている。
 ……いっそ、切ないほどに。
(どちらも俺なんだよ、スザク。……それなのに、お前はそこまでして守りたいのか。『ルルーシュ』である俺を)
『ゼロ』という名の悪者から『ルルーシュ』を切り離してまで――。
 そう思いながら、ルルーシュは目を閉じて自分の肩を抱くスザクの手に無言で口付けた。
 辿り着いた場所は、ルルーシュの自室前だ。
 はっとしたように立ち止まったスザクを見上げれば、スザクは扉の前でいとおしさの滴るような笑みを向け、恭しく取ったルルーシュの手の甲と唇にキスを返してくる。
 本格的に深くなる前に離れていこうとするスザクの唇を追い求めるように顔を寄せ、ルルーシュはスザクの首へと両腕を絡めた。
 ルルーシュの背中を抱いたスザクがキスしたままルルーシュの体を持ち上げ、部屋に入るなり二人縺れ合うようにしてベッドの上へと倒れ込む。
「……また元の関係に戻れたんだって、思ってもいいのかな」
 見下ろしてくるスザクの深緑をじっと見つめ返しながら、ルルーシュも静かな声で問いかけた。
「お前はいいのか? それで」
「構わない。言っただろ? 君を離さないって」
「……………」
 ルルーシュはスザクの返事を無言で聞いていた。
 今のスザクが敵であることや、ナナリーを人質に取られていることは決して忘れていない。そして勿論、反逆をやめるつもりもルルーシュには無かった。
 ルルーシュは再び自問する。
 たとえ打ち明けられた八年前の秘密やルルーシュに対するスザクの想いが本物であったとしても、そして、語られたその想いでさえ今のスザクにとっては単なる策略の一環に過ぎなかったのだとしても、本当に後悔は無いのかと。
 考えてからすぐに答えは出た。
(後悔など、するに決まっている)
 どうせまた、以前と同じ結末が待っているのだと知っている。
 重ねた嘘に引き裂かれ、遠く離れた互いの心。けれど、スザクの望み通りに黙って縛られ続けてやる訳にはいかないのだ。
 泣きたくなるが、それも出来ない。――だが、それでも。
 誰かから想いを寄せられることをこんなにも苦しく思う日など、今後一生来ない気がした。
(あくまでもフリをするだけだ)
 ゆるりと瞼を閉じたルルーシュに吸い寄せられるように、スザクが顔を寄せてくる。
 ルルーシュは自分の胸元で一度止めた手を、違和感の無いようそのまま襟元へと伸ばした。制服の詰襟を緩めながら顎を上向け、傾けた顔を鼻先を見る角度で止めてからスザクのキスを待つ。
 スザクが屋上に来る前、星刻との会話で使っていたボイスチェンジャーがまだ懐に入ったままだった。携帯はともかく、忍ばせたそれに気付かれる訳にはいかないと判じたルルーシュは、そっと落とされた口付けを受け入れながら制服の前を自分の手で寛げていく。
「ルルーシュ……?」
 今まで拒絶しかしなかったルルーシュだ。自分から誘っているようにさえ見える行動が意外だったのだろう。スザクは制服を脱ぎ捨てるルルーシュの姿を驚いたように見守っていたが、ルルーシュはそんなスザクから目を逸らさぬまま脱ぎ終えた制服をぞんざいに丸め、音が立たないようベッド下へと伸ばした片手で床にぱさりと落とした。
「なら、俺の答えもYESだ。――抱いてくれ、スザク。お前がしたいと思う通りに」
 横たわったまま僅かに首を傾げて嫣然と微笑んだルルーシュが、制服の下に着ていたシャツのボタンを片手で次々と外しながらスザクの頬へと手を伸ばす。
 自分の頬へと伸ばされたルルーシュの手を取りながら、スザクは飢えた眼差しを更に眇めてルルーシュを見た。
「それって、僕の抱きたいように君を抱いていいってこと?」
「そうだ」
「……何でもする?」
「お前がそう望むなら」
 ルルーシュが答えたのとほぼ同時に、握られたルルーシュの掌に力が加わった。襟刳りから覗く細い鎖骨と、その下へと続く白い肌にスザクが誘われているのだとルルーシュにも解る。
 ルルーシュは最後に一つだけ留めたままだったボタンを外し、合わせを片方だけ開いてスザクにちらりと見せた。
「あくどいな……。ルルーシュ」
「何がだ?」
 ルルーシュがわざとらしく尋ねると、それまで露になった片胸に目を奪われていたスザクは、暫くの間釘付けになったまま動かなかった視線をようやく上げてくる。
「こんなことして……。知らないよ、どうなっても」
 責めるように呟くスザクの目つきは猛禽を思わせる鋭さだったが、ルルーシュは更に捕食を促さんと挑発し続けた。
「解らないのか? お前を誘っているんだよ、スザク」
「君を滅茶苦茶にしてしまうかもしれないよ?……それでもいいの?」
「……構わない。お前が欲しくてたまらないんだ。スザク……」
 上擦った声で「だから早く」と訴えるルルーシュの掌へと口付けたスザクが、ズボンの前を寛げようとしたルルーシュの手を阻み、腰を浮かせてズボンを引き下ろしてくる。
 ルルーシュも抵抗せずに大人しくズボンから二の足を抜き、股の間に座るスザクの腰へと足を絡めて引き寄せた。
 腰に絡んできたルルーシュの足を一瞥したスザクが、何か思惑ありげにふっと笑う。
「積極的だな、ルルーシュ」
「……そうか?」
「そういう君も凄く好きだよ」
 しどけなく開かれた内腿をするりと撫でてくる手からも、ルルーシュは逃げようとしない。
「ああ。俺もお前が好きだよ、スザク。――無理矢理するのとどっちがいい?」
 太腿に置かれた手に自分の手を重ねながら、ルルーシュが「どっちもか?」と悪戯っぽく尋ねてやれば、「さあね」と素っ気無く返したスザクは自分も衣服を脱ぎ捨てながら苦笑している。
「どっちだと思う?」
「訊いたのは俺だろ」
「……じゃ、当ててごらん?」
 スザクはベッド下に脱いだ衣類をばさりと放り投げながら、情欲を含んだ声で呟いた。
 身じろぎしたルルーシュがほんの僅かに足を引けば、スザクも逃すまいと即座に足首を捕らえてぐいっと引っ張ってくる。
 酩酊した表情で露になったルルーシュの首筋へと吸い付いたスザクは、ルルーシュの肌蹴たシャツの襟下へと手を差し込み、まだ通したままだった袖からルルーシュの腕を引き抜いた。
「……ぁ、」
 首筋を這う舌の感触に眉を寄せたルルーシュが切なげな吐息を漏らした瞬間、スザクは噛み付くような勢いでルルーシュの唇へと深く口付けてくる。
「んんっ、ぅ……」
 背中の下に敷いたままだったシャツの前は完全に肌蹴られ、薄桃色をした胸の飾りがぷつりと尖ってその存在を主張していた。スザクは唇を重ねたまま頭の上でルルーシュの両腕を組ませた後、今度は滑らかな腕の内側にやんわり歯を立てつつ、胸までの距離をゆっくりと舌で辿っていく。
「ん、ん……」
 体のラインを辿るように舌を巡らせていくスザクから逃れようと、ルルーシュは鼻にかかった甘い声を漏らしながら上半身を捩らせた。
「君が好きだよ、ルルーシュ。だから、もっと声を聞かせて……?」
 話すスザクの吐息が敏感な脇腹の辺りにかかる度、肌が粟立つような感覚を覚える。残る下着を脱がそうとするスザクの手が骨盤の両側を掠めた瞬間、ルルーシュはビクリと体を震わせた。
「っあ……!」
 大仰な反応にスザクが笑う。
 瞬く間にルルーシュの下着を引き下ろしたスザクは、ルルーシュの吸い付くような素肌の手触りに陶然としながら、胸元を飾る突起の片側を口に含んだ。
「っ、うぁ……あぁっ!」
 淡く色付いた中心を転がすように舌で嘗め回され、もう片側の突起も指先で嬲られると、くすぐったさから徐々に腰の辺りが重くなるような疼きへと変わっていく。
 胸元を掠るスザクの髪の手触りを確かめようとルルーシュが手を下ろしかけると、スザクは突然何を思ったのか「手はそのまま」と言いながら、伸びかけていたルルーシュの腕を再び頭上へと押し戻した。
「ス、ザク……?」
 何故と問いかけようと開きかけたルルーシュの唇を塞ぐように、スザクが人差し指を当ててくる。
「その格好のまま、足開いて」
「……っ!」
 羞恥にさあっと頬を染めたルルーシュが惑うようにスザクを見上げると、スザクは既に勃ち上がっているルルーシュの先端を摘むような手つきで撫で回した。
「あっ、あぁっ……!」
 触られた箇所がじわりと熱を持って疼き出す。次第にねっとりとした快楽に変わっていくその前兆に、ルルーシュは膨れ上がる期待に任せるままピクン、ピクンと小さく痙攣を繰り返した。
 ルルーシュは熱っぽい吐息を漏らしながら、もっと強い刺激を強請るように腰をくゆらせていたが、スザクはルルーシュが従うまでそれ以上与えないつもりでいるのか、触れるか触れないかという微妙な力加減でルルーシュのものをしつこく撫でてくる。
「や、スザっ……ど、して……」
「何でもするんだろ?」
「――っく」
 スザクに意地悪く尋ねられ、ルルーシュは恥ずかしげに唇を噛み締めた。羽が触れているのかと思うほど僅かな刺激であるせいか、却って指先の感触がリアルに伝わってくる。
 ぞくぞくと湧き上がる性感に耐えていたルルーシュは一瞬だけ躊躇ったものの、焦らすような愛撫を繰り返すスザクに促されるまま、やがてゆっくりと両足を開いた。
 しかし、目を閉じたまま顔を背け、頭上で両腕を組んでいたルルーシュがやっとの思いで足を開き終えた所で、スザクからまた新たな指示が飛ぶ。
「足りないな。もっと大きく開いて」
「!」
 容赦ない要求にぎょっとしたルルーシュは、思わず見開いた紫玉に困惑を浮かべて縋るようにスザクを振り仰いだ。
 足の間で膝立ちになっているスザクの体がちょうど収まる程度に開いてはみたが、そのくらいでは足りないとでも言うのだろうか。
「ば、馬鹿……。お前、俺に何をさせる気だ……?」
 曲げた両膝が無意識のうちに震えだすのを感じながら、ルルーシュは小さく抗議の声を上げる。
 すると、今までずっと無表情でルルーシュを見下ろしていたスザクは、ピクリと片眉を上げてから目を細めた。
「何か言った……?」
「あ、ぐっ!」
 平坦な声で言うや否や、スザクはルルーシュの唇を抉じ開けるようにして口の内へと指を突っ込んでくる。
 ルルーシュは苦しげに喉を詰まらせながら首をいやいやと振って逃れようとするものの、冷然と見下ろすスザクはそれを許さない。
「僕のしたいようにしていいって言ったのは君だろ? 今更取り消すなんて言っても無駄だ。僕は聞かないよ」
 口淫の動きそのままに指を出し入れしながら、目を据わらせたスザクは片側だけ口元を緩めて笑っている。
「出来るよな、ルルーシュ」
「………んっ」
 スザクの台詞を聞いたルルーシュは、観念したように指を咥えさせられたまま大きく足を開いてみせた。
 思い切り足を開いた反動で腰が浮き上がり、頭上で組んでいる腕の所為で自然とスザクに胸を突き出しているような格好になる。
 全身の隅々まで余す所なくスザクの視線に晒され、ルルーシュは閉じることもままならない唇を恥辱にわななかせた。
 頬だけでなく首筋までうっすらと桜色に染め上げながら、それでも羞恥に耐えようとしている姿は酷く倒錯的だ。
 従順なルルーシュの姿を見て満足したのか、スザクは僅かに口角を上げたまま、ルルーシュの口腔を甚振っていた指をようやく引き抜いた。
「ルルーシュ……。これは何?」
 おもむろに尋ねてきたスザクが、固く屹立したルルーシュのものへと触れてくる。
「え……?」
 ルルーシュの先端を握り込んだスザクの手が茎の辺りまで一気に滑り降りた途端、ぬるついた感触にルルーシュはびくんと腰を跳ね上がらせた。
「――っ!?」
「まだ、ほとんど触ってもいないけど……?」
 ぬるんと音でもしそうなほど濡れた先端を扱きながらスザクが尋ねてくる。
 潤滑剤など使っていないにも関わらず、ルルーシュのものはしとどに蜜を滴らせ、既にぐっしょりと濡れていた。
「ふぁっ……! あっ、あっ!」
 先走りは繁みの間を伝って、奥まった部分にまで垂れ落ちている。とりわけ敏感な箇所から伝わってくる快感に上体をくねらせながら、ルルーシュは小刻みに腰をヒクつかせて喘いだ。
 スザクはルルーシュのものをゆるゆると扱き続けながら、あられもなく身悶えるルルーシュの姿を見て愉しげに呟いた。
「覚悟して、ルルーシュ。……今日は、君がいいって言いながら泣き出すまで、やめないから」


プロフ

夕希(ユキ)

Author:夕希(ユキ)
取扱:小説・イラスト・漫画

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